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『仮面ライダービルド』感想・第23話

◆第23話「西のファントム」◆ (監督:山口恭平 脚本:武藤将吾
「猿渡一海、29歳・独身。ネットで初めて貴女と出会った時から、心火を燃やして、フォーリンラブでした! あ、握手して下さい」
溢れる想いをオリジナル熟語を交えて伝えるのが絶妙に痛い頭、35歳ぐらいかと思っていたのですが、ギリギリ20代でした!(なお演じる武田航平さんは32歳)。
臨時マネージャーとなった紗羽から、握手したいなら5万出せ、と言われてあっさり出そうとする頭、この人やはり、以前にみーたんが集めた、戦兎と万丈の北都密入国資金を知らずにカンパしていたのでは……。
西都による北都侵攻の関係で東都政府も混乱しているのかもですが、デュエル終わって決着ついたし北都首脳部から連絡来ないんでとりあえず家に帰るわと3人で去って行こうとしたり、西都侵攻の連絡を受けた戦兎達と東都の政府官邸に同道したり、グリス一味の扱いが雑にも程があるのですが、持ち込んだ要素(今作においては「戦争」)により劇中世界のリアリティが引き上げられた事による諸条件の変化が何も勘案されていなくて、頭痛い。
それこそ、敗北したライダーの処遇についてはデュエル前に政府間で協定が結ばれていたのかもしれませんが、典型的な、目立つ素材を鍋に放り込んだのは良いけれど調味料は切らしているし他の具材は生煮えだしでミスマッチという問題に直撃してしまっています。
前回までの「戦争」を舞台にキャラクターを追い詰めて追い詰めて追い詰めていく展開から、アバンのみーたんネタでかなり強引に空気を切り替えて「ひとまず戦争は終わった」事にしようとしているのですが、戦争という題材の周辺処理についてここまで考えていないとは思いませんでした。
兵士としての猿渡一味の切り替えが早いのは理解できるのですが、その周囲や政治的状況はそうは行かない筈なのに、皆まとめて切り替えようとしてしまい、前回辺りから、第2部入ってからの諸所のひずみが、雪崩を打ってカタストロフ状態。
北都官邸を制圧した西都首相から東都に宣戦布告がなされ、猿渡ファームからの生中継で、トランスチームガン?を使う西都の新戦力がお披露目。一つのガンを二人で使い回すのが物凄く間抜けなのですが、どうしてそこで経費節減したの西都?! このタイミングで表舞台に出てきた時点でほぼスタークの踏み台確定ですが、早くも西都首相に残念な空気が漂ってきました。
変身した兄弟が用いているのはカイザーシステム?だそうで、劇場版の悪役の名前(多分)がなんの説明もなく普通に出てくるのは、アメコミドラマのクロスオーバー回なみに困惑(笑)
いつの間にか単独で北都へ向かっていた黄羽が歯車兄弟に敗北して囚われ、猿渡と赤羽はそれを助けに向かうが、戦兎と龍我は北都へ入る事ができない……。
仮面ライダーである自分たちが北都に入ると侵略行動になってしまう」と、戦争という要素を活用してヒーローを大義名分で縛る仕掛けなのですが、率直なところ、そんなヒーローは見たくなかったなぁ……。
そういった現実の壁をブレイクスルーするのがフィクションのヒーローの醍醐味だと思っているので、「グリス達が東都まで引っ張ってきてくれれば防衛目的でしばけるから」と国境線でスタンバイしているヒーローの図、は私個人の嗜好としては、物凄く「面白くない」方向に転がってしまいました。
戦兎の現在の行動基準は「戦争をなるべく広げない」事なので、ビルドとクローズの越境行為が「西都に東都侵攻の口実を与えてしまう」ならまだわかりますが、既に西都、東都に宣戦布告しているわけで。そして戦兎はいつの間に、自分が「東都の保有戦力」であると認めているのか。
どうも第2部入ってから、戯画化や寓意の作用を削いだ作り手が、題材の刺激と風刺の毒に酔ってしまっている感があるのが、非常に悪い形で出た印象。
なおこの、現実の壁をブレイクスルーできないヒーロー像、というのは過去作では『オーズ』が主軸に据えていた要素ですが(ただし『オーズ』は映士がいっけん“正統派ヒーローらしく”見えるように、二重三重の工夫を凝していた)、『オーズ』も歯車が噛み合ってくるまでかなり時間のかかった作品なので、今作も今は我慢の時……なのか……?
