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『轟轟戦隊ボウケンジャー』感想・第42話

◆Task.42「クエスターの時代」◆ (監督:諸田敏 脚本:大和屋暁
真墨、久々に脱ぐ。
……はさておき、究極クエスターロボに完敗して這々の体で基地に撤退したボウケンジャーを待っていたのは、ミスター・ボイスの辛辣な厭味であった(そしてすぐに退場)。
「ひどいもんだねぇ。アルティメットダイボウケン、及び、ダイボイジャーは大破。ボウケンジャーの全員が、負傷。ズバーンはしばらく行動不能。そしてシルバーくんは、石化。君たちが命令違反さえしなければ、こんな事にはならなかったのにさ。ふーぅー」
「なによ、あの言い方」
「少しは生きて帰ってきた事を喜べってんだ」
ネズミを取らない猫に用は無いんですよ!
誰が命令違反で現状を招いたかといえば、映士がオウガを追う事を止めなかった(映士が石化した遠因)、あまつさえ映士についていった(戦力不足とさくらの選択の原因)、不滅の牙という事になるわけですが、さすがにその自覚があるのか珍しく沈痛な面持ちでじっと考え込んでいたチーフは、牧野先生によるビークルの修理を待って総員待機を指示。
ここでやや意識過剰に責任を背負い込みすぎるのでもなく、無責任に文句を言うのでもなく、突き詰めていくとチーフがチーフであるがゆえの選択に原因があり、それをチーフが自覚している、というバランスは前編・中編の流れを汲んで、うまくまとまって良かったです。
“悪が悪である故に負ける”描写が上手いと物語の納得力が上がりますが、今回のボウケンジャーの窮状は“チーフがチーフである故に招いた危機”であるというのは、通常のヒーローサイド(ヒーローがヒーローであるが故に勝つ)の逆を大規模な形で突いてきて、ここまで約40話の蓄積が活きました。
その頃、幻想の高丘家で母ケイの料理を口にしていた映士は、ボウケンジャーの仲間達の事を思い出していた。
映士メモリーの中の皆は満面の爽やかな笑みを浮かべており、
そうか、映士には皆が、そう見えるのかというのが、映士のこれまでの長い孤独をズシリと感じさせて、凄く切ない気持ちになります(笑) が何故かこう、辛い……と思いつつ、笑ってしまうのは、ボウケンジャーの面々の人格的問題。
なんというかホント、えらい相手にプレシャス認定されてしまいました。
映士視点の仲間達への想いが、純粋ゆえに重く臓腑を抉ってくると同時に、孤独の中で映士を「待っていた」ケイと、孤独の中で仲間達の元へ「戻ろうとする」映士が対比されているのは秀逸。
一方、現実世界ではアルティメットクエスターロボが年末らしく街を大破壊中。
「さあ人間に……世界よ!!」
「俺たちにひざまづけ!」
何やら考え込んでいたチーフは、牧野の様子を見にいくと言ってサロンを出ると、今回も抜け駆けして1人で出撃。命令違反をなじられて半日も経たない内に、自分で出した命令を無視してチーフ特権で単独行動するという、反省の結果がアクロバット
「クエスター! これ以上好きにはさせない!」
「その声……ボウケンレッド!」
「……使わせてもらうぞ、映士」
究極クエスターロボの前に立ちはだかったのは、多分ボイスさえ存在を忘れていたサイレンビルダー
サイレンビルダーを、乗りこなせるなんて」
基地ではチーフまたも抜け駆けに続いてビルダーを操縦している事に蒼太が驚いており、サージェスレスキュー用のシルバースーツに対応したマシンという事もあるのでしょうが、サイレンビルダーの特殊性をアピール。
初登場補正があるとはいえ、やたらめったら強かったデビュー戦の後、追加戦士の単独ロボ(ジョイントは共通だが合体はしない)という都合でどうにも戦力的位置づけが曖昧になって道中いらない子になりかけていたサイレンビルダーですが、後付けながらここで劇中での位置づけが明確に。……となると、サイレンビルダーの抱える最大の問題はシルバーの操縦技術という事になるのか。
まあこれまでの経験値から考えると当然ではあるので、これは最初にチーフをシルバーに据えようとしたボイスの人事が正しく、生身の戦闘力はともかくロボの操縦は素人と思われる(獣の勘でこなしてきたのは凄いですが)映士をシルバーにしてしまったチーフの人事が間違っているという…………ここに来て圧倒的に正しいよボイス?!(笑)
と、今まで不滅の牙のイケイケドンドンで押してきたボウケンジャーの在り方が、ボイスの時に非情な価値観と正論の前にボロボロと崩れ去っていくという、予想外の展開(笑)
やはり年明けから、ボウケンジャー2誕生なのか?!
