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『特捜ロボジャンパーソン』感想30

先週分1。
◆第35話「暴走セーラー服」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:扇澤延男)
山道を行くジャンパーソンとガンギブソンは、磔にされて無残に破壊されたロボット達の残骸を発見する。そこは、<ネオギルド>の処刑場であった……。
「やつらがなぜ処刑されたか……わかるな? この私に口答えしたからだ!」
ええ?!
「心に刻み込め! このジョージ真壁に背くものには見せしめの血の粛清あるのみと。我らは鉄の結束……ネオギルドだ!!」
ええーーーーー?!
これまで数多の裏切り者を輩出してきた<ネオギルド>大首領のお言葉に疑問符が山盛りで泣けばいいのか笑えばいいのかわかりません。なんかもう、自らを鼓舞しようといているのかもしれませんが、
現実見ようぜ!
そして鬨の声をあげる暗殺ロボット達の中に、セーラー服女子高生ロボットが混ざっているという、非常にシュールな映像。強引、を通り越して、<ネオギルド>だから仕方ない、という空気さえ漂います。
そんなセーラー服女子高生ロボット・トコちゃんは、心中で一人呟くのだった。
(このままじゃやばいな……なんとかしなくちゃ)
その頃、処刑場でかつての自分を振り返るガンギブソン
「昔、俺もこの手で仲間を処刑した事があってな。真壁の命令で……脱走者狩りだよ」
自由を叫ぶ脱走ロボットを容赦なく銃殺した日々……。
「あの頃の俺は、自由の意味もわかっちゃいない、どうしようもない馬鹿だった」
…………いや貴方、つい最近も何故か既に組織を足抜けしたメンバーだけ集中的に狙って襲っていた気がするんですが。あれは何かの見間違いだったのでしょうか。
ガンギブソンは、良くも悪くも切り替えが早すぎる(笑)
一方、<ネオギルド>では
「なに、だっそぉう?!」
大演説をぶった直後に、脱走が発生していた(笑)
脱走したのは、セーラー服女子高生ロボット・トコちゃん。トコちゃんは生みの親であるおっさん・山上をひきずって逃亡する。気弱でだらしのない山上に<ネオギルド>からの脱走の意志はなかったが、作業用お手伝いロボットであり、破壊への悪意を持たないトコちゃんは<ネオギルド>に居る事に危険を感じ、「おっさんにもっと誇りを持って生きてほしい」と強引に逃亡させたのだった。
JPらと共に山中を調査していたアールジーコが二人に気付くが、直後に二人は<ネオギルド>の追っ手に捕まってしまう。ジョージは、人間としては駄目だが修理屋としては有能という山上だけを助けると、「トコを始末しろ」と電気椅子のスイッチを山上に渡す。逡巡しながらも、「トコちゃん、おまえが悪いんだ」と、スイッチを押してしまう山上(笑)
壮絶な駄目人間だーーー。
まあ、見た目が人間そっくりなだけで、トコちゃん、ロボットに過ぎないといえば、過ぎないのですが。
「駄目だよおっさん、父親が、自分の娘に手かけちゃ駄目じゃんかよ……」
苦しむトコちゃんだったが、容赦なく回路を焼いていく電撃……だがそこへ、アールジーコから連絡を受けたJPとGGが駆けつけ、スカイジイカーが<ネオギルド>のロボット達を攻撃。
ここのバトルで流れる新BGMが格好いいなぁと思ったら、35話にして初の挿入歌(「正義のために」)。
かなり格好いい。

そこに悪がある限り
君が救いを待つ限り
きっとあいつはやってくる
紫の炎になって
正義ってなんだ? あいつのことさ
闇を吹き払う 光のことさ
フォー・ジャスティス!
フォー・ジャスティ
戦え ジャンパーソン

