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『仮面ライダービルド』感想・第42−43話

◆第42話「疑惑のレガシー」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:武藤将吾
未だに、東都政府からの呼び出しブレスレットをつけている万丈は、ホントいいやつだなぁ……しかも、エボル万丈時には外していたと思われるので、正気に戻ってから改めてまた填めたのだと思うと、涙なしには見られません。
そんなこんなで、西都軍が攻めてきたー、と仮面ライダー達は防衛ミッションに出撃し、パンドラタワーずばーーーん! の時点で、忘れたように思われた(というかしばらくその節があった)「戦争」ネタが、この最終クールで何故か再び浮上して、その度に見ていてテンションが下がるという『ビルド』仕様。
さすがにもう40話越えているのに、
「ロストスマッシュの生産を急げ! その為に、この国を統一する!!」
え? なんで?
となってしまうのは、致命的。
一応エボルトの思惑としては、
〔俺は新世界の神になる! ← その為に既存の物理法則を越えたすっげー力を手に入れるエボ! ← 黒いパンドラパネルに黒いフルボトルを集める ← 黒いフルボトルを集める為にロストスマッシュを生産する ← 作業がやりやすいようにこの国を統一する(???)〕
という事のようですが、この期に及んでスタートとゴールが遠すぎて、直感的かつ劇的な説得力が生じません。
作劇としては、様々な策謀の果てに物語は原点に戻る! という展開が衝撃を生むと共に、最初から全て繋がっている印象を強固にする、という効果を狙ったのでしょうが、敵が惑星破壊レベルの生物なのに完全体になったら第1話と同じ事を始めたというのが、全く面白さに繋がらない、豪快なミスマッチ。
また、その鍵となるロストボトルとロストスマッシュが、“視聴者が想像を膨らませて楽しむ領域”の外から突如飛来してしまった上、元北都首相はまだしも、実質ポッと出のバーテンダーをロスト化してしまった事で、ロストスマッシュとロストボトルの物語上の重要性を感じにくくなり(結局、スマッシュのキャラクター性は元の肉体に依存しているわけで)「(現在)他に有資格者はない」「だから仮面ライダーを捕まえる」という言葉の説得力が失われるという派手な墜落死。
トドメが、エボルがブラックホールで東都官邸を飲み込んだら、「ぱんぱかぱーん! これで日本は統一されました!」と西都首相の演説が始まってしまい、フィクションにおける象徴・簡略・戯画化と捉えるにしても無理がありすぎます。やっている事は「ライダーバトルで勝った方が王様だ!」と全く同じレベルなわけですが、自分たちがこだわった「戦争」という状況設定を、自分たちで張りぼての茶番劇にしてしまっている大惨事。
火星を滅亡させたパンドラタワー復活! からの、それはまあ置いておいて、東都を侵略して日本を統一するよ! という話運びはもはや完全に失敗だったと思うのですが、それに加えてこの数話、侵略に対抗するライダー達も概ね「お互いでだべっているか外で殴り合っているか」しかしていないので、劇中レベルでの「戦争」を描けているわけですらなく、ここに来て、メインキャラの中に一般市民(寄り)の視点が存在しない事も、致命的に。
……やはり赤羽ぐらいは生かしておいて、ガード下でおでん屋でもやらせておけば良かった、とつくづく思うわけです。まあ、そういう作劇が上手く転がるとも限りませんが、少なくとも今作に必要だったのは、そういう種類の“遊び”ではなかったかな、と。
「国を敵に回してでも戦う意義なんてどこにある! 仮面ライダーは必要ないんだよ!」
西都統一政府によりビルドらは反政府勢力に仕立て上げられ(これも序盤のモチーフの繰り返し)、正義の背景を「国家」に置いてきた今作において、その背景を奪われた時にどうするのか……? という仕掛けそのものは成る程だったのですが、個人的には、国境でストレッチするヒーロー、の姿に山ほどの絶望を味わったのでこのテーマに心の琴線がぴくりとも動かないのと、既に、「俺は東都のライダーをクビになったぴょん。だからこれは侵略行為じゃないぴょん」をやらかした後なので、これを問うなら、もう1クールは前にやっておくべきだったのでは、と思います。
「……俺たちの求める明日が、エボルトに奪われるなら、戦う意義も価値もある。俺たちを信じて、託してくれた人達の為にも、ここで終わるわけにはいかないんだよ」
「……おまえの言う通りだ。これで終わりにはさせない。エボルトを倒す為、この国を立て直す為、全身全霊で、己の使命を全うする。……仮面ライダーは、不滅だ」
ビルドの言葉に戦う理由を取り戻したローグが再起するのは前々回のグリスと全く同じ展開で、今作として桐生戦兎をどう位置づけたいのか、というのはまあわかるのですが、それにしても、万丈・猿渡・ヒゲ、と3人揃って同じ事をしなくても、というのが正直。
「ライダーシステムは、データなんかじゃ測れない。誰かの力になりたいと願う想いが、俺たちを強くするんだ!」
鳴り物入りで登場しておいてこの2話ほど存在を抹消されていた内海が今回は踏み台昇降マシンとして大活躍し、データを越える仮面ライダーの力にぷるぷるしながらイマジナリーメガネをくいくいするマッドローグ。
「俺たちが、エボルトからこの国を取り戻す!」
ビルドとローグのWキックでマッドは吹き飛び、変身解除した内海がキラキラしながら消えたら面白いのに、と思いましたが、地面をのたうち回って負け惜しみを叫ぶに留まり、そこに現れたのは、もう一人のビルド。その正体は、葛城忍であった、でつづく。
前回前々回とギャグ要員にされていた分かヒゲが戦兎と行動を共にし、今更ながら父子の問題がクローズアップされるのですが、確かに序盤から示されてはいたものの、示しただけで掘り下げていないものを今になって重要事項でございと扱われても、単純に面白くありません。
そして最大の致命傷(多いな……)は、戦兎人格が葛城人格と肉親の情を共有している、事にまるで説得力が無い点。
葛城巧としての「記憶」を持っているとはいいますが、作劇的には派手に「消えていた戦兎人格が戻ってきたばんざーい!」とやってしまった為に、物語としては戦兎人格が葛城人格を塗り潰して再浮上したようにしか見えず、その戦兎人格が葛城巧としての「情」も保有しているといわれても、とても納得ができません。これならもう少し、葛城人格を尊重した「融合」の描き方があったと思うのですが、ううん、どうしてこうなった(もしかしたらこの点は、葛城母との再会シーンで補強する予定だったのが、母親役の女優さんの休業で出来なくなったのかもしれませんが)。
なお、前回前々回と散々ネタにしたヒゲの私服は、今週からしれっと黒の革ジャンに。各キャラの服装が夏仕様になった中、一人だけ物凄く暑苦しいのですが、設定的には、革ジャン脱ぐと下は変なTシャツを着ているという事なのか。しかし、暑そう。ただでさえ、長髪やヒゲなど暑そうなパーツが多いのに、暑そう……。