「どうして一人で……」
さくらは抜け駆け前にチーフがいじっていたノートPCを調べ、究極クエスターロボに立ち向かうサイレンビルダーは、超加速パンチで先制すると、ジャッキ機能でビームを回避。
「性能の差は腕でカバーする!」
(……あれ? 今、俺様、明石に役立たず扱いされた……?)とセロリパワーできゅぴーんと来た映士は家の外に出ようとするが、ケイに止められる。
「お願い……ずっとここに一緒に居て。もう独りはいや!」
「お袋……」
胸に飛び込んできたケイを抱きしめ返してしまう映士だが、その腕の中でケイは密やかに悪い笑みを浮かべ、そろそろ正体が見えてきましたが…………えー……アシュ・根滅!!
一方サイレンビルダーはビームの打ち合いに負け、チーフの抜け駆け・ロボ大ピンチ、という状況になにやら既視感がありますが、難しい顔でPC弄っていたチーフ、なんかまた、新たなプレシャスの情報を発見したのでは。
「だって、宝の地図だぞ? かーーーっと熱くならないか?」
じゃなかった、
「戦力差は歴然か……確かにその通りだが、まだ方法はある」
チーフが調べていたサイレンビルダーのデータを確認していたさくらは、山間部にホムンクルスを誘導するチーフの狙いに気付いて衝撃を受ける。普段誰よりも冷静な判断を行うさくらが、慌てるあまりに足をもつれさせて転び、助け起こそうとした真墨と菜月を振り払って感情を剥き出しにするというのは、さくらさんのここぞの本音の表現として良かったです。
「チーフ! 応答して下さい、チーフ! お願いです! 返事をしてください! チーフ! お願いです、応答してください! チーフ、チーフ!」
通信が届いているにも関わらずチーフはさくらの必死の叫びを無視し、サロンの大型ディスプレイに飛び込みかねない勢いのさくらを引きはがす3人。
「チーフーーー!!」
そして戦いの趨勢を見守るネガティブの皆さんは、共倒れを期待するというひたすら情けない状況だった(^^;
「ボウケンレッド、そろそろ決着をつけようじゃないか」
「奇遇だな。俺もそう思ってたところだ」
ホムンクルスと四つに組み合ったサイレンビルダーは赤熱すると、ホムンクルスから引きはがされまいとその体を掴む……圧倒的戦力差を覆すチーフの狙い、それは、サイレンビルダーに積み込まれたネオパラレルエンジンの臨界突破による暴走だった!
「こいつ、自爆するつもりか!」
「うっそー!」
そう、自爆こそ宇宙最強のセキュリティ。
(みんな……みんな……後のことは、映士のことは、頼む)
敵に鹵獲されそうになった時はこれを押して証拠隠滅してね、という目的でコックピットに設置してあると思われる赤いボタンをぽちっとな、の寸前……
「やめてください、チーフ!」
「自爆なんて、絶対にさせないからな!」
「僕たちを巻き込んじゃ、一人で来た意味はないでしょ」
「一人で来るなんて、酷いよチーフ」
「私たちは、チームの筈です」
牧野先生が超特急で修理を終えた4台のビークルに乗った仲間達がサイレンビルダーの元へ集う!
