◆Episode.38「サイクリング・ボム」◆ (監督:竹本昇 脚本:武上純希)
今回わかった事は、延々と自転車で走っているという絵を面白くするのは、難しい(笑)
どんな鍵でも自在に扱う能力を持った、パルファ星人の幼体・ヤーコが、保護を求めて宇宙警察に出頭してくる。ヤーコはその能力でアラドン星人ギャンジャバの右腕として犯罪に荷担していたが、悪事を続ける事に耐えられなくなったのであった。
見た目バスケットに入ったぬいぐるみ大の子豚であるヤーコは、ギャンジャバの隠し金庫に暗号をかけた上で逃亡しており、その中身と、身柄と安全の確保を交換条件として持ちかけてくる。先行したテツがヤーコの証言通りに隠し金庫を発見し、デカレンジャーはヤーコを護送して金庫へ向かう事に。ところが、車に極端に弱い体質のヤーコはパトカーでの移動に耐えられず、通りすがりの自転車を徴発したバン、ヤーコを籠に乗せてパトカーを背中に自転車で走る事に。
「おまえみたいな子供を犯罪の手先に使うなんて、ギャンジャバって、ほっんと悪いやつだな」
「おいちゃんは悪い人じゃない!」
ヤーコにとってギャンジャバは、赤ん坊の時に両親が殺された後、拾って育ててくれた恩人でもあった。しかし恩人の為とはいえ金庫を破り続ける事に耐えられなくなったヤーコだったが……突然、自転車の一部が通信機に変形し、外部から二人へ通信が入る。
「聞こえるか、ヤーコ?」
それは、ギャンジャバの声であった。なんと自転車を貸してくれた通りすがりの男性はギャンジャバの変装であり、自転車はヤーコを捕らえる為の罠だったのである。
ギャンジャバの声及び、通りすがりのおじさん役は、主にスーツアクターであるが、特徴的な声質でしばしば怪人などの声も担当する、ボー・ガルダンその他色々の岡本美登。だいたい出てくると悪役で悪メイクなので、穏やかな風貌に老けていて、ちょっとビックリ。
隠し金庫の暗号を教える事を拒否したヤーコは自転車の前カゴに囚われた上、自転車には時速20km以下にスピードが落ちると起爆する強力な爆弾が仕掛けられている事が判明する。
「それならしばらくサイクリングをしてな。そのうち気が変わるだろうから、さ」
かくしてバンとヤーコ、ママチャリで死のサイクリングに。
・スピードが落ちると起爆の警告
・変身すると重量が変わって起爆の警告
・ジャイロで釣り上げ作戦を行うとタイヤが地面から離れて起爆の警告
丁寧な自転車に追い詰められ、とうとう暗号を教えるヤーコだったが、ギャンジャバは爆弾を解除しようとはしない。それどころか、両親を殺したのは強盗ではなく、ヤーコの能力に目をつけたギャンジャバ自身であったと真相を明かし、自分を裏切るなら用済みで爆死しろ、と外道ぶりを見せつける。
通信を逆探知したデカレンジャーSWATのアジト強襲を逃れたギャンジャバは、隠し金庫の前で待ちぼうけしていたテツと激突。パワーフィストを放つデカブレイク、久々に活躍?! と思ったのも束の間、普通に格闘戦で押し負ける(笑)
星へ帰れ。
先輩達が応援に駆けつけ、バンを追尾していた青も、ギャンジャバ確保に合流。ひたすら走り続けるバンは、爆弾の被害を防ぐ為に市街地を外れ、人気のない山間部へと辿り着いていた。
「変身したら? 爆発しても、あんたは助かるかもよ」
「なに言ってんだ、諦めんな」
悪党でありながらも、自分を育ててくれた恩人だと慕っていたギャンジャバに裏切られた事で、誰も信じられなくなるヤーコ。
「あんただって、どうせ最後は変身して、自分だけ逃げちゃうんだろ」
「俺を信じろ」
そんなヤーコに、バンは自分のSPライセンスを託す。
「これを、俺とおまえの信頼の証として」
そしてバンは、仲間達を信じる。
「俺の仲間が、ギャンジャバを捕まえて絶対に爆弾を解除する。それまではこの足が千切れようと、俺はペダルを踏み続ける!!」
だが、ギャンジャバは用意周到に、バンの行く先にメカ人間を放っていた。自転車突撃で包囲網の突破を図るバンに迫る、爆発!
