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『仮面ライダーオーズ』感想14

◆第21話「バッタと親子と正義の味方」◆ (監督:田崎竜太 脚本:毛利亘宏)
見所は、意外と子供に優しいが、《説得》スキルは持っていなかった後藤さん。
そういえば《交渉》ロールに成功した例しがなかった!
司法試験の合格を目指す正義感の強い男・神林(マスター知世子の後輩)がヤクザグリーンにメダルを投入され、バッタのヤミーが誕生。バッタヤミーは神林の「悪い奴は、許さない」という欲望を満たす為に、ひったくり犯や強引なナンパ男、騒音を撒き散らす若者などを、自動発動するスタンドのごとく、次々と痛めつけていく……。
「俺は、力を手に入れたんだ。ははっ、いいぞ、やれ、もっとやっちまえ」
世を正す正義を遂行しようとするのがバッタの怪人で、正義の暴力性を殊更に強調しつつ「とぅ!」とか言わせたり、タチ悪いエピソード(笑)
「人を助けたいって気持ちや、正義を守りたいって気持ち、それも欲望って言えないかな?」
「ふんっ、そんなバカな事考える奴いるわけない」
映司を見て固まるアンク、今回はワインレッドのジャケットが格好いい。
「欲望ってわけじゃないけど、そういう人間もいるよ」
「なるほど、正義感ってやつか」
神林が正義を執行しようとする対象=バッタが暴力を振るう対象、を日常レベルで他者に迷惑を掛け、懲らしめられるとむしろスッとする形で描いて神林に対する共感値を上げつつ、しかし社会正義の為に暴力を振るう時点でそれは正義を逸脱している、というカタルシスそのものに批判を内包する、というねじくれた構造(まあ最初のひったくり犯は、完全に犯罪なので別枠なのですが)。
ここで意図的にその一線を踏み越えるとピカレスクロマンになるのですが、神林はあくまで義憤による社会正義を行使しているつもりであるが故に、逸脱した正義が怪人化しているといえます。
悪徳を悪徳で踏み潰す事に快感を覚える時に人の心は怪人となり、そんな怪人の心を律してヒーローとして存立しえるには、強い“何か”が必要なのではないか――という形で、ヒーロー/怪人を、表裏一体の関係として描いているのは、「欲望」の二面性を中心に置く今作らしいアプローチ。
正義を行使する、という欲望と快楽に飲み込まれていく神林を止めるべく、映司はオーズに変身してタジャバ発動。素早い動きのバッタに逃げられてしまうが、今日も高い所から伊達さんがヒーロー登場し、バースは夜間だと、脳と目が光るのが栄えて格好いい。
優位に戦いを進めるも背後からウヴァにヤクザキックを受け、2対1でバースが苦戦した所にオーズ参戦。オーズはスピナーにコアメダルをはめこんでクジャクファイヤーを放とうとするが、そこへ飛び出してきた神林がバッタをかばう。
「こいつはやらせない!」
「どうして?!」
「やっと、正義の力を手に入れたんだ。俺は、こいつの力を借りる」
「力って……」
「こいつの力を使って、この腐った世の中を、少しでも良くしたいんだ」
「お父さんがんばれー。お父さんがんばれー!」
そこへ神林の息子・隆が飛び出してきて、子供が怪人を応援する、という嫌がらせのような構図になった所で、つづく。
スピナー、突然蓋を開いたら中にセルメダルが入っていて、ここにコアメダルはめたらなんか凄いんじゃないか、という持って行き方はかなり適当で、玩具のギミックを強引にねじ込もうとした様子が窺えます(^^; というかそこに最初から入っているセルメダルは、アンクのHPじゃないのか。