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『超人バロム・1』感想7

◆第9話「冷血魔人 クモゲルゲ」◆ (監督:田口勝彦 脚本:滝沢真理)
「ドールゲー。悪の卵から現れるのは悪。悪のエージェント、ドルゲのアントマン達がおまえをさらうのだ」
ドルゲはエージェントの素体として、小学生向けの絵画教室を開いている画家・菊村を地下へと拉致。地中から渦巻き模様の卵が現れるとアントマンが誕生する映像は、よくわかりませんが勢いは面白い(笑)
地下帝国では不気味の絵の描かれた巨大なキャンパスが内側から引き裂かれ、
「ドールゲーーー」
と、微妙にコントめいて登場するドルゲ、自分の家で何をしているのですか(笑) 連戦連敗のダメージなのか、随所に挿入されるおどろおどろしい絵と相まって、少々、精神が不安定気味に感じます(^^;
「バロム・1を倒し、ドルゲのテスト用捕虜を集めてくるのだ」
菊村が姿を変えたクモゲルゲは、目玉の中に白目が抜いてあるのがグロテスクというよりコミカルに見え(今でいうとエグゼイドっぽい瞳)、声といい見た目といい、菊村先生の方が怖い(笑) そして何故、吠え声が「ギガ」なのか。
健太郎がこの菊村の所に絵を習いに行く事になるが、習い事より体を動かして遊ぼうぜ、という猛を「野蛮人」呼ばわりして喧嘩となったり、その猛が打ち込んだホームランボールが窓ガラスを割って菊村家に飛び込んだ事で助けられたり、という展開は小学生主人公らしいギミック。
二人はバロムクロスするが、クモは絵画教室に通う少女・マツミを人質に逃走。助け出したマツミとバロム・1が、顔見知りと思われる会話をごく普通にかわすのですが、マツミちゃん、いったい何者。あまり派手に活動しているイメージは無いのですが、バロム・1もいつの間にやら、“みんなのヒーロー”として世間に認知されているのか。
人質を奪還されたクモはすごすごと地下に逃亡し、ドルゲより更なる超能力を授けられる。
「さあ行けー! そして人をさらい、テスト用の捕虜の檻をいっぱいにし、バロム・1を倒し、おまえの使命を果たすのだ」
指示は一つでお願いします。
日本語の不得意な人みたいになっているドルゲは、今回どうも、情緒不安定気味に見えてなりません(笑)
再出撃したクモは次々と市民を卵に入れて地下へとさらっていき、ナレーションの発声でアジトは「ドルゲ洞」と確定。
一方、この連続失踪事件を記事にした日読新聞の白鳥デスクの下を、根拠無く世間の不安を煽っているだけだと報道の中止を求めて木戸刑事が訪れていた。
「新聞社には新聞社としての立場があるんですよ!」
「いかん、この俺が許さん」
イリーガルヒーローみたいな事を言い出した木戸刑事の、官憲の横暴を振りかざす姿に記者魂の燃え上がった白鳥デスクは反発を強め、その対立は会社を訪れた二人の息子を巻き込んで大炎上。

「よーし、そんならもう、君の息子とは、付き合わせないからな」
(人の×××で飯食ってるブン屋風情がお高くとまりやがって。扇風機みたいにベラベラよく回る舌だが、口も軽けりゃ頭の中身も風船みたいに軽いと見える。てめぇんとこの口ばっかり達者な小僧と一緒に居たら、うちの猛まで薄っぺらくなっちまう。部屋にとじこもってクロスワードでもずっと解いてろ!)
「ああ! こっちこそ望むとこだ」
(いい情報源だと思ってちょっとおだてたら調子に乗りやがってこのポリ公が。鬼刑事だかなんだか知らんが、間抜けな犬ほどうるさく吠えるとはよく言ったものだ。あんたのとこのバカ息子と付き合っていると、大事な健太郎まで頭が空っぽになってしまう。あんたら親子は山にこもって脳まで筋トレがお似合いだ!)

