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『快盗戦隊ルパンレンジャーvs警察戦隊パトレンジャー』感想・第8話

◆#8「快盗の正体」◆ (監督:杉原輝昭 脚本:金子香緒里)
見所は、
「では作戦開始」
のサインを、全身全霊を込めた「○」で表現する朝加圭一郎。
つかさの疑念を元にジムがビストロ・ジュレの3人、魁利達の素性を簡単に調査し、
■夜野魁利(19):両親を亡くして兄と2人暮らし。高校卒業後にビストロに住み込みで働き出す。
■宵町透真(24):都内のフランス料理店に勤めていたが、婚約者に逃げられた事をきっかけに転職。
■早見初美花(18):現在も未解決の大量失踪事件の起きた女子校を中退、家を出てビストロに。
という、それぞれ表向きの設定が判明。
いくら国際警察が超法規的権限を持っているとはいえ、強引にしょっぴいて先の割れた竹で叩き続けたり正座させて膝の上に石を積んでいったりするのは(マスコミに嗅ぎつけられると厄介だから)駄目絶対、と管理官に念押しされたつかさは、手分けして魁利達を監視し、張り込みと言えばあんパンです。
ところがグッドストライカーが魁利達にこれを伝え、自分たちに疑いの目が向けられている事を知る3人。今回、終わってみると繋ぎのエピソードなのですが、コグレとは接触が無いというニンジンに問われた3人が改めてルパンレンジャーとして戦う理由を説明し、始まって二ヶ月目の終わりに物語の整理という要素もチラリ。
「私達、一年前に大切な人をなくしたの。それで、ルパンコレクションを全て集めたら、なんでも願いをかなえてくれるって聞いて」
「全て取り戻してくれれば、アルセーヌ・ルパンの子孫である、我が主が、君の願いをかなえよう」
改めて、超絶胡散臭い。
「なるほど〜。あいつが考えそうなことだ」
「そういうお前こそ、なんでわざわざ警告しに来た」
「おいらには、コレクションを守る義務があるからな。おまえらが捕まったら困る、ってわけ」
「だったら、警察に手を貸すのはやめろよ」
「そうだよ」
「おいらグゥッと来たら手を貸さずにいられないんだよー。おまえら人間だってそうだろうー?」
そしてコウモリニンジンを縛るルールがその口から明かされ(ただし自己申告)、あくまでコレクションとしての在り方に従っている事がわかりましたが、ではそのグッティがなぜコグレと共同歩調を取らないのか、またコグレの思惑について全て快盗達に教えてくれるわけでもない、とまだまだ不穏。
国際警察では初美花の潔白を早く証明したい咲也が囮作戦を提案し、国際警察の権限において別件逮捕と拷問は不許可だが、おとり捜査はOKだ!
そして、前回お宝回収の為にやむなく咲也と連絡を取った結果、連絡先を知られてLINE的な何かでメッセージが来るようになってしまった初美花がじわじわと追い詰められていて可哀想(深刻)。
「パトレン2号・陽川咲也、ストーカー行為で逮捕」の見出しへ向けて時計の針がまた一つ進む中、パトレンジャーは無理矢理ガムテープで金庫を貼り付けた事務方をギャングラーに見立てて暴れさせ、客としてビストロ・ジュレを訪れたつかさと咲也が情報を漏らす事で、その動向を確認する、という作戦を発動する。
「いつも俺様をこき使いやがって! 許さねぇぞ!」
「……あれは演技だよな?」
港湾作業員に扮した国際警察の人々を千切っては投げ千切っては投げ、本性の一端を垣間見せた事務方は、ルパンレンジャーが現れるとなぞなぞで時間を稼ぎ、最後はブーストダッシュで逃亡。……恐らく他にも、膝からジャスティスミサイル、胴体にジムバルカン、変形して事務方キャノン、ぐらいの機能は隠し持っているに違いありません。
一方、ビストロに動きが無いのにルパンレンジャーが現れた事に納得がいかないつかさは強引に内部に踏み込もうとするが、透真と初美花の他に、若干怪しげな口調の魁利が登場した事で追求を断念。ジュレ3人への疑念が誤解だった事を認め、(こうなったら今度、お手洗いで白い粉を発見するか……)とかは考えていません、多分。
「コグレさんが変装の名人だなんて、知らなかったなー」
「ああ見えて、あいつも意外にやるからな〜」
店に現れた魁利はコグレの変装、事務方の前に現れたルパンレンジャーは飛騨忍法・ルパン分身+衣装、と種明かしがされ、分身、器用。
一人に戻ったルパンレッドは、逃走中にギャングラーの隠しアジトに転がり落ちてしまった事務方の悲鳴を耳にし、以前に見失った構成員達が逃げ込んでいた秘密の出入り口を発見。
「やや、やめろ、ギャングラー。ぶ、ぶぅっとばすぞー」
