第47話。
遂に自ら前線に立ったカー将軍、メカシンカ・ドクガスイタチにより、バイオテロを決行。こうらくえん遊園地でラーメンを食べていた南郷、巻き込まれて普通に死にそうになる(笑)
「ふはははは、大人さえも童心に帰る、夢と楽しさに充ち満ちた場所こそ、地獄の門出にふさわしいのだ」
カー将軍は、事前に台詞を用意しておくタイプ。
ところが、毒ガスで苦しんでいた人々はそのまま死にはせず、かわりになぜか次々と耳が巨大化したり角が生えたりと、体の各部に異常が発生する。これはいったいどういう事なのか……? ひとまず退却するカー将軍。
一方、耳の巨大化した南郷はアジトに運び込まれ、即死こそしなかったものの、重体に。その治療は任せてくれという夢野司令に、医学の心得もあったのか、と驚く島。司令は4人に毒ガスの元を突き止めるようにと、大滝山周辺の探索を指示する。
北斗「手がかりを、見つけられたんですか?」
指令「ん……ちょっとな」
どうも歯切れの悪い司令は、北斗の追求も誤魔化し、「今は私の言葉を信じてほしい」と4人を送り出す。
と、ジャシンカへの対策を用意していた事とか資金力とか、“発明おじさん”へのこだわりとか、それとなく謎めいていた夢野総司令が、一気に胡散臭く。
「ジャシンカに戻れ、参謀長ユメノ!」とかだったらどうしましょう(笑)
一方、バイオテロに失敗したカー将軍であったが、有尾人一族の運命に関わる大変な事実に気付いていた。ドクガスイタチの吐き出すガスの原料となったマグマガスの採取場所へ向かうカー将軍と、それをこっそりと尾行するゼノビア。将軍にまかれたゼノビアの前に、ダークナイトが姿を見せる……悪魔的奸智!
「ゼノビア、10本尻尾になりたくないか」
「馬鹿な、我らは生まれながらに尻尾の数は決まっている」
帝王アトンすら尻尾は9本止まり……だが……。
ダークナイトはゼノビアに取引を要求し、元より忠誠度20ぐらいのゼノビアは、その誘いに乗って再び帝王アトンへの反攻を決断。そこへ通りすがったダイナマンに密談の一部を聞かれるが、合体攻撃で撃退すると、二人はカー将軍の後を追う。
この事態に本部へ通信を送るダイナマンだが、何故か総司令は不在。
「おかしい……やっぱり博士はおかしいぞ!」
北斗さんのニュアンスが「(頭が)おかしい」に聞こえて、危険。
というか、本当に闇の使者?!
ゼノビアらを追ったダイナマンは、途中で耳の治った南郷と合流。だが南郷が目覚めた時には、人々の為の治療薬と伝言が残されていただけで、既に夢野博士の姿は無かった。いったい、司令はどこへ消えたのか……?
そして、カー将軍が辿り着いた大変な事実……それは、毒ガスの原料となったマグマガスに、レトロ遺伝子が含まれているという事だった。
「レトロ遺伝子」……それは体内の細胞をどんどん増やし、最終的には宿主を死に至らしめてしまうという、15年前に発見された恐るべき遺伝子。人間には毒性が強すぎるが、有尾人一族ならば、それを利用して尻尾を増やす事が出来る!
レトロ遺伝子が、マグマガスの中に流れ落ちる水滴に含まれていると見たカー将軍はそれを集めるが、ボトルを一杯にしたところで、外からダークナイトとゼノビアに奪われてしまう。水筒抱えて逃げ出した二人だったがそれをダイナマンに奪い取られ、背後から追いついてきたカー将軍一行を見て、とっとと逃げ出すダークナイト。
成り行きで強盗犯人となるダイナマン。
ドクガスイタチは各種ガス攻撃でダイナマンを苦しめるが、毒ガスを反射されて、ニュースーパーダイナマイトで爆死。
「おのれぇ、ダイナマン! ビッグバン・ビーム!」
いつの間にか基地に戻って、兜も脱いでいる将軍(笑)
巨大ドクガスイタチのガス攻撃は、通気性の良いダイナロボをも苦しめるが、科学剣でずんばらりん。こうしてジャシンカ帝国を撃退し、ボトルの確保に成功したダイナマンは念のために洞穴の中を確認するが、レトロ遺伝子を含んだ水滴は止まっていた。果たしてその水源はどこなのか? そして、夢野総司令はどこに消えたのか?
