要するに、ストレス解消なのでしょうが(^^;
四六時中、本に囲まれた状態で抑圧されているせいなのか、それこそまるで逆襲でもするかのように、『WA4』もうっちゃって、時間があると本を読んでいます。
……まあゲームよりも、始めやすく止めやすい、という要素もありますが。
というわけで先週読んだのが、
- ななつのこ (創元推理文庫) (加納朋子)
- 螺旋階段のアリス (文春文庫) (加納朋子)
- 殺人方程式―切断された死体の問題 (光文社文庫) (綾辻行人)
- ステイゴールド物語―遙かなる黄金旅程 (高橋直子)
早くも加納朋子に取りかかっておりますが、『ななつのこ』はいまいち。一方、『螺旋階段のアリス』は良かったです。
とある大手企業を早期退職して憧れだった私立探偵を始めた中年男と、ある日その事務所にやってきて押し掛けるように助手になった不思議な少女が、日常から派生した些細な事件と地道に関わっていく、という短編集。
先日読んだ『ABCD殺人事件』に収録されていたのもこのシリーズの一本なのですが、雰囲気造りが巧く、私好み。話としては猟奇なわけでも派手な謎があるわけでもなく、事件そのものよりもそれにまつわる人々の心や姿の方に重点が置かれており、しんみりした話もありますが、なんというか、“心地よい”小説。布団に寝転がりながらゆっくり楽しみたい話、というか。久方ぶりになかか素敵な読書の時間でした。
年を取り、それにともない読んできた本の量も増えていくと、貪欲になるというか、面白かったとは思っても、なかなか「ああ、幸せだったなぁ……」というのが減ってきたりするのですが、久々にそれに近い感覚でした。
一方、首無し死体が登場する、猟奇でトリックの『殺人方程式』は、最近講談社から再文庫化されたもの(私が読んだのは光文社文庫版)で、もともとは15年前の作品。長編では久々の綾辻行人だったのですが、これは今ひとつでした。
なんというかこう……筋立てとか色々、2時間ドラマっぽい話(笑)
あと個人的に、いわゆる本格系のミステリにおいては、探偵(及び助手)役のキャラクター性に物語の面白さが依る所があっても全然構わないと思うのですが、今作の探偵役のキャラに魅力を感じられなかった、というのも点数の辛い一つの要因かも。
まあこれは同時に、私が今ひとつ、島田荘司以後の、国産ミステリに染まりきれない理由でもあるのですが。
そういう意味では、綾辻氏のデビュー作『十角館の殺人』が素直に面白かったのは、確たる(話の担い手としての)探偵役が居ない、というのは一つあったかなーと。同時に、館シリーズが続いていくに従ってちょっと物足りなくなってきてしまって中断したのは、探偵役・島田潔(←作者も後に反省していますが、このネーミングもやっぱりどうかと思うわけですが)に対する物足りなさでもあるのかな私の場合、と今更。
逆にその点において、恐らく話云々以上に面白く読めたのが、森博嗣のS&Mシリーズ。
結局、私の場合、本格がどうとかいうよりも、探偵役のキャラクター性などを重視して選んだ方が、個人的に面白い作品にぶつかる可能性が高い、という事みたいです(『螺旋階段のアリス』のコンビも好きですし)。
今この文章をつらつら書いてきてようやく自覚しましたが(笑)
……まあしかしそんなものは、読んでみないとわからないんですが。
ああでも、やっぱり、あらすじ読んでときめけるかどうかは重要だと思います。
ついでに付け加えると、90年代をメインとして今に続く国産ミステリの流れの中で初期の森博嗣に次いで楽しく読めたのが西澤保彦だったりする辺り、少々コミックナイズされたキャラクターの方が向いているみたいです。
ああ、宮部みゆきは「小説力」が段違いなので、別枠。
『ステイゴールド物語』は未だに置いてあるのを本屋で見つけたもので、半ば衝動買い。これだけ、ノンフィクションというかドキュメンタリーというか。以前にさらっと読んだ事はあったのですが。冷静に考えると、自分でも何でこの馬が好きなのかよくわからないのですが、でもやっぱり好きだなぁステイゴールド。