冒頭で、延々と自転車で走っているという絵が微妙、と書きましたが、火薬大放出で、ここは盛り上がりました。ママチャリで盛り上げようと思うと、このぐらいの派手さが必要になるというか。
遂に追い詰められて自転車ごと崖下へと転落するバンだったが、その時、ヤーコ、割れる。
幼体から成体へ、ぬいぐるみ大の子豚から、光の翼を生やした少女の姿へと変態したヤーコは、バンを抱えて空中に脱出。
「パルファ星人は、ハートに火が点くと、子供から大人に成長しちゃうのさ。バン、あんたがあたいのハートに、火を点けたのさ」
成体ヤーコ役は、幼体ヤーコの声も演じた、中川翔子(当時19歳)。
隠し金庫の前では、ギャンジャバにデカブレイクの必殺拳・ソニックハンマーが炸裂。
これまでずっと「スティックハンマー」と聞こえていて、何がスティックなんだろう……と悩んでいたのですが、どうやら「ソニック」のようで、納得。
ギャンジャバはキャノングラディエーター4に搭乗するが、前に立ちはだかったデカバイクロボが頑張り、レッド不在で個別出撃のデカマシンとの連携で、怪重機を追い詰めてジャッジメント。
「アラドン星人ギャンジャバ、3000以上の金庫を襲った強盗及び、両親を殺害し幼いヤーコを誘拐し、使役した罪で、ジャッジメント!」
デリート許可が下り、迫るデカバロボから逃げ出した怪重機だが、何故か背後にデカベロボ。
「地獄の番犬が逃がしはしない! ヴォルカニックバスター!!」
デカバロボ、目の前で見せ場を強奪される。
しかし、しぶといギャンジャバは、弾け飛んだ怪重機の中から脱出。だがその前に、ヤーコに運ばれたバンが降り立つ。
「ギャンジャバ! 幼い子供の幸せを奪い、罪の片棒を担がせた上、その命まで奪おうとするなんて、言語道断! エマージェンシー・デカレンジャー!」
デカレッドは即座にSWAT起動、ヤーコが鍵開け能力でギャンジャバの纏っていたマッスルギアを解除した所を、Dリボルバーで滅殺して一件コンプリート。ヤーコは宇宙警察本部で、自立支援を受ける事になるのだった。人を信じる心を取り戻させてくれたバンに対し、満更でもない様子のヤーコに対し、子豚時代をからかって追いかけられるバン。
黄「あーあ、相変わらずバンって、女心がわかんないのねぇ」
桃「あんなに可愛い女の子の、ハートの鍵を開けたのにね」
青「つまり奴は、銀河一の金庫破りってわけだ」
緑「でも、自覚なし」
白「あんな可愛い子なのに、ナンセンスですね」
一斉に、ゲストのステマを始めるメンバー(笑)
そして前回の今回で、しっかり残念キザで自分を落としに来るホージーさんには、もはや職人のプライドを感じます。
話のコンセプトはEpisode.20「ランニング・ヒーロー」のアレンジという感じでしたが、常に真っ直ぐなバンのヒーロー性を出しつつ、最近見せ場の無かったデカブレイク、デカバロボ、デカベロボに見せ場を作った、という構成は良かったです。結局、マスターに持って行かれたテツはちょっと可哀想でしたが(笑) 後、前々回木っ端微塵にされたデカマシンとバイクは、さらっと修理されていました(か、本部から新たに回してもらったか)。しかしまあ、ブレイクは基本的に存在感薄くなりすぎなので、もう少し何とかしてあげた方がいいと思います………………マー……フィー…………? うう、思い出せない、頭が……。
次回、伝統の魔空空間でウメコと握手。