変身ヒーロー物で、昭和40年代の家長主義が噴火するという、あまりにも予想外の展開。
「あの猛と付き合うなよ。いいな。……いいな!」
「やだよ!」
「よーし、猛と付き合うなら、監禁だ」
お父さーーーん。
70年代的な仕事人間ではあるものの、インテリ肌の良識派と思われた白鳥父が、思わぬ形で大暴走。子供同士は仲が良いのに、父親同士のメンツのぶつかり合いで間を裂かれて深刻な事態に……というのは今作ならではの変化球が良い所に決まりました。
一方、立場が小学生寄りかと思われた松五郎も意外と冷たく、ロープで縛って猛を拘束……って、木戸刑事に買収されていた。
かなり最低な感じになった松五郎は猛の口に猿ぐつわまでかませ、そこにやってきた事情を知らない姉、猛が悪戯を叱られたのだと思い込み、轡を更にきつく締める(笑)
この当時の作品を色々見ていくと他にもぶつかるのかもしれませんが、未だかつて見たことのないクラクラする展開で、冷や汗が出ます(笑)
片や監禁、片や緊縛、果たして真ヒロインに近づくのはどっちだ?!
宇宙最高裁判所の判断が待たれる中、謎のアイテム(造花?)で内部からさらりと鍵開けに成功した健太郎だが、白鳥家に出現したクモゲルゲにさらわれてしまう。猛の部屋には、健太郎をさらった、という投げ文が放り込まれ、割れた窓ガラスを利用してロープを切断する猛が、健太郎に負けず劣らずの冒険野郎ぶりを披露。
EDテーマをバックに、罠を覚悟で健太郎を助けに走る猛。ヒロインゲージのぎゅんぎゅん上昇する健太郎はボートに乗せられて「来るな!」と叫んでおり、これは猛がボートに辿り着いた途端にボートが爆発するやつでは、と身構えていたら、池に飛び込んだ猛を襲う水柱。水中にアントマンが待ち構えていた? という事かと思われますが、健太郎がボートから手を伸ばして水中でバロムクロスしてしまい、待ち構えて罠を張ったにも関わらず「健太郎と猛を近付けてはいけない」という基本の基本がすぐに放棄されてしまうのは残念。
ボートに爆弾なら「2人が近づこうとするのを逆に利用する」罠になりますし、当時のヒーロー番組としてはこのぐらいの障害があれば充分盛り上がったのかもしれませんが、バロムクロス対策が毎度雑に破綻してしまうのは、もう一工夫欲しくなる所です。
水中から飛び出したバロムワンは、突然の手持ち武器・バロム銛を投げつけてアントマンを刺殺。
「マツミちゃんはどこだ!」
とクモゲルゲに向けて叫ぶのですが……いつそんな話に(^^;
クモゲルゲはドルゲより付与された超能力でクモ糸を放つも、肩を揺らしてそれを笑い飛ばす正義のエージェント。
ナレーション「バロムの体は、クモゲルゲの電気糸にも耐えるのだ」
ストロンガーばりに何もかも通用しない。
恒例のカーチェイスでクモを追い詰めたバロム1は、バロムブレイクで高所から叩きとして弱った所をバロムフライからの超高度バロム踏みつけを浴びせ、クモは卵に戻ろうとするも爆死。その際に超能力の反動なのか、地底に捕らえられていた捕虜達は卵に乗って地上に帰還し、菊村も人間の姿に戻り……今回は、みんな運が良かったな!
捕虜はそのまま、菊村は爆死、という酷い結果になるかと思ったらマイルドに着地しましたが、基本、悪のエージェントの変身前が登場した場合は人間に戻る、という形になるのか。
マツミは大団円シーンの絵画教室にごくごく普通に登場し、編集段階で、だいぶカットでもあったのか謎(^^;
木戸刑事と白鳥デスクの軋轢も特に触れられないままなのですが、両父の問題が次回に続いたりは……しないだろうなぁ……。罠の突破が毎度の『バロム・1』で大雑把だったのは残念でしたが、途中の予想外の、しかしあり得る展開部分は面白かったです。