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『魔法戦隊マジレンジャー』感想22

◆Stage.33「インフェルシアへ〜マージ・ゴル・マジカ〜」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:横手美智子
ヒカルとリンに、今更ながら父について聞く魁。
なんか洗脳されているのか、というぐらいブレイジェルの話題になるとべた褒めになる2人ですが、それによるとブレイジェルは、決して自分の為に魔法を使わない本当の勇者だった…………というか回想シーン見る限り、狂戦士なので魔法いらなかったのでは(笑)
回想シーンではブレイジェル本体とサンジェル体が登場し、ブレイジェルはなかなかの格好良さ。……ちょっと、悪魔っぽいですが。
また、少し謎だったヒカル先生に天空聖者体がある事が判明し、ヒカル先生におけるマジシャインへの変身はどういう位置づけなのか、やや謎が深まりました(あれ?)。
15年前の回想は気がつくとブレイジェルの話題から逸れ、「ライジェルの豚野郎め!」という罵倒に。
ルナジェルは明らかに裏切りとか関係なく、「生理的に無理」な感じでライジェルが嫌いだと思われます。
一方、そんなライジェルもといメーミィは、ン・マ様復活大作戦を閃き、ウルザードマジレンジャー5人を、メーミィはヒカル先生とリンをそれぞれ呼び出す。特に人質を取られているわけでもないのに呼び出しに応え、律儀に二手に分かれる7人(笑)
レジェンドマジレンジャーVS窓際騎士、天空殺法コンビVS生理的に無理、がそれぞれ激突し、着ぐるみが動きにくいので先制の一撃で離脱するルナジェルさん。
まあそもそもルナジェル、支援キャラであって最前線に突っ込むスキルツリーでは無さそうな気がするのですが…………天空聖者だから仕方ない。
そして最近すっかりいい所のないマジシャインは、闇の力を振るうメーミィの前に大苦戦。巨大化したメーミィトラベリオンで立ち向かうも石炭の火力を吸収されてしまい、メーミィはその力を使って、儀式魔法を発動。かつてブレイジェルに封印された冥獣人達の怨念と魂を寄り集め、合体冥獣人・キマイラを誕生させる!
合体怪人、という事で三つの声で喋るキマイラですが、性格は全部一緒(笑)
前のめりなキマイラの攻撃を受け、吹き飛ぶヒカル先生とリン。キマイラはそのまま、割と格好良く立ち回るも、よそ見している間に思いっきり魔法を叩き込まれて、例のごとく苦戦しているウルザードを助けに駆けつける。キマイラは圧倒的な力でマジボルトを反射し、ウルザードの魔法により5人はインフェルシアへと引きずり込まれる……。
インフェルシアに招待された5人、ここで初めて、片目だけですが、ン・マ様とご対面。ン・マ様復活の為にレジェンドパワーを絞り出され、苦しむその姿に、前回からの幻視に戸惑うウルザードマジレンジャーはこのまま、ン・マ様復活の供物として煮干しにされてしまうのか……絶体絶命のその時、魁がバーストモードを発動。かつてブレイジェルが用いた範囲攻撃魔法を放ち、それが、運命の扉をこじ開ける――。
土壇場で魁の主人公力がバーニングして大逆転、という古典少年マンガ展開は今作としては一貫しており、許容範囲。ただ私の魁への好感度がインフェルシアよりも更に地底深くを這いずっているので、あまり面白いとは感じませんが(^^;
こういうのはやはり、丁寧に物語を積み上げるか、キャラクターへの好感あってこそだなぁ、と。
反撃も束の間、迸る赤色ン・マ様光線によって窮地に陥る魁。その命の灯火が消滅するかと思われた寸前、思いもかけない人物がビームを防ぎ、断ち切る! ン・マ様に向けて剣を振り下ろしたその人物は、窓際騎士ウルザード。そしてその姿は、天空聖者ブレイジェルへと変貌する。
「父さん、なのか……?」
「そうだ。私は、お前達の、父だ」


◆Stage.34「勇気の絆〜ゴール・ゴル・ゴルド〜」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:横手美智子
衝撃の残念父(人間名:小津勇)復活! ……かというと難しい所ですが、延々うっすら匂わせてはいたけど、露骨な伏線を見せていたわけでもないので、急展開といえば急展開。視聴者視点は別にして、劇中で指標となる小津兄妹が「あれ……?」と思ったのが前々回ですし(しかもかなり強引に)。
物語としては、もう数話、「どうなの?」展開が入るべき所を、3話ほど省略した感じに(笑)
15年前――ン・マ封印の一歩手前まで行ったブレイジェルだったが、ライジェルの裏切りで負った手傷により生じた一瞬の隙を突かれ、ン・マの呪法、呪縛転生によって全ての記憶を奪われ、魔導騎士ウルザードに変えられてしまったのだった。
本人曰く、
「魔導騎士ウルザードとして、ン・マへの絶対的忠誠心を刻み込まれた」
そうなのですが、絶対的忠誠心、刻み込まれて、アレだったのか……!(笑)
単に、仕事の出来ない人だ……!
