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『特捜エクシードラフト』感想4

先週分。
◆第7話「隼人 指名手配!」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:宮下隼一)
見所は、榴弾を華麗に回避する7年前の本部長。
地球平和サミットの開催が迫る中、本部長と隼人は悪の組織“赤いスペード”への潜入作戦を決行する。投降しようとした銀行強盗を偽装で射殺して緊急逮捕された隼人は、更に連行中にパトカーから脱出逃亡し、指名手配を受ける。そんな隊長に接触してきたスペードの幹部……それは、7年前に死んだ筈のヒットマン、矢崎であった。
矢崎役が春田純一さんという事もあってか、突然始まる、隊長と矢崎の殴り合い。
格闘戦の最中、受けた傷が急速に回復する矢崎だったが急に苦しみだし、謎の錠剤を飲んで落ち着きを取り戻す。矢崎にアジトに連れて行かれた隼人は組織に入れるかどうかのテストを受け、その条件として、本部長を撃ち殺す!


◆第8話「スペード最終作戦」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:宮下隼一)
本部長を撃ち殺した事により信用を得た隼人は、スペードの一員として認められ、謎の頭痛に苦しむ矢崎は、急に弱気になってそんな隊長に色々と相談する。
隊長のカリスマは、どんな相手にも通用するのだ!
混乱する矢崎の心につけ込み、アジトを抜け出した二人は、なぜかトラックで逃避行。隊長は矢崎が苦しんでいる間に密かに本部に暗号通信を送り、エクシードラフトを呼び寄せる。本部長の殉職により隊長が本気で裏切ったのでは……と疑いながらも呼び出しに応えた耕作、拳、愛は姿を見せた隊長と矢崎に銃を向ける……だがその時、その場に現れたもう一人の人物、それは死んだ筈の桂木本部長だった!
前回の射殺シーンで、お互いのアイコンタクトにより、とっさに隼人が本部長がいつも胸ポケットに入れているラジオを撃った為、弾丸は貫通せずに無事だったが、弾着のショックで本部長は仮死状態になってしまっていた…………という事なのですが、衝撃度と本当らしさを増す為か、本部長、霊安室に寝かされていたのですけど……死因はなんだと判定されたのでしょう。
どう考えても、医者と隊長と本部長でぐるになって、耕作・拳・愛の3人をからかって遊んでいます。
前回冒頭も、この3人にはなぜか、潜入捜査による事件の偽装だという事を伝えておらず、凄く、タチ悪い。
それこそ、この前後編が、耕作・拳・愛に対する、エクシードラフトの最終入隊テストっぽいんですが。
隊長、正統派のヒーローだと信じていたのになぁ……(笑)
シムの解析によって判明した矢崎の正体……それは、今の矢崎は、7年前に死んだ矢崎のクローン、という事実だった!
そしてスペードの最終作戦、それは、サミットに集まった各国の首脳をクローンと入れ替え、密かに世界を思い通りにするという、恐るべきものであった。本部長からこの事実を聞かされた矢崎は、トラックを奪って逃走。トラックに食らいついて荷台に乗り込んだ隊長は、スペードのアジトで矢崎と合流、何故か意気投合した二人は、アジトに襲撃をかける。
ここは“自分がクローンだという真実を知らされたクローン体(クローンとしての寿命が近づいている)は、ほぼ確実に制作者を裏切る”というステレオタイプに乗っかっているだけで、劇中での心理の流れが全く見えてこないのが、残念。
か、隊長から変なフェロモン(主に男に有効)が出ている。
二人の前に姿を見せる、“赤いスペード”のボス。車椅子に乗って現れたその男は――本物の矢崎であった! 7年前の事件で重傷を負いながら何とか生き延びた矢崎だったが、脳の一部を損傷、自分の足で歩く事もかなわない体となり、自らのクローンを作り出すと共に、クローンによる世界の支配を計画したのであった。
構成員の十字砲火から隼人をかばい、倒れるクローン矢崎。
自分の中に生まれた感情は、人間のものなのか……?
「おまえは人間だ。怒り、悲しみ、そして俺をかばってくれた。これ以上、人間らしい行為はない」
隼人の言葉に満足し、微笑みを残して溶解していくクローン矢崎。
後を追ってきたブルースとキースが駆けつけ、隼人もレッダーに実装。構成員を部下に任せ、赤いスペード・矢崎を追い詰める。
「勝者などいない。もしもおまえが負けたのだとしたら、悪の道に走る前の、純粋だったおまえ自身に負けたんだ!」
貧しさの中で生きる為に他者を蹴落としていた幼年期……しかしその中にも、人間らしい優しさの輝きはあったのではないのか?
「思い出してくれ、矢崎!」
レッダーの叫びに唇をふるわせる矢崎の瞳に、過去がよぎる。だが矢崎はレッダーに車椅子ビームを浴びせると更に逃走。クローン培養施設を爆破すると、研究者達を助け出すエクシードラフトを見ながら、レッダーの呼びかけを拒否する形で、大自爆。
こうして、犯罪結社・赤いスペードは壊滅するのであった。
……て、壊滅はやっっっ。
いったい何がしたかったのだろうレベルで壊滅したというか、世界的な組織の割には、構成員少なかったなぁ(笑)
さて序盤ここまで目立つのですが、前作で失敗したテーマ的な部分を意識的に拾いに行っている感じは良いと思います。やはりこういう作品は、良くも悪くも主人公のヒーロー性に物語が寄っている所はあって、しかしそれでいいのだ、という形で意図的に描く事で、前作との決別をはかっているように見えます。
徹底的な悪・悔悛を呼びかけるヒーロー・必死の叫びは届いたのか届かなかったのか……・しかし最後まで、ヒーローはヒーローらしい行動を貫く
その大事な部分を守っているので、見ていて嫌な感じが残りません。
前作は試みは悪くなかったのだけれど、どうにも踏み込み方が中途半端になってしまった結果、その大事な部分を見失ってしまいましたが、かなり意図して踏まえた上で、“救い”を描いたように思えます。
ただ、シナリオそのものは褒められた出来ではありません(^^; 終盤の隼人の台詞とか格好いいし好きなのですが、どうしてもそこまでの積み重ねが足りない、足りなすぎる。肝心のところが致命的におかしい点も含め、全体的な緊張感の足りなさなど、前作の反省を踏まえただけ、のシナリオになってしまったのは残念。
また、折角、昼行灯・食わせ物系で、大きく差別化をはかった本部長が、早くもすっかり正木化してしまったのは、非常に残念。“隠れた実力者”みたいなのは良いと思いますが、結局今回も、射撃の名手で前線で格好良い所を見せてしまうのか、と。本部長の殉職?!に対する感情移入もこの序盤でやられてもいまひとつ湧かず、中盤以降にやるような話を序盤にやってしまってどうにもちぐはぐ、みたいな据わりの悪さもありました。
なんにしろ、スペードは何をしたかったのだろう……(笑)
いきなり隼人をナンバー-3に抜擢するほど、人材難だったのは確かみたいですが。
或いは、隊長から妙なフェロモ(以下略)
さて次回、扇澤脚本なら当たりパターンの予告でしたが、扇澤さんだったらいいなぁ。ゲストの遠藤憲一さんも含めて、楽しみ。