かつてない大きな謎を孕みつつ、物語は終局へと向かう!
第48話、ゼノビアさん悪い顔。
前にも口にしていたかもしれませんが、改めて帝王アトンの目的は、10本尻尾になりジャシンカの神として超魔力を振るう事。地球征服をその為の手段と考えていた王様だが、科学の力で何とかなるかも、という急報に胸がドキドキ。しかし10本尻尾を狙うのは、帝王アトンばかりではなかった……。
一方、持ち帰った水を分析し、その中にレトロ遺伝子の存在を確認したダイナマンは、15年前、人工的にレトロ遺伝子を作り出した生みの親、遠山博士の足跡を追う。だが、完成したレトロ遺伝子と共に姿を消した遠山博士は自分の足跡を完全に消し去っており、行方はおろか写真の一枚すら見つからない。
「駄目ねぇ、やっぱりこういう事は女でなくっちゃ」
情報収集判定のダイス目が悪かった男達をあざ笑うレイさん。
レイは、遠山博士も若い頃は色々あった筈、と過去の交友関係を探り、博士のかつての恋人に辿り着いていた。女性は既に死亡していたが、絵描きの卵であった彼女の描いた、遠山博士の肖像があるという……女性の実家に向かうダイナマンだが、開いた蔵の中から飛んで出てくるダークナイト(笑)
案内してくれたお母さんもビックリ。
梱包された絵を抱えて走るダークナイト、追いかけるダイナマン、そこへ現れて横から絵をかっさらうメカシンカ・ブーメランジャッカル。絵を巡って激しい三つどもえが発生し、更にカー将軍が登場。「ダークナイト、ダイナマン、まとめて片付けてやる」と強力な電光が炸裂し、ボール紙の包みをめぐって争うという絵面ながら、なかなか熱い攻防。そして押したり引いたりの挙げ句に梱包が破れ、中から曝されたキャンバスに描かれていたのは……
「夢野博士?!」
とにもかくにも絵を奪い、スカイハイで逃走するダイナマン。若き日の遠山博士の肖像は、別人というにはあまりに夢野博士に酷似していた……遠山博士が、夢野博士という事なのか?!
南郷「なんてこった……俺たちはこれまで騙されていたのか」
………………まあそもそも、「研究費を出す」というのが嘘だったから。
南郷「信じていたのに……そんな人だったなんて。俺たちは裏切られたんだよ」
北斗「なんてことを言うんだ。南郷の耳を治したのは、博士だろう」
南郷「「わからなくなったよ、夢野博士っていう人が。みんなから聞いた、遠山博士とは一致しないし……。いったいどっちが本当の博士なんだ」
北斗「決まっているじゃないか。俺たちの知っている夢野博士こそが本当の姿」
南郷「じゃあどこへ行ったんだ?!」
まさかこんな形で、この終盤に『ダイナマン』と『ダイレンジャー』が被るとは(笑) 配信タイミングも被った為に、妙に面白い事になってしまいました(^^;
で、10年前の作品の方が良く出来ているという。
南郷の博士への不信はやや唐突ではあるのですが、5人の中では一番人が良いですし、命を賭けて戦う同志であるからこそ、名前を偽り別人になりすましていた、という事自体が許せない、というのはわからないでもない話。そこで、博士の治療←耳の巨大化←コメディリリーフの南郷だから多少酷い事になってもOK、と前回から計算されて繋がってもいます。
そして正統派ヒーローとして博士を信じ続ける北斗は、レトロ遺伝子の混ざった水滴は、博士が止めたのでは、という事に気付く。もう一度、大滝山へと戻ったダイナマンは忍者イヤーで水脈をさぐり、山肌に人の手が入った洞穴を発見。その奥で夢野博士と再会するが、落盤によって洞穴の中へ閉じ込められてしまう。
「これだけは信じてくれ……私は15年前、レトロ遺伝子を処分したんだ」
毒ガスによる人々の変貌を見た夢野博士は、それがレトロ遺伝子の影響であると即座に察知。治療薬を作るとすぐに、レトロ遺伝子を処理したこの洞穴に赴き、廃液の流出を食い止めていたのであった。
南郷「なんでこんな恐ろしいものを造ったんですか」
「若かったんだよ……世界中をあっといわせるような、生命工学の発明をしたかったんだ」
だが、レトロ遺伝子を開発した夢野(当時:遠山)はスパイ組織に襲われ、かけがえのない恋人を失ってしまう。