まあ、これまでの回想シーンと本人の自己申告を繋ぎ合わせると、「実質単騎でインフェルシアにカチコミかけてあらゆる冥獣人を屠り去る大量虐殺の末にン・マ様の封印寸前まで行った」という事になるので、細かい仕事が出来るとか出来ないとか小さい事すぎて、運用方法が間違っていたとしか言いようがありませんが。
ウルザードの正しい使用方法は、
単独でマジトピアに突撃させる
だった!!
ライジェルの裏切りによりン・マに囚われる事になったブレイジェルだが、記憶を取り戻したのは、ライジェルが作ったスーパーカビを除去した影響…………てどうして(笑) 何かそれらしい理由をつけないといけないと思ったのかもしれませんが、記憶とカビに何の関係もないので、かえって意味不明になりました(^^; もう今更、特に全くこう、要らない理由だったような。
「違う! こいつは父さんじゃない!! 父さんは……父さんは死んだんだ!」
割とすんなり受け入れる4人の兄姉に対し、母の仇であるウルザードを許せない魁。
というか、こんな残念な父、嫌だ。
……作中で初めて、魁に共感できた気がします(笑)
救急戦隊ゴーゴーファイブ』の1話ばりに気まずい空気になる中、未だ完全に呪縛転生を脱していなかった残念父はン・マ様に回収されてしまい、5人に襲いかかるキマイラ。ファイヤーバードアタックも弾き返され、またも窮地に陥る5人だったが、スモーキーに助けられていたヒカル先生とリンが、世界の壁を破って移動可能な謎の馬(映画ネタ?)にまたがって現れる。5人は魔法の馬の力で地上界に戻され、それを追うキマイラ。
「ライジェル、僕たちは決着をつけよう」
ブレイジェルを師匠とする同門の弟子として、メーミィに挑むヒカル先生。両者はそれぞれ天空聖者の姿となると、リンを立会人にマジトピア伝統の決闘を開始する。
古くから伝わる決闘方法が、魔法を封じ剣によってのみ戦うチェーンデスマッチ、ってどれだけ血に飢えているのか天空聖界。……一応まあ、範囲魔法で周辺に被害が及ばないように、とかそういう事なのでしょうが(^^;
ところで今更どうでもいい事なのかもしれませんが、そこの立会人を殺すと闇の門が開いてインフェルシア全力お引っ越しが可能という事実を、みんな完全に忘れ去っていませんか。
優勢に戦いを勧めるサンジェルだったが、トドメの瞬間にライジェルが反則の魔法を使い、逆に追い詰められてしまう。だが変身が解除されてもなお、決闘にこだわるヒカル先生。
「そんなにブレイジェルの教えが、大切? その教えのせいで、滅びるのに?!」
「大切だとも。たとえ僕が滅びたとしても、想いは残り、勇気の絆は受け継がれていく! 自分1人の為にしか魔法を使わない者には、この絆の尊さがわからないだろうけどね!」
師から弟子へ――、親から子へ――、正しい想いは受け継がれていくからこそ、個人の欲望に、正義は決して負けない。本作のテーマを補強する台詞で、戦力的にはダウンしつつも、おいしい所でおいしい台詞を貰えるのが、ヒカル先生のいい所。
「僕がおまえを終わらせる!」
ヒカル先生はメーミィの魔法を剣の腹で反射すると、反撃で鮮やかに一刀両断。
一方地上では、馬と合体してセイントカイザーとなったマジレッドが、ウル皇帝にあおられた勢いでキマイラを撃破。キマイラは描写としてはかなり強かった筈なのですが、本当に勢いで、物凄くざっくりやられてしまいました(^^;