歌詞は怖い。
ジャンパーソンとガンギブソンは暗殺ロボット軍団を蹴散らしてトコちゃんを回収。突然、山の中から出てきた巨大砲台が逃げる3人を攻撃するが、あっさりとジェイガリバーのミサイルで吹き飛ぶ(笑)
トコちゃんは中枢メカにダメージはなく幸い意識を取り戻すが、JP基地での完全な修理をしよう、というジャンパーソンの提案に首を左右に振る。
「行けない私は。ネオギルドに忘れ物してきちゃったもん」
戻っても殺されるだけだ、と連れて行こうとする二人だったが、トコちゃん、女の武器を使って隙を突き、迂闊なガンギブソンのホルスターから銃を奪うと、天井を破壊してその混乱の中で走り去ってしまう(幸い銃は返却されました)。
トコちゃんが命がけで敢えて<ネオギルド>へ戻った理由、それは、父親と慕う山上のためであった。
「一人で逃げたって仕方ないもん。おっさんが一緒じゃなきゃさ……」
捕まったトコちゃんは拷問を受け、ジョージはその手に謎のチップを取り出す。
「この小娘には従順な私の奴隷になってもらう」
当然拒否するトコちゃんだったが、山上をたてに脅され、それを受け入れる。口で謝りつつも、ジョージに言われるままにトコちゃんにチップを組み込む、徹底的に駄目な山上。シリーズにおける伝説的駄目親父、『特警ウインスペクター』第7話を思い出さずにはいられません(笑)
くしくもゲストの山上役は、『ウインスペクター』でバイクルの声を担当し、後半ではそのバイクルを組み上げた技術者としても登場した篠田薫。扇澤さんは脚本見ていると『ウインスペクター』7話(シリーズのテーマ性に大きな影響を与えた回である)はかなり意識している節があるので、全体としてオマージュなのかもしれません。
「ではまず、私の靴を磨いてもらおうか。と・こ・ちゃん」
て、比喩表現ではなくて、ホントに奴隷扱いなのかっっっ。
拒否しようとするトコちゃんだったが、チップの効果により激しい苦しみが彼女を襲い、ジョージの命令を受け入れる事になる。
「ならばひざまずけ! 犬になって私の靴を磨け! …………おちたな」
女子高生ロボットに靴を磨かせて悦に入るという、かつてなく、大首領さいてーな感じに(笑)
そしてグレたトコちゃんは、ジョージの命令によりバズーカ持って街を攻撃。止めに入ったJPとGGも撃ちまくるが、ガンギブソンの攻撃を受けて機能停止。二人はトコちゃんを回収するとJP基地へと運び込み、記憶回路を再生する事で、その脱走と帰還の真相を知る。トコちゃんに埋め込まれていた奴隷チップを発見、解除するジャンパーソンの胸に、去来する思いは……。
「ジャンパーソン・フォー・ジャスティス! その男に用がある!」
山上を運ぶ<ネオギルド>のトラックに突き刺さるJPカード!
「ない、ない、ないっ!」
怯える山上、それはもう、超怖い。
GG「いいから来い!」
ジャンパーソンとガンギブソンは暗殺ロボット軍団を蹴散らしていき、ここに来て、挿入歌祭。またいつも圧倒的な火力で殲滅する事が多い今作では珍しい、カメラを近づけての派手な取っ組み合いを展開。これまでも格闘戦はそれなりにはありましたが、ここまで押し出してくるのは珍しく、ビルゴルディ戦を入れた事で、少し、アクションの傾向を変えてくるのか。
上級バージョンの黄色タイツに意外に苦しむ二人だったが、ラスボスここで、アールジーコを召喚。
ああそうか、ノルマがあるのか(笑)
――貴様今もしかして、「勝てる」と思ったのか?
残念、ジックキャノンだ。
黄色タイツは、停戦命令に従わない連中は消毒するぞ砲により、オーバーキル。山上を確保した二人は、奴隷チップの中にジョージ真壁が仕込んでいた映像を山上に見せつける。それは……山上が拷問されているという、イメージ映像であった。真壁の命令に逆らうと、トコの電子頭脳にその映像が流れるという仕組みだったのである。
「しかし、今のはただの……」
「ただのイメージよ! 分かっていてもあの娘には耐えられなかったんだ! それだけおまえを大切にしていたってこったろうが! 父親なんだからよ……!」
「父親?!」
「そうだ、父親だ」
ガンギブソンの言葉に、トコを完成させた時の事を思い出す山上。
「なってあげるよ。あたいが家族に。おっさんの娘にさ」
トコはロボットの研究一筋で家族を持たずに生きてきた山上に、娘になってくれると言った存在だった。無茶苦茶なトコの行動が、しかし本当に自分の事を思ってくれてのものだったと遅まきながらも山上は気付き、JP基地でトコを必死に修理。その祈りに応えるかのように、トコはその目を覚ます……。
まあ、半壊させたのそこに立っているガンモドキなんですがっ!
「おっさんじゃない……お父さんだよ」
それぞれを思う気持ちで二人は繋がり、<ネオギルド>からの逃亡生活へと旅立っていくのであった。ガンギブソンは真の自由を手に入れた二人を守る事を誓い、ラスボスは最後に目覚めた人間愛の勝利に深く深く満足するのであった。
と、単発いい話。
扇澤脚本としてはやや切れ味不足でしたが、水準といっていい出来。
ただその中で、人間に愛されるロボットは幸せだ、というベース(JPさんの信念)がある今作に、ではロボットからの愛に人間は応える必要があるのか?という要素を入れてきたのは面白い。
そしてロボットと人間の関係性、という点において、ジャンパーソンとガンギブソンにはズレがある。
どこまで意図したのかはわかりませんが、今回と次回がセットになっているのは、興味深い所です。
にしても、ジョージが冷酷・残虐・非道な悪のボス……というより純然たるさいてー男になってしまったのですが、大首領の明日はどっちだ?!
次回、何故か予告で強調される「多摩テック
「全国から集結した子供達、ジャンパーソンキッズを君は見たか」
……って、いったい何が?!