「しかし……他に方法は」
「方法ならあります!」「俺たち全員で」「力を合わせて」「全力で戦う!」
遂に完全に精神論になってしまいましたが、第11話(抜け駆けチーフ大ハッスル編)における


「5人の心が一つになれば、新たな力が……覚醒します」
「奇跡だね」
「いいえ、私たちの、想いの力です」
という美しい誤解から生じたスーパー化を、意図的に誤解抜きでやり直しているのかと思われます。また、ビークル搭載のパラレルエンジンを遠隔爆破する事によるプレシャス破壊、にともなう尊い犠牲にされそうだった4人を救う為にチーフがゴーゴードリルで出撃する第4話を裏返す構造になっているのも、狙い澄ましたのかなと。
「みんな……」
駆けつけた仲間達の姿と言葉にチーフは自爆を思いとどまり、4台のビークル大活躍で究極クエスターロボに反撃。
「みんなすまなかった……おかげで目が覚めた。 お前達の為とか……世界の平和や安全だとか…………そんなのは理屈だ。俺は冒険が好きなんだ。 俺たちはチームだったな。常に全員が諦めず、精一杯の力を出す。……俺たちはいつもそうしてミッションを達成してきた」
「わかればいいの、わかれば」
命令違反がなんだ!
世界の危機がなんだ!
最後にプレシャスを奪い取れば勝ちだ!!
そう――
ボウケンジャーは、自己肯定力をますます強化した!!!
「映士だって必ず戻ってくる! あいつはボウケンシルバーだ! 奴の冒険はまだ終わらない」
更にここで、映士の帰還を信じる意志を「奴の冒険はまだ終わらない」という言葉にまとめ、初期から割と身勝手に「おまえは仲間」と主張し続けてきたチーフが改めて、映士は「ボウケンシルバーである」事を高らかに宣言する――宿命に絡め取られた高丘映士を乗り越えた、ボウケンシルバーである映士を信じ直す――というのは良かったです。
超優秀メカニックである牧野先生(映像的には、ボウケン基地の修理マシンを一人で操って超高速並行修理を行っていた)からは、全ビークル修理完了の連絡が入り、自己肯定力が更なる高みに至ったボウケンジャーはネガティブに屈さない!
「チーフ……指示を」
「総員全力でホムンクルスを殲滅する。アタック!」
そして夢幻の高丘家では……
「悪い……やっぱり俺、行かないと」
「え……?」
「いつかまた、会いに来る。だけど今は……仲間達が待ってるんだ。だから……。短い時間だったが、嬉しかったぜ、お袋」
何が自分にとって「大切な宝」なのか、決して手放せないものの存在を自覚した映士が、今度こそ面会時間の終了を告げていた。
ケイ側からすると「もう満足したから帰る」的な割と酷い言われようなのですが、この後明かされる真相とは別に、“自分を拘束しようとする親からの脱皮”が象徴的に描かれており、ケイを不穏に描く事で、子供から見た親という存在の二面性を活写してみせたのは、大和屋さんの持ち味でしょうか。小林さんからのパスを受けた上で、面白い広げ方となりました。
「どうしても、行くというの?」
「ああ。あいつらと知り合う前だったら、ずっとここに居たのかもしれねぇ。だが俺は……あいつらとの冒険を知っちまった」
仮にその孤独を埋められるのだとしても、ケイが死者であるという事実は覆せず、ならばこれは“生者と死者のどちらを選ぶのか”という問題であり、映士は、生き続ける事を選ぶ。
以前に少し触れましたが、この“死者(過去)に引きずられてはいけない”というのは、『ボウケンジャー』全体の進行方向と思われ、うまく繋げて組み込みました。
「行かせない」
ところがその映士の言葉に、豹変したケイはなんと、オウガに変身。
「おまえはこの次元の狭間で生涯さまよいつづけるのだ。決して逃がしはしない」
前回時点でクエスターから、映士の石化は「かけられた当人しか破れないオウガの術」と言及されていましたが、全てはオウガの怨念が見せる甘い罠だったのだ……つまり、むしゃぶりつくように映士を押し倒していたのも、手を繋いで砂漠を歩いていたのも、薔薇の花を生けていたのも、手料理を振る舞っていたのも、独りにしないでと腕の中に飛び込んできたのも、全て、ケイ愛の高まりすぎたオウガの熱演だったのだ!!
