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『仮面ライダーキバ』感想3

◆第3話「英雄・パーフェクトハンター」◆ (監督:石田秀範 脚本:井上敏樹
今回のOPは、「バイオリンについて」。さてこれ、どこまでやりきれるのか。やるならやりきってほしいけど(笑)
人名をしっかり書かないと感想がわかりにくいので、とりあえずクレジットを元に、3話までの主要登場人物。
−−−−−
紅渡:社会不適合変質者。引きこもり気味バイオリン職人。
紅音也:女好きナンパ職人。元バイオリニスト。
名護啓介:今回の新キャラ。
麻生恵:モデル。2008年のファンガイアハンター。
麻生ゆり:喫茶店アルバイト。1986年のファインガイアハンター。
野村静香:世話焼き女子高生。渡の保護者。
嶋護:ファンガイアハンターの筋トレ上司。
−−−−−
2008年――
社会復帰と真人間への脱皮を目指そうとする渡は、保護者(女子高生)同伴で喫茶店のマスターにテーブルのお礼を言いにいくが、やさぐれモード中のモデル女・麻生恵にからまれる。母と同じく犬が苦手な恵だが、動物には好かれる渡。
「こんな風にすぐ懐いたの、貴方で二人目」
と、たぶん音也の事だろうなーと思わせる、マスター発言。
恵に「どんな風に変わりたいのか?」と問われ、渡は「父みたいになりたい」と返す。
「母が言ってたんです。父は、素晴らしい人だったって。心清く、誠実で、真面目で、曲がった事が大嫌いな、純粋な人だって」
渡の苗字を知り、難しい顔になるマスター(笑) ここはマスターを縦糸に過去と現在を繋げる、上手いやり取り。
「ねえ、お父さんの名前、なんて言うの?」
「紅、音也」
1986年――
心清く、誠実で、真面目で、曲がった事が大嫌いな(※個人の印象です)紅音也は、片っ端から色々な女をナンパしていた。その最中、武器を取り戻しにやってきたゆりに腕をひねられて嬉しそうにしていた所、突然、蛾?のファンガイアに襲われ、音也は今回も鮮やかな立ち回りで、人並み外れた戦闘力を見せる。蛾は火薬鱗粉をばらまいて逃走し、この様子を見ていた嶋は、音也を「組織」にスカウトできないかと、その身辺調査をゆりに命じる……。
2008年――
紅家を訪れた女弁護士が抱えてきた「紅音也による被害調査書」を目にした渡と女子高生は、それを元に22年前の父親の狼藉の数々を知る事に。
音也にそそのかされて銀座にクラブ作って大失敗とか、ラスベガスでカジノを買ったが音也に支払い踏み倒されて落ちぶれたとか……意図的な描写だとは思うのですが、音也酷い、というか、バブル怖い。
聞き取りシーンや回想シーンの演出は、石田監督悪ふざけモードなのですが、石田×井上は、どうも悪ノリが過ぎます(^^;
「父さんが、あんな無茶苦茶な人だったなんて……」
妙に格好いい音楽で、岸壁でがくっと膝をつく渡。
女弁護士は、「もし音也が一つでもいい事をしていたなら許す」と被害者達が言っていると告げるが……何その、昔話みたいな展開(^^;
その頃、悪徳金融会社を襲撃する1人の男が居た。社長の首にかかった50万ドルの賞金を狙うバウンティハンター・名護啓介。
「そういう言い方は好きじゃないな。正義の味方と呼びなさい」
名護はちんぴら達を鮮やかに制圧するが社長に逃げられてしまい、落ち込みモードの渡と一緒に居た女子高生が人質にされてしまう。が、名護さんパンチから竹刀による連続攻撃で改めて制圧。
こーいうシーンはギャグにしなくてよいと思うのですが、毎度書きますが、石田監督は真っ当にやっても上手いのに、ひねくれすぎ。
どうやら『キバ』世界では、日本国内でもバウンティ・ハンター制度が存在している模様(現代アメリカには、実際、存在している)で、日本の警察にも名を知られている名護さん。賞金は全額寄付、というその姿に、脳内妄想だった父イメージが被ってしまったのか、「父さん……」と錯乱した事を口にしだす渡(笑)
名護は、相談に乗りたいけど今は忙しいので、と自分のよく行く喫茶店(多分、例のマスターの店)を渡に教えて去って行く。
どんな変人なのかと構えていたら、今のところ物凄く普通にいい人だ、どうしよう!