◆第43話「もう一人のビルド」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:武藤将吾
見所は、
「いくら戦兎の親父だからってな! 容赦しねぇぞぉ!」
と調子に乗ったら父ビルドの集中攻撃を受けて、あやうくキラキラしながら消滅寸前になるグリス。
物凄い三下ムーヴで、ちょっとビックリしたよ!
そもそもライダーシステムは自分の為に作ったものであり、ベストオブベストなビルドを主張する葛城忍はビルドアップを駆使してグリスとローグを次々と片付ける、最強のプロトタイプ展開。ところが、エボルのブラックホール発動の影響で体内のエボル遺伝子が活性化している万丈が前回に続いて暴走を開始し、クローズマグマのマウント攻撃で消し炭寸前となった父ビルドの姿に、戦兎は思わず天才キックをクローズに直撃させてかばってしまう。
「今日はデータの採取だけで十分だ。また会おう」
とタカガトリングで飛び去っていく父ビルドですが、いったい何しに来たのでしょうかこの人。
意識不明の万丈は地下室に運び込まれ、肉親の情から仲間を瀕死に追いやった戦兎にキレる猿渡を、美空が「やめなってグリス!」と止めようとするのがホント切ないのですが、これホント、なんなのですか……。
確かに美空から見た猿渡は“気持ち悪い29歳”ですが、それにしてもこの状況で未だに、人間として認められていないって相当だと思うのですが。
猿渡とヒゲは、今の戦兎とは一緒に戦えない、と喫茶店を後にし、父を信じようとそのデータを漁るも何も見つけられない戦兎は、父が初めからエボルトの協力者であった事を認めざるを得なくなってしまう。
「なんの為に戦ってきたんだよ……」
「………………ラブ&ピースの為でしょ?」



(いつもの)



