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『轟轟戦隊ボウケンジャー』構成分析

左から、〔話数/監督/脚本/敵対ネガティブ/メインキャラ/簡易評価/備考〕です。敵対ネガティブの()書きは、プレシャスに絡んで登場するも、エピソードのメインとしてボウケンジャーと対立するに至らなかった場合を示します。

  1. 諸田敏/會川昇/ゴードム/――/○/ガジャ復活
  2. 諸田敏/會川昇/ジャリュウ/――/−/
  3. 中澤祥次郎/會川昇/DS/青/×/
  4. 中澤祥次郎/會川昇/ジャリュウ/――/◎/ドリル登場
  5. 竹本昇/會川昇/DS/桃/△/ショベル登場
  6. 竹本昇/會川昇/ゴードム/黒/△/
  7. 諸田敏/會川昇/ジャリュウ/赤/○/ミキサー、デュアルクラッシャー登場
  8. 諸田敏/會川昇/(ゴードム)/青×黄/−/
  9. 中澤祥次郎/會川昇/DS/黒×赤/◎/クレーン登場
  10. 中澤祥次郎/會川昇/ジャ×ゴー/――/○/ボウケンジャー壊滅寸前(初)
  11. 竹本昇/會川昇/ジャ×ゴー/――/◎/スーパーダイボウケン誕生
  12. 竹本昇/小林靖子/DS/桃×黄/−/
  13. 坂本太郎大和屋暁/ジャリュウ/青/△/
  14. 坂本太郎荒川稔久/DS/黒×黄/○/「おまえが、おまえが、可愛かったからだ!!」
  15. 渡辺勝也小林靖子/ジャリュウ/赤/○/
  16. 渡辺勝也小林靖子/ジャリュウ/赤/−/ジェット登場、アルティメットダイボウケン誕生
  17. 中澤祥次郎/會川昇/アシュ・(DS)/銀/○/高丘映士、アシュ登場
  18. 中澤祥次郎/會川昇/アシュ/赤×銀/◎/「なあ柾木…………俺は冒険が好きだ」
  19. 竹本昇/會川昇/ゴー×クエ/銀/◎/クエスター、ボウケンシルバー誕生
  20. 竹本昇/會川昇/クエスター/銀×黄/△/ボウケンジャー壊滅寸前(2回目)、サイレンビルダー登場、映士ボウケンジャー加入
  21. 渡辺勝也大和屋暁/ジャリュウ/黒×銀/○/
  22. 渡辺勝也大和屋暁/DS/桃×青/△/ボウケンジャー壊滅寸前(3回目)
  23. 坂本太郎小林靖子/クエスター/青×銀/◎/
  24. 坂本太郎小林靖子/(ゴードム)/黄/◎/ボウケンジャー壊滅寸前(4回目)
  25. 中澤祥次郎/會川昇/DS・(ジャリュウ)/銀/◎/
  26. 中澤祥次郎/會川昇/(ゴードム)/桃/−/
  27. 竹本昇/大和屋暁/ジャリュウ/赤/○/
  28. 竹本昇/大和屋暁/クエスター/黒/○/
  29. 諸田敏/會川昇/ジャリュウ/赤/◎/「俺が選んだんだおまえを!!」ズバーン入手
  30. 諸田敏/會川昇/ゴードム/ズバーン/×/
  31. 中澤祥次郎/小林靖子/クエスター/桃×銀/−/
  32. 中澤祥次郎/小林靖子/DS/青×黄/◎/
  33. 渡辺勝也會川昇/クエ×ジャ/黄/△/ゴーゴーボイジャー登場
  34. 渡辺勝也大和屋暁/クエ×ジャ/黄×黒/−/ダイボイジャー誕生
  35. 諸田敏/小林靖子/DS/青×桃/○/
  36. 諸田敏/小林靖子/クエスター/赤×銀/−/「そうよね〜、強いもん勝ちだもんねぇ!」
  37. 竹本昇/荒川稔久/ジャリュウ/桃/○/
  38. 竹本昇/荒川稔久/DS/青/○/
  39. 坂本太郎小林靖子/――/――/−/※総集編
  40. 坂本太郎小林靖子/クエスター/銀/△/
  41. 諸田敏/大和屋暁/クエスター/――/−/
  42. 諸田敏/大和屋暁/クエスター/銀/○/ボウケンジャー壊滅寸前(5回目)、クエスター壊滅
  43. 鈴村展弘/武上純希/ゴードム/赤/−/
  44. 鈴村展弘/武上純希/DS/――/−/ヤイバ退職
  45. 竹本昇/荒川稔久/ジャリュウ/黒/−/
  46. 竹本昇/荒川稔久/ヤイバ/黒/△/ヤイバ死亡、真墨退職
  47. 諸田敏/會川昇/ジャリュウ・ゴードム/――/○/リュウオーン死亡
  48. 諸田敏/會川昇/ゴードム/――/△/真墨復職
  49. 諸田敏/會川昇/ゴードム/――/◎/ガジャ封印

(演出担当/諸田敏:13本 竹本昇:12本 中澤祥次郎:10本 渡辺勝也:6本 坂本太郎:6本 鈴村展弘:2本)
(脚本担当/會川昇:23本 小林靖子:11本 大和屋暁:8本 荒川稔久:5本 武上純希:2本)
最多演出はパイロット版とラスト3本を担当した諸田監督。2004年の『ブレイド』を共に切り抜けた會川脚本とは相性が良かったのか、情報量の多いシナリオをテンポ良くまとめ、香川先生回、ズバーン回など重要回もきっちり盛り上げてくれました。