その後、蛾ファンガイアが陸上選手を襲い、恵がそれと戦って今回も大ピンチになり、キバが乱入。渡視点だと今のところ恵は、
「なんでこの女、弱いのにまた巻き込まれているの?」
状態ですが、果たして2人の立場はいつ繋がるのか。
ジャイアントスイングから蛾を追い詰めるキバだったが、至近距離で鱗粉攻撃を喰らって逃げられてしまう。そして1人の男が、その背後に迫っていた。
「キバ、おまえのボタンはいらない。命をもらう」
名護啓介、果たして彼はいかなる理由でキバを狙うのか。そして、恵に嫌われているのはどんな性癖ゆえなのか。次回、キバ、フォームチェンジ。
過去も現在も、蛾がいきなり出てきすぎて、ちょっと雑(^^; 元来、細かい技巧を張り巡らしていくのが持ち味の脚本家なので、雑だと悪目立ちします。
後、渡がキバに変身するとやたらにアグレッシブになるのですが、あれで結構、ストレスが溜まっているのでしょうか。変身前と後を繋げる意識が強いシリーズ(特に前作がそこを特徴にしていた事もあり)だけに、まるっきり別人のようなギャップの大きさは引っかかるところ。


◆第4話「夢想・ワイルドブルー」◆ (監督:石田秀範 脚本:井上敏樹
今週のOP解説は、ストラディバリウス4億円。
2008年――
名護はスカッシュに励む嶋に、キバを倒したいと陳情していた。
「キバよりも私のライダーシステムの方が優れている」
とどうやら、名護さん、第二の仮面ライダーの模様。
一方、父の所行を知って深く落ち込んだ渡は、喫茶店を訪れた名護に父親についての悩みを相談していた。近くに居た恵は名護から「いじけると面倒な人」扱いを受けるが、結局面倒くさかったのか、場所を変えて話す2人(笑)
口調や迷える青少年の相談に気軽に応える所など、名護さんは牧師/神父のイメージでしょうか。
そこで名護が見かけて確保した賞金首(おじさん、綺麗なハイキック)が、音也の被害者の1人であった事が判明。バイオリンの演奏で35万円を踏み倒した上に、企画されたコンサートをドタキャンして男の人生を狂わせたという音也の振る舞いに、激しく土下座する渡。
前回よくわからなかったのですが、名護さんの「記念にいただきます」は、確保相手の服のボタンを集めているのですね……これはちょっと嫌だなー(笑) おっさんのボタンばかりだし。いや、若い女のボタンばかりでもそれはそれで嫌ですが。
1986年――
音也は今日もゆりに殴られながら、Mの悦びを噛みしめていた。
「さいっこうだ……女に殴られるのも、悪くはない」
1・2話は格好良く戦っていたゆりですが、3・4話は、音也の監視でコスプレしているだけで扱い酷い(笑)
2008年――
名護から「悩むより行動」と教えを受けた渡は音也被害者の会の人々を手伝い始めるが、その様子を見て「そんな事をやる必要はない」と法理を説いてくる恵。だがそこに名護がやってきて、「気持ちの問題なのだ」と恵を止める。
「さぞ気持ちがいいでしょうね」
「なんのことかな」
「知ってるわ。あなたは弱い者が必要なのよ。弱い者の面倒を見る事で、自分が上に立てるから。あーー、気持ち悪い」
「馬鹿な事を言うのはやめなさい」
「その、なさいなさいって言うのもやめなさいよ。そういう口癖も、自分が上に立ちたいって証拠じゃない」
「君は俺を分析している。何故か。分析する事で、俺より優位に立とうとしているのだ。悲しいよな。何をしても俺には勝てないという事がわかってるだけに」
「はぁぁぁぁ?!」
つまり、2人とも説教好きなのか。
馬が合わない、というのは、このシーン一つで、凄くよくわかりました(笑)
今後の焦点は、渡はこのまま名護さんに懐くのか、恵の逆転があるのか、という所でしょうか。
工事現場でよたよた働く渡、の姿を紹介する女子高生の説得を受け、態度を和らげていくおっさん達。
(父さん、会いたい……ねえ教えて父さん、本当は、どんな人だったの?)
