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『快盗戦隊ルパンレンジャーvs警察戦隊パトレンジャー』感想・第24話

◆#24「生きて帰る約束」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:香村純子)
ライオン軍団の行方を追うルパンレンジャーは、持つと豪運を手に入れるという怪しげなラッキーペンダントの噂を聞きつけ、魁利がそれを販売しているというクラブに乗り込む事に。思惑通りにギャングラーが絡んでいたペンダントだが、がさ入れにやってきた国際警察と鉢合わせして、変身する間もなく魁利は3号に外へと連れ出されてしまう。
そそくさと立ち去ろうとするも店に居た理由を聞かれ、ペンダントの件を打ち明けて軽口で誤魔化そうとする魁利だが、国際警察の権限により、つかさ、ペンダントを没収。
「こんな怪しげなもの、持たせておくわけにいかないだろう。君に何かあったら、お兄さんが悲しむ」
「……お兄さん?」
「2人暮らしだったんだろ?」
魁利の家庭環境を把握している事に関してつかさが口を滑らせ、真剣な眼差しになる魁利ですが、これがルパンX登場前なら、キーウィがパトレンジャーに滅殺されないか気が気でなかったところでしょうから、ルパンコレクションの確保という点に関しては共通の利益を持つルパンXの存在が、この会話を成立させるキーとして機能しているのが、状況の大きな変化を取り込んでいて地味に巧い。
クラブではキーウィが超回避を披露してパトレンジャーの攻撃をかわすと撤収し、つかさは魁利の身辺調査を行った事を告白して謝罪。
「いいよ、許してあげる。代わりに、俺がどこで何しようとお説教しない。どう?」
「……その取引には乗れないな」
つかさ先輩は《おでこつん》を発動した!
ただしデコピンだ!
魁利はドキッとするより普通に痛かった!
「〜んだよー、圭ちゃんといい、国際警察はお節介ばっかかよ」
「圭一郎と一緒にするな」
苦笑を消したつかさは、もちろん口にはしないが快盗の疑いをかけて身辺を探った埋め合わせの気持ちもあってか、魁利に自分の家庭環境を語る。
「――私も、親を早くに亡くしていてね。祖父母に育てられた」
こういった自身の内面に関わる過去語りは、どうしてその人間関係で踏み込むのか(或いはさらけ出すのか)納得しにくい、という大惨事を引き起こしやすいのですが、事情はあったが相手の人生に断りなく踏み込んでしまったという魁利に対する引け目が口を開かせるというのは上手く理由を付け、前半の行動からの引き込みが綺麗に繋がりました。
真面目で厳しく頑固な警察官の祖父から武術を叩き込まれた少女時代が描かれ、つかさの口調や武闘派としての背景を補強。
「そんな祖父だから、私も成長するにつれて、ついつい距離を置いてしまった。だけど、ある日……」
しつこいナンパ男に絡まれた友人を救う為に路上で一本背負いを決めて警察沙汰になったつかさは、祖父に怒られると思って身をすくめたが、きつく抱きしめられて「無事で良かった……」という祖父の言葉を聞き、その想いを知る。
「その時、実感した。祖父は、亡くなった親の分まで、私を思ってくれていたんだ、って」
この件をきっかけに距離が縮まった結果、《興奮した祖父の口に和菓子を詰めていなす》という必殺技も修得したのでしょうか(待て)
「だから、余計な世話だとは思うが……一応口は出しておく。魁利くんに何かあっ」
「わかってるよ!」
口うるさくも感じた兄の事を思い出し、思わず声を荒げてつかさの言葉を遮ってしまう魁利。
「……死ぬほどわかってる」
ノエルが登場して物語を大きく引っかき回したところで、改めて、映像を交えながら「願い」に賭ける快盗の気持ちの強さと重さを示してきたのは良かったです。
「てか、つかささんこそ、国際警察なんて危ない仕事、辞めた方がいいんじゃない?」
「私の夢は、祖父母と一緒に穏やかに暮らす事だ。その為には、平和が不可欠だからな」