西のアシュの長オウガ、あの「僕の手を握ってドキドキしたかい? おまえは最初から、騙されていたんだ」(『五星戦隊ダイレンジャー』)レベルの高度な変態。
……正直この人、西の一族でどーいう目で見られていたのか大変心配です。
「逃がしはしないぞ絶対に!」
「なに勘違いしてやがんだ」
「なに?!」
「俺は逃げるんじゃねぇ。居るべき場所へ戻るだけだ!」
映士とオウガは砂漠で再び激突し、高丘映士として自分の人生を前に進んでいく事を、完全に掴み取った映士の肘打ちが至近距離で炸裂。
「そうよ、映士」
そこに母の声が響くと、父との絆でもあったあの錫杖が映士の前に現れる、というのはとても良かったです。
「高丘流、アシュ・根滅!!」
映士が久方ぶりの錫杖アクションを披露し、この3話、映士の生アクション面でも至れり尽くせりなのが大歓喜にして、ドラマもしっかり乗りました。
「け、けぃぃぃぃぃぃ!!」
映士親子の魂の繋がった錫杖で土手っ腹を貫かれたオウガは今度こそ完全に消滅。どこまでも未練がましく、「駄目だこの人」が濃厚に凝縮された、いい末期の叫びでした(笑)
「映士……」
「…………お袋!」
砂漠に朧に浮かぶ母親に駆け寄る映士だが、その服装は闇の衣から銀のジャケットへと代わり、ケイをすり抜けるようにして現実に帰還。ケイは寂しそうに目を伏せながらもしかし確かに微笑み、決して触れ合う事はかなわなくても、映士の選んだ道を応援して遠くから見守り、映士の事を想い続けている母の愛が鮮やかに表現され、やや消化不良となった第20話をしっかり補強して、好演出でした。
「お袋……ありがとう」
現実世界で目を覚ました映士も、口元で笑いかけながら、しかし涙をこらえるような表情で、本当の意味での高丘の宿命からの脱皮、次元の狭間で永劫の孤独を味わいながらもその背を押してくれた母の気持ちを確かに感じて、喜べばいいのか泣いていいのか、整理しきれない感情が表現され、母子ともに素晴らしい表情。
…………ところで結局、映士父は回想どころか名前も出てこず(あの錫杖は映士父の象徴と見ても良いでしょうが)、映士両親の種族を越えたロマンスの真実は視聴者の想像にお任せとなったのですが……ケイ、夫の事は割とどうでも良いけど、息子の事は愛している、という事なのでは、という印象が私の中でふつふつと(笑)
いやここは、美しい方向に妄想しておく所だとは思うのですが、ガイが言っていたアシュを増やす為に高丘父に近づいた美女連環の計というのは真実で、でも生まれた子供は可愛いし、首飾り一つで凄く盛り上がった思い込みの激しい夫(このちょろさ、勘違い幼なじみを思い出すなぁ……)はまあ置いておいて、子供には好きな道を歩んでほしい、的な愛情だったのでは、という気が。で、本当は適当な所で息子をセロリ浸けにしようとする夫の元を離れて、二人で生きていこうと思っていたのだけど色々あって先に死んでしまった為、高丘父の中で美しいメモリーだけが過熱して巨大な宗教画のような存在になってしまったのではないか。
……今作の構造的に、(元ヒーローを配してはいるものの)高丘父ってどうしても乗り越えられる/振り切られるべき立ち位置に居るので、劇中描写が少ない事もあって、なんとなくネガティブに捉えてしまいます(^^;
そいういえばこの辺り、菜月両親は間違いなく娘を愛していたけれど、その願いの篭もったプレシャスは菜月の手によって封印される事で、菜月は両親(この二人もまた“死者”である)の愛を受け取りながら同時にそれを乗り越えて自らの生を歩み出しており、『ボウケンジャー』全体のテーマを汲みつつ、レムリアの太陽編後半を担当した大和屋さんの中で、今回のエピソードと繋がっているのかもと思えます。そう見ると映士が父の形見である錫杖により母のストーカーとの因縁に決着をつけた後、闇の衣と錫杖を失って銀のジャケット姿になる、というのは象徴的。