「私のような研究一筋の男に、初めて愛するという事を教えてくれた人を、自分の作った遺伝子で殺してしまったんだ」
遠山はレトロ遺伝子を大滝山の奥深くに処分すると、それまでの人生を捨て「夢野久太郎」という新しい名を名乗る。そしてスパイ組織を背後で操っていた地底の有尾人一族、ジャシンカ帝国の存在を知ると、それと戦う決意を固めたのであった。また同時に、発明センターを造り、子供達と楽しい夢のある発明に取り組む道を選ぶ……それは功名心から禁忌の発明を行ってしまった自分自身と、それによって失ってしまった愛する女性への、夢野なりのせめてもの罪滅ぼしであった。
「許してくれるかな……こんな男でも。
戦ってくれるかな……こんな男のもとでも」
いやぁ正直、今作にトータルな物語による盛り上がりはあまり期待していなかったのですが、ここに来て、夢野博士がこんなに格好良くなり、物語がこんなに盛り上がるとは。
特に絶妙なのは、ダイナマン5人もまた、彼等なりの野心に溢れる若き研究者であり(一部微妙)、夢野博士の渾身の苦さを含んだ
「若かったんだよ」
という言葉が、この上ない実感を持って、彼等を絶句させる事。
パワーガン、デンライト、ケタゾンガス、とこれまで幾つかあったエピソードの流れを汲み、重大な発明(発見)と科学者のモラル、という部分も物語の中で繋がりました。
また、天狗仮面の秘密(ジャシンカから身を守る為に自らも体を鍛えていた)、“発明おじさん”へのこだわりも、納得できるレベルに。
そしてやっぱり、ジャシンカは昔からせせこましくスパイ活動を頑張っていた。
資金源は謎のままですが、博士が復讐の為に心血を注いで作り上げたのだと思うと、ダイナロボの圧倒的な力も、なんとなく納得です。
博士の告白を聞き、改めて打倒ジャシンカへの思いを強くする5人。ニュースーパーダイナマイトの高熱ならレトロ遺伝子を完全に消滅させられるだろう、とダイナマンはレトロ遺伝子の入ったボンベを抱えて、洞穴を脱出。
それなら先にやっておけば……という気もしますが、夢野博士もわざわざジャシンカと交戦中に藪をつつく必要はないと判断したとすれば、確かに妥当か。
……て、博士が「爆発!」にこだわっていたのって、レトロ遺伝子を完全に破壊するだけの高エネルギーを求めていたのかもしかして、と考えると、これまた納得(笑)
クライマックスの戦闘は、待ち受けていたジャシンカ帝国とボンベを奪い合うアメフト風バトル。こういう演出は、伝統といえば伝統か。
前半を重くしたバランスを取る為か、このバトルはコメディ風味に進むのですが、えー……気軽に敵を殴るのに使ったりしているけど、そのボンベが破裂したら、割と大変な事になるのでは(笑)
最後は、仲間割れを誘発させて一般兵が居なくなった後で、故意にブーメランジャッカルにボンベを渡し、しめしめと逃走した所を、背後からニュースーパーダイナマイト(おぃ)
ブーメランジャッカルはレトロ遺伝子ごと爆散消滅し、見物していた偉い人達は撤退。
今回、「おのれぇ、ダイナマン! ビッグバン・ビーム!」の前に、将軍が基地へワープしてくるシーンが演出で入りました(笑)
ブーメランジャッカルは、ブーメランでダイナロボのコックピットを突き破るなど善戦するが、ダイナブーメラン→竜巻パンチ→科学剣稲妻重力落とし、のコンボで死亡。この終盤戦なんとなく、メカシンカがダイナロボに与えるダメージが大きくなっているような気がします。
こうしてレトロ遺伝子は地球上から消滅したが、ジャシンカ帝国はレトロ遺伝子を作り出せる人間(夢野博士)の存在を知ってしまう。一方カー将軍はゼノビアの動きに不審をいだいていた。果たして10本尻尾に辿り着くのはアトンかゼノビアか。そして暗躍するダークナイトの真意とは。キメラ王女の見せ場は、もう二度と無いのだろうか……?!
次回、レトロ遺伝子を巡って、狙われる夢野博士。そして何故かゼノビアより先に王様に斬られそうになっているカー将軍。
いよいよ最終決戦の時、迫る。
ラスト、改めてダイナマンと司令が、がっちり手を合わせる無言の芝居(ナレーションかぶせ)のところで、ちゃんと南郷だけいじられる辺りが、細かくて良い。