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『星獣戦隊ギンガマン』感想・第29−30話

◆第二十九章「闇の商人」◆ (監督:長石多可男 脚本:小林靖子
イリエス魔人族の策謀を次々と打ち破ったギンガマンは、ギンガの森の行事である、星祭りの準備中。
「毎年森のみんなで、平和を願うんだ」
バルバンが復活したら即戦争のギンガの民の言葉だけに、凄まじい重さ。
そして祭りの最初に星獣剣の戦士が唱える「戦士の誓い」が、飾り付けを手伝う勇太くんに紹介される。
「戦士とは……」

「日々においても戦いにおいても、心に平和を忘れず。
持てる力全てを惜しまず、諦めず、振り返らず。
また、仲間を信じ、苦難と哀しみは受け入れる。
全ては星を、守る為に」

勿論これが今回のキーワードになってくるわけですが、こういったわかりやすい提示をした上で、後段で成る程と唸らせてくるのは小林脚本の巧さ。
一方その頃、バットバスと特に親しく、封印以前からバルバンと付き合いがあったという宇宙の闇商人ビズネラが地球へやってくる。バルバンに売り込もうと運んできた兵器……のシルエットがジャガーバルカンに見えるのですが。
メカメカしいボディに貴族風の襟、というマシン帝国バラノイアの生き残りのようなデザインと、猛虎魂を感じさせるカラーリングのビズネラはバットバスと船長にはへりくだった態度で接し、権力にこびへつらう口の上手いごますり野郎、とでも思われているのか、来訪早々、女性陣からの風当たりがやたらにきつい(笑)
だがそこは宇宙を股に掛ける阪神商人、暗黒期でも応援を続ける心の強さを持つビズネラは、星獣を葬り去るという兵器をお薦めし、今なら幻獣ポイントが2倍です。
「それは信用できんな。おまえは我々が荒らした星の残り物を漁る、いわばハイエナだ。そのおまえがどうしてそんな兵器を持っている」
「はっはっはっはっは……ところが、思わぬ拾い物もあるんですよ。落ちているのは、鉄クズだけとは限らないのでね」
ここまでの今作とはかなり異質なキャラクターを、バルバンとの関係性をもって今作の中に落とし込んだ、このやり取りが大変秀逸。
ハイエナ商人はヤートットを借りて街に繰り出すとイエローと黒騎士を拉致し、超兵器のコントローラーを完成させる為に、ヒュウガを人質にしてヒカルにアースを放出させようとする。
「ごめん、俺、強がっちゃって……このざまだ」
「弱音を吐くな。戦いは、始まったばかりだ」
ヒカルが珍しく素直な態度を見せるのに対し、ヒュウガは毎度ながら冷静な大人の対応で励まし、頭ごなしに叱るのでもなく、茶化して煽るのでもなく、相手の心情を慮りながら、巧みに成長に向けて誘導していくというのはリョウマを通して身につけたのでしょうが、ヒュウガ先生が有能すぎて、サイコサスペンスだったら絶対に真犯人(え)
娑婆に戻ってきて間もないというのに、拘束されて殴る蹴るの暴行を受けるヒュウガの姿に唇を噛みしめながらも、超破壊兵器を完成させない為にぐっとこらえ続けるヒカル。
「彼、死んじゃいますよ?」
迫真の拷問でビズネラのいやらしさが強調されると共に、ヒュウガのみならず、耐え続けるヒカルの戦士としての成長もしっかりと盛り込まれています。
「ヒカル……よく我慢したな……」
耐え続けた二人の戦士に呆れたビズネラは、ナイターでタイガース戦が始まるので、一時撤収。
「俺もう……限界かもしれない」
「……おまえが一番辛いのはよくわかる。けど……」
「見殺しになんて出来るかよ!」
……そういえば、ヒカルのハチマキも、猛虎魂。
「おまえは戦士の誓いを……戦いに活かせるんじゃなかったのか。戦士とは……日々においても戦いにおいても、心に平和を忘れず。持てる力全てを惜しまず、諦めず、振り返らず。また、仲間を信じ、苦難と哀しみは、受け入れる」
「苦難と、哀しみ……」
「そうだ……全ては星を……守るために」
ヒュウガはがっくりと気を失い、翌日――憔悴しきったヒカルが考え抜いて出した戦士としての結論は、檻の内部に仕掛けられたアース吸収装置を破壊した上での、自爆!
