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更にミステリー

◇『双孔堂の殺人』(周木律)
“放浪の数学者”十和田只人を探偵役にしたシリーズ第2作。凡作。1巻で一つの事件を解決しつつ、連続した大きな物語の布石が色々とばらまかれているのですが、それが非常にノイズ。特に語り手が“あの事件”とか“あの男”とか、語り手だけがわかっている思わせぶりな物言いをする場面が多いのがだいぶマイナスでした。
◇『五覚堂の殺人』(周木律)
シリーズ第3作。このシリーズの方向性からして、そろそろ○○かなーと思っていたらやはり○○風味。前作でシリーズとしての連続性が明確になり、思わせぶりな布石の類が何を示しているのかがハッキリした分、第2作よりはすっきりとしてマシな出来でしたが、トリックは凄く雑。


◇『アリア系銀河鉄道』(柄刀一
◇『ゴーレムの檻』(〃)
サンフランシスコの、とある研究施設に勤める博物学者・宇佐見護を探偵役とした短編集。
博識な学者にして、紅茶好きで上品な老紳士である宇佐見博士は、ふとした折にここではない時空、ここと違う法則の支配する世界に迷い込み、そこで起きた謎を鮮やかに解決する……。
“地の文”が現実化し濁音が存在を許されないなど言語が様々な作用をもたらす世界で起きた殺人事件「言語と密室のコンポジション
大洪水に見舞われ人類が存在しない筈の世界で何故か反転していた方舟の秘密「ノアの隣」
毒を飲まされた瀕死の男が妻を撲殺した犯人を暴こうと命の瀬戸際で推理を巡らす「探偵の匣」
旧友を殺害された事件の真相を銀河鉄道に乗りながら暴く「アリア系銀河鉄道
喋るウサギに挑まれる奇妙なドアからの脱出「アリスのドア」(以上『アリア系銀河鉄道』)
エッシャーの錯視画に描かれるような建築物が実在する世界での殺人事件「エッシャー世界」
連続爆弾魔にして殺人事件の真犯人は双子の兄弟のどちらなのか「シュレディンガーDOOR」
同僚の書いたミステリ小説の謎解きの中で起こる予想外の出来事「見えない人、宇佐見風」
名前を奪われゴーレムと呼ばれる異端の魔術師が脱出不能の牢獄から消えてしまう「ゴーレムの檻」
新興宗教団体の施設内部で軟禁されていた男が鮮やかに密室を抜け出した手段を解き明かす「太陽殿のイシス」(以上『ゴーレムの檻』)
とSFと幻想の狭間でアクロバットに宙返りを決めていく、奇想ミステリがこれでもかと展開し、凄く面白いという程ではないものの、興味深い作品群でした。
比較的好みだったのは、「ノアの隣」「アリア系銀河鉄道」「シュレディンガーDOOR」「太陽殿のイシス」。「シュレディンガーDOOR」の二重三重の仕掛けと、「アリア系銀河鉄道」のSF感は秀逸でした。
柄刀一は、凄く好みという程でもないけど、それなりに肌に合う模様。