一方、ホムンクルスにメンバー分割搭乗で立ち向かっていたダイボウケン、ダイタンケンサイレンビルダーは、数の利を活かした包囲攻撃でもその猛威を止める事が出来ず、窮地に陥っていた。
「ここまでのようだな」
「これで終わりだ」
「いや、まだ終わらない!」
だがそこへ、もしかしたら最後の発動になるかもしれないスキル《正義の味方》により駆けつけたのは、シルバー搭乗のゴーゴーボイジャー
「明石! 俺様のビルダー、もうちょっと大事に扱えよ」
最近完全にいらない子扱いしていましたが、まさか本当に爆破処理寸前になるとは、私も思いませんでした!
エスターが驚愕する中、ボウケンジャーは再び6人が揃い、コックピット内映像で、シルバーとメンバー各員とのやり取りを一人ずつ見せて、やや強引ですが、チームとしての関係性を強調。どうしてもシルバー(映士)と他の5人との距離感は描写不足の印象がありますが(會川さん離脱で一番想定の狂った部分かと思われます)、演出面で補強を入れました。
究極クエスターロボにクリスマス総攻撃を浴びせたボウケンジャーは、ダイボウケンonバイク戦艦+ズバーンの合体必殺技により、史上最大の強敵・究極クエスターロボを、真っ向両断。
いつも通りの逃げ足の速さでメルクリウスの器を持ってトンズラするWクエスターだが、その前に立ちはだかったのは、眩き冒険者・高丘映士。
「そのプレシャスは、ボウケンジャーが手に入れる!」
アシュの監視者としてではなく、ボウケンジャーの一員として宣言する映士ですが、台詞からヒーロー感が減じるのは何故なのか(笑)
「クエスター! これ以上おまえ達の好きにはさせない!」
「決着を、つけようぜ」
映士を中心にフル名乗りでボウケンジャーが揃い踏みし、シルバーのテーマ曲をバックに、シルバーvsガイ、残り5人vsレイ、で変則マッチアップ。
「俺は飽き飽きしちまったぜ。おまえらのしつこさにな! だからもう、おまえらとの事は終わらせる」
「は! 終わらせる? おまえにそんな事できんのかよ」
「ああ、出来るとも。そして俺様は、仲間達と新たな冒険を始めるんだ!」
母への想いに一つの区切りをつけ、その愛を確かに受け取ってフル充電のシルバーは、ある意味ではこだわり続けていれば他の事を何も考えなくても良かった、ガイとの因縁に決着を付ける事で完全に過去を乗り越える覚悟を固め、激突。空中での銃撃戦でガイを上回ると、トドメはサガスカマ回転斬りでキラキラ一閃。
「オウガが地獄で待ってるぜ。さらばだ、ガイぃぃ!!」
「た・か・お・か・のぉ……うあぁぁぁぁぁぁ……!」
ガイ、やられ絶叫、更に飛び降り、からの大爆発で派手に死亡。
その死に気を取られたレイは真っ正面からドリルの直撃を受け、続いて死亡。
アシュ、そしてクエスターとして長くボウケンジャーを苦しめた両名は遂に最期を遂げ、人類にとっては不倶戴天の敵性種族であり、卑怯卑劣な性格でありながら、最後の最後まで二人の仲間意識が強かったのは、一つ面白い特徴でした。
これまでずっとロボット爆発から華麗に逃げ続けていたので、今回に限って回り込まれてトドメを刺される理由が少し弱かったのは残念でしたが、特にガイはCV:三宅健太の好演もあり、最後までおいしい悪役ぶりで、良かったです。

「プレシャスは早いもん勝ちじゃないもん!」
「そうよね〜、強いもん勝ちだもんねぇ!」
は、今作の本質を悪の側から突いた、屈指の名台詞(笑)
かくしてボウケンジャーは、壊滅もしくは解雇そして多額の賠償請求、という最大の危機を辛くもくぐり抜け……まさかまさかの、東映名物・勝手にお墓!