年間通して関わった竹本監督は、やはり第28話の夏休みロボットスペシャルでの匠の技量がひときわ光ります。
順調にキャリアを積み次作『ゲキレンジャー』で初のパイロット版を担当する事になる中澤監督は、第4話が素晴らしかった以外にも、ヤイバ先輩闇のスカウト、映士初登場〜チーフ自己肯定力を身につける、アクタガミそしてボウケン学校、と今作の振れ幅の広さを破綻させずにまとめる、演出のバランス感覚が改めてお見事。
劇場版で諸田監督、次作立ち上げで中澤監督が抜けた穴は、坂本・渡辺・鈴村監督が埋め、渡辺監督は陛下VS不滅の牙、坂本監督は菜月夏休みの冒険で、それぞれ印象深い演出。最終盤スポット参戦の鈴村監督も、脚本の武上さんともども、破綻の無い範囲でまとめてくれました。
色々あった脚本陣は、途中1クール近い離脱があったものの立ち上がり第11話まで連続で書いていた事もあり、メインライター會川昇が極端に少ない、という程ではなかったり。とにかく1クール目に會川さんが『ボウケンジャー』とはなにかという世界観の芯をびしっと提示する所から始めて、実力派サブライター陣で物語とキャラの横幅と深度を広げていくという構成だった事も幸いし、大惨事に突入せずに1年間を乗り越える事ができました。
特に、『タイムレンジャー』以来6年ぶりの戦隊シリーズ参加となった小林靖子の勘所の抑え方は鮮やかで、今作を救ってくれたといっても過言ではないと思います。
全体の大まかな流れは
−−−−−
1−11:ボウケンジャー・スタートアップ(→スーパーダイボウケン誕生)
12−16:バラエティエピソード群1(→アルティメットダイボウケン誕生)
17−20:シルバー編
21−28:バラエティエピソード群2
29−30:ズバーン編
31−32:幕間
33−34:菜月の過去編(→ダイボイジャー登場)
35−39:バラエティエピソード群3(→総集編)
40−49:終章
−−−−−
〔メインライターによる世界観構築(物語と深く連動した追加ビークル投入)→サブライター陣による拡大→メインライターによる追加戦士編〕までがまずひとまとまりと言え、これを土台にした上での21−28話のアベレージの高さが、今作のイメージを象徴するエピソード群であり、會川さん好みの表現を使うならば“8月の傑作群”とでもいったところでしょうか。ここまでは非常に、作品構成として計算通りに行っていたと思います。
その後、會川さん離脱(34〜46話間)とズバーン&ダイボイジャー投入のタイミングが重なり、ズバーンの扱いや物凄く唐突なダイボイジャーなどやや歯車が狂った印象を受けるのですが、どうも會川さんのスケジュール的破綻(確実な情勢)は 20話台の制作期間中に見えていたようなので、とにかくズバーンを話に組み込んでくれ、という所だけ強引に片付けていった結果が、急ぎ足な展開に繋がったのかな、と。
過去3年でいうと、『アバレ』(第33話)『デカ』(第34話)『マジ』(第31話)で、それぞれ強化展開を経て新ロボが投入されており、商業展開としては予定通りだったと思われるのですが、本来ならズバーン〜ダイボイジャー登場までを、會川さんが連投でまとめて後半戦へ、という狙いだったのかなと推測するところです。
會川さん不在期間は、小林靖子大和屋暁荒川稔久武上純希という錚々たる顔ぶれが留守を守るのですが、各ネガティブと決着をつけていくに辺り、クリスマス〜年明けは、ボイス問題含めてメインライター不在が響いた感があります。それでもなんとかカタストロフさせる事なく繋ぎ、ラスト3話で會川×諸田が、『ボウケンジャー』とは1年通してこうだ! というのを描いて作品としてまとめてくれたのは、本当にギリギリ間に合った! という感じですが、ホッとしました。
正直、終章入ってから、今作は《レスキューポリス》になってしまうのか、それとも『ジャンパーソン』になれるのか……とドキドキしていました(笑) まあ『ジャンパーソン』は9回表一死から8点ぐらい取られたので今作より絶望的なところからの逆転満塁サヨナラホームランだったのですが、複数悪の組織制繋がりから、そんな所まで彷彿とさせてしまうとは。
さて今作、最大の野心的特徴は「広義の侵略者(ないし人類の外敵)から世界の平和を守る」のではなく「ヒーローも(便宜上)悪の組織も同じ<プレシャス>を求めている」ところから物語を展開するというコンセプトですが、そのバラエティ性を高める為に一役買った各ネガティブの敵対回数はこちら。
〔ゴードム:10(+3) ジャリュウ:16(+1) ダークシャドウ:11(+1) クエスター&アシュ:13 ヤイバ:1〕
エスターの猛追を振り切り、祝・陛下、最大のライバル認定おめでとう!!