1986年――
ゆりから遊び歩く音也の報告書を受けた嶋さんは、あっさりとスカウトを断念していた(笑)
恐らく組織名義の領収書を心配したのかと思われますが、嶋さんは今のところ、過去も現在もけっこう適当そうです。
2008年――
女弁護士に、音也をしつこく恨んで渡にあたるのは止める、と言いに来たおっさん達の前で、女弁護士はファンガイアに転じる。
「甘いな。私は許さない。決して」
人生の切り替えを認めた途端にファンガイアに食われてしまうおっさん達、割と可哀想(^^;
ファンガイア反応に渡は出撃してキバに変身、殴られた蛾は人間の姿を見せる。
「夏川さん……どうして……」
「紅音也は、一つだけ、いい事をした。彼は、あの時、花の為に、バイオリンを弾いていた。私は、彼を愛した」
植物園で自分の世界に浸っていた音也に一目惚れした夏川は、街で音也にナンパされて喜ぶが、そこにゆりが登場して袖にされ、その事を深く静かに恨み続けていたのであった。
「私は、花にはなれなかった。許せなかった。私の前で、立ち止まらなかった、紅音也を」
前回、音也がナンパしていた二人目が蛾ファンガイアの人間体で、蛾がいきなり音也&ゆりに襲いかかったのは、フられた腹いせだと判明しました。判明してもこれは、あまり美しいとは言い難いですが(^^; その後22年かけて、紅音也被害ファイルを作った上で息子の所に持ち込んで息子を虐めて楽しむというねじくれ方が凄いですが、そちらの病みっぷりを強調した方が話としては面白かった気もします。それで面白いのは一部の人間だけという気もしないでもないですが。
夏川は再び蛾ファンガイアの姿に戻り、滅多打ちにされる生身渡。キバットは強引に渡を変身させると、更に勝手にフォームチェンジ(笑)
「娑婆の空気でも吸いに行くかぁ」
怪獣城から1人の男が飛び出し、ガルルセイバーを手にしたキバは、狼の力で、青いキバに。青キバは剣の柄からハウリング怪音波を放ち、剣を口にくわえての斜め回転斬り、必殺・ガルルバイトで蛾ファンガイアを両断する。
渡はけっこう動揺していたのに、キバに変身した途端に躊躇なくファンガイアを殺りにいきましたが、キバットさんの牙はあれか、興奮剤を注入しているのか。
そう考えると、変身した途端のアグレッシブなファイティングスタイルなど、もろもろ納得行くんですが(笑)
ベルトに差している必殺技アイテムもなんか微妙に、お薬っぽいなと思っていたのですが、最高にハイな野球キックだったのか。
渡の自称「この世アレルギー」は、クスリのやり過ぎによる副作用だったのではないか(そろそろやめなさい)。
前作の今作で、前作の流れを受けつつひねりも加えてといった感じのフォームチェンジですが、正直第一印象としてはあまりパッとしません(^^; 現状でキバ本体が謎すぎるのと、あまりパワーアップ展開での盛り上げに力の入らないタイプの脚本家と、色々と食い合わせが悪かった感じ。音楽は格好良かったですが。『キバ』は全体的に、音楽は好き。
「父さん……。聞こえるよ、父さんの音が、父さんの心が」
家に帰った渡はバイオリンを弾きながらなんか嬉しそうだけど、それでいいのか(^^;
父がファンガイア引っかけていたせいで息子が酷い目に遭うという話だったのですが、過去と現在を繋ぐキーが“女の嫉妬”、というネタ自体があまり面白くなく、いまいちな出来。次回以降の名護さんの活躍に期待したい。