そこでは囚われの事務方が改造手術を受ける直前で、どこかで聞いたような台詞がパロディとオマージュの二重螺旋を描いていますが、第1話での『ルパン3世』銭形警部を彷彿とさせる圭一郎の叫び、第2話での「なんじゃこりゃぁぁぁぁ!!」的なネタが4−6話では特に記憶がなく(私が気付かなかっただけかもですが)、前回は『スケバン刑事』ネタが入った事を考えると、杉原監督の方で毎度1ネタ入れようとしているのでしょうか。……まあ、今回は刑事とも警察とも特に関係が無いので、脚本時点からかもですが。
「あら、とうとう見つかっちゃったのね」
様子を探るレッドの背後に音もなく現れたのは――
「私はゴーシュ・ル・メドゥ。ギャングラー1のドクターよ」
そこはギャングラーをかき回す魔性の女にして闇のドクター、ゴーシュの人体実験施設だったのだ! 丁寧に自己申告してくれたゴーシュさん、そういえば以前にぬいぐるみギャングから人間を買おうとしており、暗闇の底で何やら非道な事をしていたのが窺えます。
快盗を追って遅れて駆けつけた圭一郎は事務方と人々を助け、ルパンレッドはゴーシュとバトル。ルパンレッドの背後を完全に取り、艶やかに笑い続ける余裕を見せながら両手の平から光弾を連射し、弄ぶように快盗と踊るゴーシュの格は上手く表現されており、あっちもこっちもハッピートリガーの多い世界です。
「見えるわよ……あなたの全て。いい所も悪い所も全て」
双眼鏡のようなコレクションでルパンレッドを分析したゴーシュは、いつもの巨大化アイテムに取り替えると、構成員を巨大化させて退場。
「坊や……次はもっと楽しませてね」
快盗赤はジェットで対応し、そこに青黄が合流して快盗合タイムすると、ルパンカイザーで巨大戦闘員@騎馬戦フォームを粉砕。ルパンレンジャーは国際警察によるカチコミ3秒前の危機を脱すると共に、ギャングラーのアジトを一つ潰すのであった。
「しかし、グッドストライカーに助けられるとは」
本日はカップの中身を飲んだ音が明確に入ったコグレが、引き続きグッティとは微妙な関係である事を匂わせつつ、快盗が快盗だけでなく、快盗を利用しようとする支援者達の助力で窮地を切り抜けるというのは、悪くないバランスになりました。コグレにしろグッティにしろ都合の良すぎる部分はあるのですが、その都合の良い助力自体が、快盗を巡る不穏な状況を引き立たせる、という構造になっていたのは良かったです。
……それにしても、あまりにも快盗がクリティカルにパトレン側の囮作戦を把握して対応しすぎていたように思えるのですが、コグレが協力を約束してくれるシーンが無かった上で、「予定より遅れてやってきたコグレ」「コグレの変装技術は容姿も年齢も思いのまま」「ただし喋りが若干怪しくなる」……と並んだ要素はあまりにも露骨ですが、さてはて。
どちらにせよ、警察側の作戦概要が快盗側に流れていた可能性は高く……裏切り者は誰だと思う? 万丈だ(違う)
気をつけないと足下に陥穽の多そうな警察は今回、策を仕掛けるも逆に相手に踊らされて真相から離れてしまう道化役、という扱いになりましたが、ジムの活躍でゴーシュの地下施設を発見し囚われていた人々を助ける、という形でバランスを取ったのは今作らしい配慮。
その事務方は危うくギャングラー施設で捕まって改造されそうになっていましたが、ミステリ的にいうと、被害者を装って捜査の対象から外れようとする真犯人の疑いがあり、まだまだ油断できません。
そして……
「そういや、ゴーシュに変な事言われたんだけど……あいつが持ってる双眼鏡のコレクション、どういう能力なんだ?」
「双眼鏡? …………わかりません。調べてみましょう」
どう見てもそらとぼけたコグレはそそくさと席を立ち、退店の直前、何とも表現しづらい笑みを浮かべる、とものすっごく不穏な引きが入り、つづく。
話の流れからも10話前後の最初の一山までは香村さん連投かと思っていたのですが、ここでサブライター初投入。個人的に初見の名前でしたが、軽く調べてみた限りこれといった作品情報が見つからず、脚本学校のコンクールやラジオドラマがちょっと引っかかったぐらい。
メイン6人のキャラ回が一巡りした所で、コグレ・グッティ・ジム・ヒルトップ、とサブキャラの方に焦点を合わせ、新規怪人なしで巨大戦闘員登場、香村さんにも一休みを入れてもらう、と色々な意味で繋ぎの回でしたが、特別良くもないものの、特別悪いという事も無かったです。少し気になった事といえばややくどめのギャグが多かったですが、脚本が子供番組を意識した結果か、(いつもに比べて)脚本の隙間が多いのを杉原監督の方で広げて埋めたのか。……まあ個人的な好みとしては、杉原監督にはキリキリした脚本を渡しておいた方がいいな、と(笑)
次回――回想シーンの魁利兄が滅茶苦茶イケメンで、私の中の格好いい兄キャラ好きゲージが急上昇しているのですがどうすればいいですか?!(落ち着け)