「すげーアグレッシブ」
「それに、必ず生きて帰ると約束した。だから私は今、強くいられる」
今作序盤の頃より、実はパトレンジャーの面々も物凄く重い喪失を背負っているが、それを受け入れた上でルパンレンジャーとは正反対の道を前を向いて進んでいた、という棘付きの鈍器による後頭部への打撃の可能性を疑ってはいたのですが、とりあえず今回に関してはそこまではしなかった上で、戦う強さの源が「我が身を失っても願いをかなえる」約束ではなく、「我が身を失わない」約束、という形でつかさと快盗達を対比。
「……そういう約束、ね」
圭一郎からキーウィを取り逃がしたという連絡を受け、捜索の為に闇の中へ駆けていくつかさの背中を見送った魁利が、お互いを培った環境の一端に触れ合った上で、背中を向けて逆方向に歩み去るのが印象的なカットですが、この会話シーンの間、とにかく魁利が相手と正面から向き合う事を避けるというのも、徹底してします。
勿論、会話劇にアクセントとしての動きをつけるという要素もあるのでしょうが、つかさに正面方向に入られる度に背中を向ける位置に移動する魁利の動きはいっそ涙ぐましく、つかさがここぞという時では正面を向いて魁利に話しかけようとするのとは、実に対照的。
いつか魁利が、仮面を脱ぎ捨てても他者と正面から向き合えるようになるのか、物語の行く末の一つとして気になるところですが、そういう意味では魁利にとっての「変身」は逃避と防衛であって、魁利にとって本当に必要な変身は逆の方向性にあるのでは、というのも興味深い点。
一方、警察の追跡を逃れたキーウィは新たな<化けの皮>を購入し、およそ1クールぶりにザミーゴ登場。
「そうやって人間に擬態したがるから、奴ん所に情報が集まるんだ。ただでさえ、目障りなのによぉ」
どうやらザミーゴは<化けの皮>の顧客から様々な情報を得ているようですが、つまり、ある時は冷酷非道のギャングラー、ザミーゴ・デルマ! またある時は、国際警察秘書課所属・丸出美紗子! そしてまたある時は、隠れ家的小料理屋の訳あり風美人女将・照間麻美!
「あら寅さん、今日はお酒が早いのね」
「……ちょっと、職場でな」
「ふふふ、私で良ければ聞いてあげますよ。いっとき化けの皮をかぶり、浮き世の上も下もない、ここは、そういうお店なんだから」
という感じで、様々なギャングラーの愚痴を聞いて情報を集めているのですね!
……はさておき、今回はいつもニコニコ現金払いでしたが、恐らく金の代わりに情報で売ったりする事もあれば、<化けの皮>を買いに来たという行為そのものもまた使い方次第では重要な情報となりえるわけで、それらを利用しているのがザミーゴである、と情報屋としての説得力が補強。
快盗vs警察、というW戦隊の世界観ともマッチしていますが、恐らくは<化けの皮>を売り買いした際の些細な世間話から点と点を繋げるなどもしているでしょうから、情報屋として立ち回っている事そのものにかなりの知性を感じさせ、ザミーゴが一目置かれている理由の一つが頷けるとともに、過去作品にあまり類を見ないタイプの「頭脳派」なのかもしれません、ザミーゴ・デルマ。
(余談ですが、過去作品で似たような活動をしていた悪役が居ただろうかと考えて思いついたのが、戦隊シリーズを離れますが、『超光戦士シャンゼリオン』で、種族内部での声望を高める為に、人間界に馴染めない仲間の人生相談などを受けていた、黒岩都知事こと暗黒騎士ガウザー(笑))
また、ザミーゴがキーウィからがライオンの天敵と言及されるのですが、性格なのか、能力の相性なのか、今回の限りでは不明。
「そろそろ、蒔いた種から、芽が出る頃だ」
キーウィの人間界征服活動はいよいよフェーズ2へと移行し、街の至る所でラッキーペンダントの所有者達が突然、全身を緑のツタに覆われて植物化してしまう。ペンダントの正体は、宿ったラッキーパワーを使い果たすと人間の生体エネルギーを吸収するようになる植物で、時が経てば生命力を吸い尽くされた人間は死亡してしまうのだった!
