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唐突にSF月間3:THE MARTIAN CHRONICLES

そうさ私は、企画にするときちっと出来ない男〜 ……ええと、まあ、ぼちぼち。
短編は内容の説明が難しいという事で、本日は長編をチョイス。
火星年代記レイ・ブラッドベリ
……連作短編ですよ(^^;
オハイオの冬に、“ロケットの夏”が来る――……1999年、地球人は火星へ到達した。火星人達は地球人を出迎え、結果、第一次探検隊も第二次探検隊も、誰一人として地球へは還ってこなかった。しかし諦める事無く、地球人は火星人へと向かい続け、やがて火星人は少しずつ姿を消していく……。そしてそこに地球人の新たな町が作られ、移住者達による歴史が刻まれ始めるのだが……。
火星へ辿り着いた地球の探検隊の運命、ある一夜の地球人と火星人の邂逅、火星に生まれた第二のアッシャー邸、火星の鞄店での出来事、孤独な男のもとにかかってきた一本の電話……などなど、26の短編による、火星植民の歴史の物語。
前半部分では火星探検隊のスペクタル有り、火星植民の様々なエピソード有り、泣かせの効いた渋い掌編有り、と盛りだくさん。ブラッドベリの詩情とSF性がうまいバランスで融合した所があって、バランス良く読みやすいのも良い所だと思います。
個人的には、初心者に比較的お薦めしやすいSFの一つ。連作短編は読みやすいですしね。ブラッドベリ作品としては、あまり幻想に偏ってないので、読みやすいですし。読みやすい上で、ブラッドベリの文章とか作品の持つ、美しさ、には触れる事が出来、ブラッドベリに入るならこれ、だとは思ってます。幻想文学とかに耐性ある人は、他の長編でも良いかとは思いますが。世間的なイメージよりは難しいと思うのですよね、ブラッドベリ。ひょいっと、飲み込める人には大丈夫なんでしょうけど。
中の短編で好きなのは、「鞄店」「沈黙の町」「百万年ピクニック」など。「鞄店」なんか3ページの作品なんですが、非常に好きです。
ちなみにブラッドベリ作品で一番好きなのは、短編「万華鏡」(『刺青の男』所収)。これはもう、SFとかそういうの抜きに、お薦めする一本。がつんと来ました。