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『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』感想


 セクシーコマンドーにより銀河が救われてからしばらく後――とある惑星で巨大な怪物退治を成し遂げたピーター達ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーだが、手癖の悪さを発揮したロケットが守るべきお宝を盗んだ事から、一転して追われる身に。宇宙船を半壊させながらも、どうにか逃げ切った一行に救いの手を差し伸べたのはなんと、ピーターの父親を名乗る男だった……。
いやー、面白かった!
コミカルなタッチをベースにして矢継ぎ早にギャグを繰り出しつつ、怒濤のアクションと壮大なスペクタクルの中で登場人物それぞれの家族と仲間への思いが交錯し、ハイテンポで繰り広げられる大宇宙冒険活劇! 高い完成度でド王道を突っ走りきり、爽快感あふれる見事なアクションエンタメでした。
登場人物の大半がトラブルメーカーという作風は継承され、とにかく皆厄介、皆知力低め。特に刺青戦士のこれが本物の知力1だ!!という言行は凄まじく、そんな突き抜けたキャラを使いこなす事で面白くしてみせる、という作劇がお見事。
変な邦題ですがシリーズ第2作なので、キャラクターの関係性など第1作を踏まえてこその作りですが、詰め込んだ要素を見事に処理してみせたハイレベルのエンタメ作品で、完成度の高い王道こそ最強、という路線が好きな方には、1−2作合わせてお薦め。
実のところ、序盤の金色星人がメイクと戯画的な性質の強いギャグのせいで安いコントめいて見えてしまい、最初しばらくノれなかったのですが、露骨な不審人物が出てきて、もう一方で波乱が起こり……という開始30分過ぎぐらいからグイグイ引っ張られて、そこから先は文句なく素晴らしかったです。
マーベル映画全体での蓄積もあるでしょうが、個性溢れる、というかアクの強いキャラクターそれぞれに見せ場を与える集団ヒーローものとしてのバランスの取り方も相変わらずお見事。敢えて言えば劇中ポジションに対してガモーラがやや見せ場不足に感じましたが、そういう点では今作は、ロケット回。
以下少々、本編中盤以降の内容に触れる感想。





一番好きなシーンは、中盤の山場である、オールディーズナンバーをバックにした大虐殺。前作でいかにもおいしいキャラだったヨンドゥと、ロケット&グルードの共同戦線という熱い展開に、ただ逃げるだけではなく裏切った敵をポップに皆殺しにしていくという、突き抜けた狂いっぷりが素晴らしかったです。
一部洋ゲー的なノリというか。
ヨンドゥの魔法の矢は前作でも非常に格好良かったので、今作では存分に見られて大満足。ピーターとの関係もしっかり収めてくれて、ラストシーンはもうベタもベタなんですが、ベタをやりきってくれてとても良かったですし、そこから、かつての仲間達が見送りに来る、というベタの二段重ねは最高でした。
やはりベタとは、恥ずかしがらすにやり抜いてこそ、と改めて。
ベタといえば、ビデオメッセージを超えるクズさ加減が溢れて漏れ出す立体フィルモグラフィーが、しっかり伏線として機能したエゴもクズ父道のベタを走り抜けて良い悪役でした。
オールディーズの歌詞でクズぶりを補強するのも作品の特性を活かして秀逸で、宇宙人に拉致られて厳しい少年時代を過ごしてきた事で、そのクズぶりに気付かないスターロードがキャッチボールとかしてしまうのが泣かせどころでありますが、そこから、既にクズ父と訣別しているガモーラとの間に亀裂が生まれる、という構成も鮮やか。
アホっぽい作りの馬鹿なアクション映画と思わせて、こういった部分がしっかり出来ている基礎体力の高さがさすが。
テーマ的には、「孤独でなくなる方法を間違えた父親(巨大な子供)」を「孤独でなくなる方法を見つけ直した息子」が打ち破り、神殺しを通して人間としての繋がりを再確認する物語なのですが、そこに至る道筋の中で、「家族」「仲間」「絆」をただマジックワードとして振り回すのではなく、メインキャラそれぞれの背景と距離感に基づいた上でクライマックスに集約する――その上であくまでもユーモアを忘れないアクションエンタメを成立させる――というのが、お見事。
その決着に、パックマンが繰り出されるという絵は本当に酷かったですが(笑)
映画『ピクセル』(未見)の頃に、『パックマン』は日本よりもアメリカでの方がアイコンとしての象徴性が高いという話を聞いた覚えがありますが、あのアイデア、よく通ってよく映像化したな、と……! いやちゃんと前振りもあるし、面白かったのですけれども。
お馴染み次作への引きはご愛敬というところですが、満足の一本でした。