「今までとは違う」
だが戦兎は、美空の訴えかけを否定。
「俺が戦えたのは、ライダーシステムが、正義の為にあると信じてたからだ。それを否定された今、俺は……」
え? え? え?
……えーと、ちょっと待って戦兎、あなた、第43話にもなって未だに、
「ライダーシステムは防衛目的で作ったからわるもんじゃないんですー、侵略兵器じゃありませーん」
という屁理屈を心の支えに戦っていたの?!
さすがにその辺りの葛藤は、ラビラビタンタン辺りで卒業したとばかり思っていたので、顎が外れそうになりました。
そしてこれまで散々繰り返してきた「ラブ&ピース」よりも「ライダーシステムが何のために作られたのか」の方がウェイトが大きいって、どこまで「自分」が形成されていないのだ、桐生戦兎。
毎度お馴染みエボルトの口車に乗せられた美空は実験材料にされてしまい、美空に宿るベルナージュの魂がロストスマッシュ化。それを救おうとする戦兎の前に父ビルドも現れて2対1の戦いとなり、美空の変身したCDスマッシュは円盤の虹色の煌めきが火星の王女様の神秘性にも繋がって、ここに来て面白いスマッシュでした。
「ロストボトルを精製して、黒いパンドラパネルを完成させる! そうすれば、物理法則を越えた新世界の扉がひらぁく!」
最初から全てシナリオ通りだとのたまう父ビルドですが、パンドラボックス開けてタワー建ててエボルが完全体にならないとロストボトルが精製できない、という肝心要の部分の理由が全く伝わってこないので凄く困惑します。そもそもロストボトル、初出に全く印象が無い、という見せ方の演出にも多大な問題があると思うのですが、この最終章、強調すべき要素が強調されないまま登場し、後から台詞で急に重要だった事にされている気がするのは、何か突然のシナリオ変更でもあったのか。
もしかしたらスタッフは、「実はこれが重要アイテムだったんですよ! 驚きですね!」とやっているつもりなのかもしれませんが、実態は「え……そもそも、何それ……?」になっているのが、困ります。
全ては父とエボルトの計画であり、桐生戦兎(葛城巧)と万丈龍我はその手の中で踊っているだけに過ぎなかった……遂に心折れそうになる戦兎だが、そこに傷だらけの万丈がヒーロー登場!



(いつもの)



終盤入って、ここぞという場面で初期のテーゼが浮上する、というのは確かに格好いい要素はあるのですが、今作の場合、印象的には半クールに1回ぐらい儀式のように同じ事を繰り返すので、そろそろ睡魔に負けそうです。
ジーニアスは、天才キックにより美空から分離したベルナージュの魂を暴走状態のクローズに注入する事でエボルト細胞と相殺させ、美空と万丈の二人を救う事に成功。さらっと勝ち誇っているのですが、えーと……ベルナージュさん、エボルト細胞のワクチン扱いで、消されたの……?
存在としては過去の亡霊とはいえ、何度もライダー達の危機を救った功労者に対してはあんまりの扱いですが、これはさすがに、最終盤の隠し球の可能性が高そうでしょうか。……まあ、10代乙女から20代マッチョの肉体に移し替えってどちらにせよあんまりな扱いなので、怒りのベルナージュに戦兎が大気圏外に放り出されても、自業自得。
「おまえも、ハザードレベル7に達したか……」
「俺は決めた。科学者として、ビルドとして、葛城忍を越えてみせる! そして、エボルトに勝つ!」
「その想いが、どこまで通じるか……楽しみだ」
父ビルドはフェニックス逃亡し、クローズが銀のフルボトルを生み出したり、ジーニアスが金のフルボトルを生み出したり、はさすがに強調されているのですが、この終盤に来て、手の中にすっぽり収まるサイズで細かい造形は区別がつかないしシルエットは言わずもがな、のフルボトルというアイテム自体が、演出で印象づけにくいガジェットになっているのは、大変苦しさを感じます。
苦しいといえば今作、中盤以降にギャグの入れ方(本編のハード展開とのバランス)に悩んだ挙げ句、マンガで言うとここはキャラが2頭身のコマ、みたいな開き直った手法になるのですが、その影響で台詞回しやキャラの関係性で笑いを生むような事が減っていき、定期的にギャグのターンが挿入されるという仕様となった結果、Tシャツで会話する幻徳とか、みーたん抱き枕とか、笑いのネタがどんどん先鋭化せざるを得なくなってしまっているのも、なかなか辛いところ。
エボルトのアジトには、戦兎と袂を分かちながらも、戦兎の為にエボルトを倒そうとする猿渡&ヒゲが忍び込み、3話ほど前に、それやって追いネビュラされたの忘れたのか猿渡! でつづく。
一言でまとめると底なし沼みたいな感想になるのですが、正直、最終クールに入ってここまで沼の底が果てしなくなるとは思わず……。