猿渡ファームへ向かったグリスは歯車兄弟の踏み台にされ、猿渡をかばった黄羽が消滅。ここまで悪役ポジションだった猿渡に、背負うものを増やす事でヒーロー性を積み上げていくのですが、悪い意味で予定調和すぎてノれず。
そしてカイザーシステムを継承し、リモコンブロスとエンジンブロスを作りだしたのは内海である事が明らかになり、難波会長の見る前で、西都の首相にその功績を称えられる。
「西都には天下を取ってもらわんとな。その為の協力は惜しまんよ。西都の為に作った最高傑作の、仮面ライダーも、今頃は東都に向かってる筈だ」
猿渡と赤羽はなんとか国境を越えて東都に辿り着き、万丈ストッパーを前提に、初手からハザードする戦兎、万丈を信頼しているといえば聞こえはいいですが、完全に闇の力に飲まれています。
しばらく歯車兄弟と戦い、例の如く例のように理性吹っ飛び……も3回目になると、衝撃とか恐怖よりも、
(戦兎、馬鹿なの……?)
という感想になって困ります。
また、ハザード暴走は初回の演出が良すぎた為、前回今回と劣化コピーめいてしまい状況設定の面白くなさに輪を掛けてしまっているのは痛し痒し。
ビルドのぷっつんに気付いたクローズが、ハザードトリガーを射撃で強制排出する事でハザード状態を解除し、それでいいのかハザードトリガー。停止方法までどんどん雑になっていますが、なんかもういっそ、みーたんの「おねがいっ♪」がリフレインすると暴走が解除されるマスターが指定した謎のリミッター機能付きとかの方が、面白かったような気さえ。
「は?! ……仕留められなかったか」
気がついてみると状況はほとんど好転していないどころかビルドを気遣ったクローズが背後から蹴り(で良かった)入れられている始末で、無責任具合が度を超す今回の戦兎さんには、某不滅の牙の、この言葉を贈りたい。
「やめろ! 力が手に入れば、どうなってもいいのか?!」
完全に知恵も工夫も捨てて闇の力に振り回されている戦兎、その後の炭酸のスケールダウン感による盛り上がりの無さも半端ではないのですが(以後、西都ライダー登場までのバトルが単なる消化試合に)知恵と工夫というのはビルドの核だと思うので、それを見失った戦兎がどうやって取り戻すのか、という意図的な仕込みだと思いたいです。
「なんで俺たちの為にあそこまで」
「……だから強ぇんだ。……勝てねぇわけだ」
いやなんか、闇の力(しかも後始末は他人任せ)で強引に勝っていたような記憶があるのですが。
「こっちは北都の想いを背負ってるんだ」
「負けるわけにはいかねぇんだよ!」
どうも最近弱くなりがちだった戦兎&万丈のヒーロー性を外野のリアクションと自己申告で補っていくのですが、負けた理由が違う・そこまで北都の事を知らない、と台詞に内実がともなっていない為、空虚で見当違いな事に。そんな中身のないWライダーキックは歯車兄弟に防がれ、更にそこに現れる西都の仮面ライダー
前回顔見せ登場した西都ライダー、顎から顔側面に向かって伸びるギザギザ部分からクワガタかと思ったら、クロコダイルをスクラッシュしたのでワニの口のモチーフの模様。カラーリングは紫と黒を基調にしつつ、鱗のイメージなのでしょうか、胸部と頭部に白で幾何学的なラインが入っているのが、アクセントとして格好いい。
そして前回ラストも気になったのですが、後頭部に割れ物注意みたいなシールが貼ってあるのは、弱点、弱点なのっ?!
歯車兄弟から戦闘をバトンタッチされた西都ライダーは、ビルドとクローズの攻撃を微動だにもせずに受け止め、逆にパンチ一発で叩きのめす鍛え上げた大胸筋を披露。クローズチャージは前回の今回で一蹴されるという見せ場からの高加速ダイブを決め、スプラッシュもワニ挟みキックで完敗。
「なにものだ……」
仮面ライダー――ローグ」
変身を解除すると正体を見せたのは、黒いコートに紫のシャツというコーディネートに生まれ変わり、そこはかとなくざんばらに乱れた髪型がセクシーさを増した氷室幻徳。
「また会えたな……葛城」
愛が重い。
次回、仮面ライダーとして帰ってきたヒゲ元長官を掘り下げてくれそうで楽しみですが、最近の流れから心配でもあり……現状を打破する起爆剤になってくれると良いのですが。