「明日の星祭り……一緒に出たかったよ……」
「幾ら仲間の為とはいえ、自分で自分の命を絶つなんて、そんな事出来るはずがありません!」
「そう思うなら黙って見てればいいだろう!」
ヒュウガのヒロイン度が急上昇した!のはともかく、ここでビズネラに啖呵を切るヒカルは非常に格好良く、リョウマのみならず、半年間の成長が形になりました。
「戦士とは……」
しっかり覚えていなかった筈の戦士の誓いを口にしながら、反動で自分が傷つくのも構わずにヒカルはアースを放ち続けた末に倒れ、、折角捉えた銀河戦士に死なれては困るビズネラは、やむなく牢獄を開放。
「持てる力、全てを惜しまず、諦めず、振り返らず……」
「まったく、無茶苦茶な事を!」
その瞬間、目を開いたヒカルは、メインテーマをバックに渾身の反撃で奪われた変身アイテムの回収に成功。
「また、仲間を信じ!」
続けてアース狼煙を放ち、二人を探し続けていた仲間達にメッセージを送ると、立ち直ったビズネラを雷撃で吹き飛ばす。
「苦難と哀しみは受け入れる――銀河転生!」
勝利の為に他者の犠牲に耐えるのではなく、自ら苦しみを背負った末に活路を見出したヒカルは、変身するとヒュウガを救出。
「……全ては星を守るために。これでいいだろ?」
「ああ、上出来だ。――騎士転生!」
誓いの文言を上っ面だけ覚えるよりもその実践が大事……窮地の中で強がりを有言実行してみせた事で、ヒカルが日々の戦いの中で真に身につけていた戦士の心構えが発揮され、クライマックスに鮮やかに収束。畳みかける反撃の見せ方もテンポが大変良かったです。
「完璧に私の商売を邪魔してくれましたね。ヤートット!」
「銀河炸裂!」
全員合流して主題歌バトルとなり、結構強いぞ宇宙商人。
だが、獣装光→黒の一撃→ギンガの閃光、の無敵コンボの前には瞬殺……と思いきや、そのエネルギーをコントローラーで回収するという離れ業を見せると、ジャガーバルカンもといデンジタイガーもとい、巨大兵器・ギガバイタスを起動する!
変形すると今度はビグトレーラー似のシルエットとなるギガバイタスから更に、赤と青の巨大ロボ、ギガライノスとギガフェニックスが発進し……高寺さんならしれっとやりそうですが、キョーダイン?(あと微妙にワンセブン風味)
ギンガマンも星獣を召喚して合体するが、何故かギンガイオーもブルタウラスも戦いを拒否して行動不能に陥り、一方的な攻撃を受ける事に。
「さすがに星獣たちにはわかったようですね。そう、戦えませんよ。ギガライノスとギガフェニックスも、同じ星獣なんですから」
なんと、ビズネラが用意した星獣を葬り去る為の兵器とは、その星獣であった!
「ははは、はははは!」
どうしてコントーラーのエネルギー源としてアースを欲しがったのか、という要素も綺麗に収まった所で、次回――勇太君のヒロイン力が、全宇宙に問われる!


◆第三十章「鋼の星獣」◆ (監督:長石多可男 脚本:小林靖子
「まぎれもなく星獣ですよ……ただし元ね」
ギガバイタス・ギガライノス・ギガフェニックス、その正体は、バルバンに滅ぼされた星に所属していた星獣を回収し、兵器として改造したものだった!