「なんであいつらの為に墓なんか作ってやるんだ」
「奴と俺様は長い付き合いだったからな。これぐらいしてやってもいいだろ」
映士は見た目通りの年齢ではないのでは説があるそうですが、確かにこの台詞は、10年20年よりもより長い年月を感じさせるところです。高丘の一族そのものとの長い長い因縁、というニュアンスを含んでいるのかもしれませんし、或いは、これまでの映士にとってはそれだけ世界は狭く、ガイとの関係が濃密だったという事なのかもですが。
ラストの決戦時にガイが口にした「終わらせる? おまえにそんな事できんのかよ」というのは、両者の間に通じる獣の部分の存在を感じたのですが、であれば映士にとって、半分は同族であったガイとレイを土の下に葬るというのは、自分の中の半身を葬り去る為に必要な儀式であったのかもしれません。
「とうとう、クエスターを倒したんですね」
「だがまだ終わったわけじゃない。そうだろ映士?」
「ああ、世界にはまだたくさんのプレシャスが眠ってる。お前らと一緒にやる冒険は、まだいくらでもあるぜ!」
以前に映士の、ボウケンジャー加入後も躊躇無く「俺様より使命を選ぶ」姿には、どこか自分の命の扱いが軽い危うさがあるように見える……と書きましたが、映士の見つけた「自分だけの宝」は、生きて仲間と冒険し続ける事に着地。そしてそれこそが、時の止まった世界で母と一緒に居るのではなく、流れていく世界で仲間達とある事を選ぶ、という決断の理由になった、という形で綺麗に決着しました。
理念的にはここで、映士が真実ボウケンジャーの一員となったところで、つづく。
重ねて作品全体としては、映士と5人の距離感の積み重ねが物足りなかった感はありますが、やはりここで、映士が本当の意味で仲間となる、という構成だとすると、ボウケンジャー(サージェス)という社会と馴染みきれない映士の一波乱、という構想があったけど描ききれずにすっ飛ばされてしまったのかなぁ……と考えてしまうところ。
とはいえ1エピソードとしては、メインライター離脱+3部作の中編から担当、という逆境の中で、前・中編の流れも汲んで映士の変化と決断を納得の行く形でまとめ、大和屋さんがさすがの構成力を発揮。
前回のネガティブ達の冒険、これまで組織の正義を覆してきた冒険者の正義が逆に破滅的な危機を招く、第4話の裏返し……など作品で積み重ねてきた要素の幾つかを反転させて取り込んでいるという目配りと仕掛けも面白く機能し、序盤からずっと戦いっぱなしのエピソードにも関わらず、チーフの責任感、さくらの絶叫、映士の選択、オウガの怨念、母の愛、などなども織り込まれた上で、ロボ戦に留まらず最後にフル名乗りまでねじ込むという実に濃密な内容は、大和屋×諸田が、非常にいい仕事。
そして度肝を抜かれるオチ(笑)――がネタ以上の意味を持つのも含めて――中編までの消化不良を吹き飛ばしてくれる面白さでした。
まずはクエスターがリタイア組織第1号となり、クライマックス展開へ向けてウォーミングアップが完了したところで、次回――親方! 空からミニスカのサンタが!!(あれ?)