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『仮面ライダーエグゼイド』感想・追補

第8話の感想で見えてきた事を叩き台に、軽く整理。
仮面ライダーエグゼイド』の奇妙な問題点は、主人公の「ゲーム大好きで子供に目線の近い小児科医」という設定から考えると、基本、ゲスト患者には子供を想定していたと思われるのに、何故か出てくる患者がマリッジブルーだったり会社の経営問題だったり、大人特有の人生の悩みを抱えている事。
ここまで内訳としては、
子供の悩み:新作ゲームがやりたい(1)・病気で自由に遊べない(3)
大人の悩み:マリッジブルー(2)・恋愛関係のもつれ(6)・町工場の経営問題(7−8)
その他:妹が怪人にさらわれた(4)・偽のガシャット泥棒(5)
となっており、立ち上がりの2ヶ月としては、バラエティに富んでいるというより、ドラマの方向性が定まっていないという印象(なにしろ、主人公がゲームをするシーンが、この数話記憶にない)。大筋としてのギミック見せの都合もありますが、特に、第1話と第3話の子供が実質ほぼ同じような描写だったのに対し、第7−8話では前後編で割と尺を割いて中年男性の抱える問題を描く為、どうにもバランスがいびつに見えます。
そして、子供っぽい所を多分に残した主人公に、人生のしがらみに関わる問題が障壁となるなら、そんな大人の問題に主人公が向き合う事で視野を広げていく物語なのかというと全くそんな事はなく、「新作ゲームがやりたい子供」にも「会社の経営に悩む中年」にも、主人公が提示する解決方法は一様に「原因はストレスですよ!」と外に連れ出す事、なので目がうつろになってしまいます。
主人公の周囲に良きアドバイザーが居るのかといえばやはりそんな事は無く、身近に居るのは、素性不明の電脳生命体、自分の事しか考えていないエリート外科医、権力に尻尾を振り続ける病院長、なので、主人公(達)のキャラクターと劇中で関与する問題が明らかに間尺に合っていません。
本来ならその間尺――キャラクターと立ち向かわせる問題の関係――を“調節”して、個々の主人公にふさわしい物語に仕立てられる、というのがフィクションの機能なわけですが、その作業がまるで抜け落ちているのが、実に奇妙。
結果として今作、立ち向かう問題の解決に著しく説得力を失ったまま進行しており(故に、結局物理的解決が全てになっている)、大きな物語の謎に関しては興味を引く形になってきただけに、この1エピソードごとのザルさ加減が如何ともしがたい。
あえて言えば、主人公エムの立ち位置と問題解決方法は、“一話完結性の強い時代劇ヒーロー”に近いものの、そうすると今度は“未熟な研修医”という設定と根幹で矛盾が生じてしまい、今作本当は、「スーパードクター(にして天才ゲーマー)M」みたいな、破天荒ヒーロー物をやりたかったのか。
……それは『フォーゼ』で崖に激突したルートだ!!
いや、風のように万事を解決して去って行く超人ヒーローを本気でやるならそれはそれで良いと思うのですが、フォーマットは超人ヒーロー物なのに、ストーリーラインは若者の青臭さで引っ張る、という両取りは極めて困難なわけで、そこは基本設定の時点で調節しておくべき部分だと思うわけです。
周辺キャラクターについて補足しておくと、後々、実は……となる可能性は高いですが、病院長が権力の走狗かつコメディリリーフとしてしか描かれていないのは割と痛い所で、背中を押すにしろ壁となって止めるにせよ、主人公に対して“真っ当な大人の意見”を述べる人物が一人も居ない為、提示された問題の解決にそぐわないようにしか見えないにも関わらず、エムがひたすら一人歩き。
病院長、第8話では珍しく語りのシーンがあったと思ったら、まとめると「バグスターとかどうでもいいから、おまえは私の後を継げよ!」と言っているだけで、この息子にしてこの親あり、という身勝手さが加速しただけの惨事になっており、作品としてこのバランス感覚は、物凄く不安。
構造的にポッピーパッパは結局エムのイエスマンですし、鏡と大我はネガティブな意見をぶつけますが二人とも明らかに真人間として描かれていないのでエムの正当性を担保する扱い、そういう点でようやく唯一、九条がエムのカウンターになりうる位置づけに浮上してきたのは、今作の希望の光であり、頼みの綱といえます。
次回、どうやらエムの人格形成に大きな影響を与えたお医者さんが登場するようですが、これをきっかけに、幾つかの根幹的問題を改善してくるようなひっくり返しは果たしてあるのかないのか。