「かつては星の為にバルバンと戦った星獣たちも、今や私の操り人形」
だいぶ以前、ギンガイオー誕生編の際に、一度は倒れた星獣たちが後戻りできないメカとなって甦る展開だったら更に燃えたのに! というような事を書きましたが、宇宙の闇商人と発想がかぶった!(笑)
ライノスとフェニックスがブーストライフルとブーメランでギンガイオーとブルタウラスを痛めつけ、ビズネラはバルバンとの商談の為にトドメを刺さずに引き上げ、見事に売買成立。コントーラーは行動隊長イリエスに預けられ、緑の大猿バルキバルキが出撃する。
一方ギンガマンは、心を殺された同胞達にどう対応すべきかを決めあぐねていた。
「今夜は星祭りだったな」
「星獣は星から生まれる。星を、守る為に。そして何千年もの間には、死んでいった星獣もたくさんいる。でもそんな星獣たちの心は死なない。きっと生きてる。そう信じて、星を守る全ての心を一つにして、平和を願うのが、星祭りなんだ」
前回の星祭りの要素を引っ張りつつ、星獣とは何か、というのを再設定。
「心を一つに?」
「その飾りは、星獣や戦士たちの心を繋げた、象徴だよ」
「そんな日に、殺し合っていい筈ないよ。星獣が、あの星獣たちだって、きっと悲しんでると思う」
「助けよう! あの星獣達を! なんとかして元の、星を守る星獣に戻すんだ!」
勇太くんの言葉もあり、改造星獣を倒すのではなく、心を取り戻させる、という道を選ぶギンガマン
「……星獣達の心は死なない」
ヒュウガのこの言い回しは大変格好良く、前回は冒頭に掲げた「戦士の誓い」がクライマックスに見事に集約されたのですが、今回はこの後、暴れ回る宇宙鉄人ギンガの森風を相手に、成功率10%の《説得》コマンドをひたすら繰り返していたらたまたま成功したみたいな事になってしまい、大変雑な展開。
象徴の飾りを手にサロンから声援を送る勇太くんの存在も特に効かないですし(宇宙ライオンなどとの友情も別に反映されない)、ギンガマンの行動にも特に劇的な転機となるものが描かれないので、とにかく殴る蹴るに耐えながら毎ターン説得を繰り返していたら、ふっと相手が正気に戻った、という山も谷もなさでクライマックスが心停止。
「死んでなかった! やっぱり星獣の心は死んでなかったんだ!」
を幾ら繰り返しても劇的な説得力を持たせるには至らず(これはあくまで、補強する理屈に過ぎないので)、商業的な都合で急ぎ足にならざるを得ない事情などがあったのかもですが、丁寧な積み上げで山場山場の展開に説得力を持たせてきた今作としては、ここまででワーストクラスの大惨事。
ラスト、無事に開催された星祭りの夜に戦士の誓いが唱和され、大集合する星獣たちは良い絵。リョウマが勇太くんとした「心配するな。今夜の星祭り、みんなでやろう。あの星獣たちも一緒に!」という約束を守ってみせたのも良かったのですが……「星獣達の心は死なない」事にどう説得力を持たせ、どうそこに言葉を届かせるか、という物語としての肉付けが全くない無味無臭のクライマックスが、脚本・演出ともに残念でした。
初のメインライターながらここまで順調に物語を紡いできた小林靖子回だけに、様々な商業的要請を受け止めながら年間通してアベレージを保つ事の難しさを、改めて感じる勿体ない失点。
海賊に不良品を売りつけたふてぇ野郎として全財産を没収された阪神商人は、男気を見せたバットバスに拾われ、馬鹿×暴れん坊で、サンバッシュとの差がこれまで見られなかったバットバスに、親分肌の一面が強化。そして行動隊長イリエスの前には、初代瞬殺ロボ&二代目瞬殺ロボ&機動要塞&追加ロボ赤&追加ロボ青、と、一挙に2.5倍となった巨大戦力が立ちはだかるのであった!
次回――シェリンダ、動く。
サイコサスペンスなら、中盤、真犯人(ヒュウガ)に全ての罪を着せられて犯人に仕立て上げられ、自殺に偽装されて殺されそうなハヤテは、案の定ヒュウガ復活によって兄役ポジションを奪い去られ、年少者を導く存在としても圧倒的な格の違いを見せつけられてしまいましたが、ここで、ヒュウガにはないハヤテだけの要素として、シェリンダとの因縁が浮かび上がる、というのは成る程。ヒュウガ復活を見越した上でハヤテにこの因縁を与えていたのだとしたら、先を見据えた仕込みがお見事です。