これは10−11話でゴードムと、33−34話ではクエスターと共闘している、というのが大きいのですが、逆に他組織との連携が無いDSは思ったより控えめ。ラスボスとなった事もあって数字上はそこまで差がないガジャ様ですが、どうも出番の少ないイメージなのは、クエスターに裏切られてから10話ほどショックでまともに敵対していない(顔見せはしている)・ズバーンを奪い損ねてから8話ほど出てこない、など活動の間隔が大きい為でしょうか。特に後半の登場の少なさは、もしかしたら役者さんのスケジュール問題などあったのかもですが、全体の構成からすると勿体なく感じるところです。
複数悪の組織制を用いている関係で、悪の組織サイドのストーリーラインが薄い、というのは好みの分かれる所ではありましょうが(アシュ→クエスターは、従来作品でいうところの「新幹部登場」ですが)、今作で一つ良かったと思うのは、各ネガティブと脚本家を紐付けしなかった事。かつて『五星戦隊ダイレンジャー』が、縦軸となる複数のストーリーラインをそれぞれ担当脚本家に振り分けるという仕掛けを用い、試みは面白かったものの横の連動がまるで無いまま終盤に突入してしまうという大失敗を犯していたので、複数ネガティブの存在をあくまで話のバラエティ性を確保する為のガジェットとしたのは正解だったと思います。
その為今作は、いつまでも各ネガティブとプレシャスを争う話を展開できる構造になっており、いわゆる『サザエさん』時空性が強く、それもまた“単発エピソードを重視した作品”というイメージに繋がっていると思う要素。一方で、(メインライター不在期間の直撃もあり)各ネガティブとの最終決戦への流れがややドラマ性に欠ける、というのが短所になったとはいえ、そこの段取りをもう少し踏めればより完成度が高まったのに、とは残念に思うところです。
各キャラのメイン回数は、以下(()内は単独メイン回)。
〔赤:9(6) 黒:8(4) 青:8(3) 黄:8(2) 桃:7(3) 銀:11(5) ズバーン:1〕
加入編が4話、クエスターとの決戦編が3話だったという事もあり、なんと映士が大勝利。メインライター不在とズバーン加入もあって30話台は若干放り投げられ感もありましたが、数字の上では不滅の牙を上回りました。でも、席は無い。
各キャラだいたい満遍なく掘り下げられた中、過去を持たない菜月はコンビ回が中心で“間宮菜月”が作り上げられていく、というのが一つ特徴なのですが、では<レムリアの太陽>編を経て、間宮菜月としての個人回があるかというと、実は無い、というのは惜しまれるところ。メイン回というほどではないものの、第44話でゲッコウ様との絡みがあったのはこれを意識してかの事かと思われますが、映士と5人の距離感の変化にまつわる描写不足と合わせて、独り立ちを始めた菜月の単独メイン回が無かった、というのは、會川さん不在の影響が出た部分かな、と。
各話評ですが、×をつけたのは、立ち上がりにしてプレシャスの扱いに関してダッシュしすぎな感があり蒼太のキャラクターも掴みづらかった第3話と、あまりにも雑だった第30話。特に第30話は、全方位に今作らしからぬ雑加減で、ワーストの1本。
△をつけたのは、構成などが微妙にしっくり来なかったエピソードで、やや辛め。
改めて振り返ると、最初の1クールの評がけっこう上下しているのですが、その中で追加ギミックとストーリーの融合が素晴らしかった傑作第4話、そして『ボウケンジャー』の思想性を示した第7話の存在が大きかったです。それから第9話で個人的に変な方向に盛り上がってしまい、第7話と第9話はこの感想の方向性を決定づけました(笑)
その後、第10−11話でそこまでの積み重ねを存分に活かして『ボウケンジャー』とはどんな戦隊であるのか、というのがきっちりまとめられ、第18話で「この方向を曲げる気はない」と不滅の牙が堂々宣言。以降はサブライター陣も世界観を掴んで縦横無尽に筆を振るい、安定の面白さでした(物語の都合で消化不良気味になったエピソードを除くと、純粋に微妙に感じたのはソロモンの指輪回ぐらいか)。
ベストエピソードは、ストーリー絡みなら、不滅の牙が力尽くで黄金の剣を引き抜く第29話。
単発ではアクタガミ編……も捨てがたいのですが、今作のエッセンスが詰まっているという点では、菜月の夏休みの冒険を描いた第24話。小林さんは鳥羽さん回も冒険学校回も素晴らしかったですし、桃太郎回などは噛めば噛むほどまだ色々と詰まっていそうな感があり、いいお仕事でした。
個々のキャラクターの話などもしようかと思っていたのですが、だいぶ長くなってきたので今回はここまで。