「そろそろ緑が生い茂ってる頃だな」
ガーデニングなら自分の庭だけでやってろよ」
コグレから情報提供を受けたルパンレンジャーは撤収前にキーウィのアジトに乗り込む事に成功し、パトレンジャーの監視カメラの映像からジムがアジトを割り出して突入。構成員を交えて倉庫内部で入り乱れてのスピーディなバトルが展開し、くしくもキーウィと激突する事になる、ルパンレッドとパトレン3号。
「きーいっひ! 当てられるもんなら、当ててみろ」
キーウィのお宝の能力、ノエルは「回避力を上げている」と言っていますが、明らかにビームがねじ曲がっており、超回避というよりも事象そのものを限りなく「当たらない」に書き換える系統でしょーか。光線が曲がりキーウィの体が高速でブレる、という回避時の映像が格好いいのですが、これ、「当たらなかった」という結果にキーウィの肉体を合致させる為に、(ハイそこで右足上げる、次は左手、ここ? え? 首そっち? ちょ、ちょっと待って、痛い、痛い、無理いたたたたって脇腹をねじってぐがぼば)みたいな感じで、負担の大きいお宝なのでは?!
逆説的に、キーウィ、きっと、凄い怪人だった。
「やべぇな、これ」
「なにか、策がないと」
あらゆる攻撃を回避されて快盗赤と警察3号は追い詰められ……これは3号が懐に飛び込んで怪人の首根っこを掴みあげ「これなら、回避は不能だ!」と一本背負いでコンクリートの床に叩きつけるアレかと思ったのですが、
「きーいっひひひ! 貴様等、運が悪かったな」
という鳥の言葉から、3号は押収したままだったペンダントのラッキー効果を思い出す。
だが、ペンダントの能力は鳥自身に通用するのか? 無効のまま自分が植物になってしまったら……? チャンスとリスクを天秤に掛け、「生きて帰る約束」の為に思い切れない3号だが、3号が手にしたペンダントに気付いた快盗赤は、躊躇無くペンダントを奪うと首にかける。
「当たれぇ――!」
渾身の想いを込めて放ったルパンレッドの弾丸は、コレクションの力でねじ曲げられるもドラム缶に跳ね返って側面から直撃し、ラッキー、いや、ラッキーに込めた魁利の想いが、ルパンコレクションの事象書き換え効果を上回る!
「よっしゃ、ラッキー」
ルパンコレクションはもともと異世界の物、という説が浮上した時点で、「ルパンコレクションとはギャングラー怪人の能力を宝具化したもの」ではないか? という疑いを持っているのですが、今回「ルパンコレクションの効果」と「怪人の能力」が衝突した時、後者がそれを上回った、というのは、後半に向けて重要な布石のような気がしないでもなく。
ルパンレッドは怒濤の連続射撃を浴びせ、その無謀さと大胆さに愕然とするパトレン3号。
(あいつ、なんの躊躇いもなく……自分の命を賭けるのか?)


「……や、……俺わかんないんだけど…………だって仕事でしょ? なんでそこまでして」
後の台詞も合わせて間違いなく第15話と対の意図だと思われますが、「仕事の為に命を懸ける圭一郎を魁利が理解できない」のと「快盗行為に命を賭けるルパンレッドをつかさが理解できない」という、対の関係がズレているのが、果たして後で効いてくるのかどうか。透真と魁利&初美花との、警察に対する温度差もですが、あちこちに少しずつばらまいているひずみが、全て活用できるのか少々不安になりつつ、めくるめく鮮やかなドミノ倒しにより一枚の絵が出来上がる事を期待したいです。
ラッキーの限界で植物化してしまうレッドだが、状況を読んでいたブルーが華麗にお宝を回収し、金から受け取ったグッティでパトレン融合。金も武器をがしゃこんし、
『一転、二転、三転、十手ン! 一騎当千!』
自分で設定した音声で改めてわかる、ノエルの性格の太さ(笑)
まあ、そうあらんと自分を追い詰めている系の可能性もありますが
ここで警察チームのWストライク時、画面左側で植物レッドが爆発の余波で燃え滓にならないように、青と黄がかばっているのが、おいしい。
「んー……いい度胸してるなぁ。いや、信用してるって事か」
キーウィの爆死により被害者達が元に戻り、回収したコレクションを手にきゃっきゃうふふしている快盗達への金の呟きには、わざわざ言及している事そのものから憧憬めいたものが漂い、敢えて誰にも心から「信用」されない道を選んだノエルが、快盗達の繋がりにまぶしさを感じているというのはノエルの「本音」に思えてきて、段々、私の中での信用度が、咲也 < ノエルになってきました!(え)
(あんな物の為に、命を賭けるのか? あいつのブレーキは、利かないんじゃない。…………壊れている)
これも第15話の「圭一郎は、時々、ブレーキが利かなくなるからな」の対でしょうが、作中で明確に登場人物からルパンレンジャーが「壊れている」と評され、願いを巡る正気と狂気の行く末がどう着地していくのかも楽しみなところです。
見ている側としては、ルパンレンジャーの方が壊れているようで壊れきっていなくて、圭一郎の方がナチュラルに壊れているわけですが(笑) その辺りのズレも含めて、果たしてどう交差していくのか。……なんだか今回、こんな事ばかり書いているような気がしますが、後半戦へ向けた細かい布石を大量に散りばめてる回という気が。
ゴーシュが巨大化させたキーウィにエンペラー金とパトカイザーが立ち向かう姿を、ザミーゴが氷をかじりながら見つめ、札束持ってうっはうは以外に出番があってホッとしました(笑)
「で?! ……なんの用?」
そのザミーゴが、不機嫌も露わに視線を向けた先にいたのは、ライオン。
「ザミーゴ、俺と、手ぇ組まねぇか?」
「……ほう! どういう風の吹き回しかな?」
出オチ街道一直線だったライオンが奇策を打つ事で、その天敵とされるザミーゴともども存在感が上昇し、返事を保留して立ち去るザミーゴは、印象的な手の振り方で少ない出番ながらしっかり味付け。
警察戦隊はスラッシュと弾丸のWストライクでキーウィを撃破し、後は日常シーンで一件落着……かと思ったその時、二大ロボの背後に出現する、見上げるほどの偉容を誇る、4本腕の超巨大ライオン。
「うそうそ?! デカデカのデカすぎ!」
初美花、ちょっとジャン語になる。
「あいつはまだ倒していないのに、どうして……」
「俺様の強さ、舐めてもらっちゃぁ困るぜぇ!」
勝利の余韻に浸っている所を超巨大化で背後から攻撃する、という掟破り2連発からミサイルの雨を浴び、パトカイザーとWエンペラー、爆炎の中に消える?! で、つづく。
そろそろ物語も折り返し地点となり、いよいよ共闘合体の前につかさの過去を交えながら警察と快盗のわかり合えない一線を改めて引いてきましたが、何よりザミーゴが出てきて存在を強調してくれたのは良かったです。共闘合体をどう処理するかで大火傷の不安はありますが、今回もまた色々と、次の加速に向けたスプリングボードといった感。
今作は、衝突する二つの戦隊が、お互いを少しずつ理解しながら、理解する事で距離が離れていくというのを丁寧に繰り返しているのですが、ではどこでそれが裏返るのが、快盗の仮面はいつ剥がれるのか、それらは素直に、香村さんの手腕を期待して待ちたいです。
次回――ブラッとあいつが言い放つ!
「みんなの力を合わせちゃおうぜ!」
……うん、言いそう。