セイントカイザーはファイヤーカイザーの色違いなのですが、赤+白+金という配色といい名前といい、そこはかとなく勇者ロボ系。戦いはマジレッドとウルザードの一騎打ちとなるが、それを止めようとする兄妹達。
「なんで……なんでだよウルザード!」
剣を取り落とした自分を切ろうとしないウルザードに、感情をぶつけるマジレッド。
「それは……ウルザードが、父さんだからだ」
30数話に及ぶウルさんの出鱈目な言動と行動を、「心の奥にブレイジェルの魂が残っていたんだよ!」という事で理由付けしましたが、ウルザードは理由が付けば許されるという限界を遙かに突破していたので、初期から仕込むなら仕込むでもう少し何とかしたかったですね……と(^^;
千々に乱れるマジレッドは素手ウルザードに食らいつくと、遂に押し倒しを敢行(笑) こぼれる魁の涙がン・マ様の呪縛を弱め、ウルザードはとうとう、呪縛転生を打ち破る。今度こそ、天空聖者ブレイジェルとしての自分を取り戻した父と再会を果たす兄妹だったが、地上に浮上するン・マ触手。
「これは俺の戦いだ。15年前の片を付けに行く」
ブレイジェルは5人の動きを封じると、ン・マの触手を押し返し、インフェルシアへと単身突撃を敢行。遂に全貌を現したン・マ様は、なんというか旧支配者系。触手の形状を考えると、蛸というより、八岐大蛇のイメージかもしれませんが。
「蒔人、芳香、麗、翼、魁……これが父に出来る、ただ一つの事。滅却せよ、殲滅すべし、冥獣帝ン・マ!」
ブレイジェルは最大出力のハイパー魔法斬りを放ち、崩壊していくインフェルシア、そしてン・マ――どさくさ紛れにバンキュリアも瓦礫の下に倒れ、ブレイジェルは放出したエネルギーとン・マの消滅に呑み込まれていく……。
「子供達、聞こえているか、母さんは、い――」
長らく片目だけのご出演だったン・マ様、全貌を現したかと思ったら、まさかの出オチ!
大ボスクラスと思われた存在がこんな酷い扱いを受けたのは、電磁戦隊メガレンジャー』のジャビウス1世陛下以来でしょうか(笑) ジャビウス1世陛下に至っては、戦隊に認識すらされず、誰とも戦わずに身内に消されたので、たぶん、戦隊史上最低の扱いだけど!
レジェンドパワーが戻るも、呆然と座り込み、或いは立ち尽くす小津兄妹。ここで、魁が手前側で立ちっぱなしなのと、背後で座り込む4人の中で兄者が真っ先に立ち上がる、というのが良かった。
桃「せっかく……会えたのに……」
青「なにも言えなかった。ありがとうも、ごめんなさいも」
緑「父さんだもの……伝わったはずさ」
黄「きっと……そうだな」
赤「俺……もっともっと強くなる。そして、父さんみたいになるんだ」
そして勇気の絆は繋がっていく……と、色々ありましたが、ここは良かった。
最後まで単騎特攻で天空聖者無双を貫いたブレイジェル決死の斬撃により、冥獣獣ン・マは倒れたのか……インフェルシアは完全に滅びたのか……? サンジェルの一撃を受け砂となって消滅していきながら、メーミィ/ライジェルは不吉な予言を言い残す。
「ふふははは、大いなる獣滅びる時、打ち鳴らされたる鐘、怒りと災厄の神々を呼び覚ます――インフェルシアの神々が甦るわよ」
ン・マ様は駄目押しされた感じですが、その背後には更なる恐怖の存在があった! インフェルシアの神々とは何者なのか、クズ母は本当に生きているのか、一つの再会と戦いを終えたマジレンジャー、次回、新展開。
ン・マ様まさかの出オチから、新たな闇の出現へ。敵のボスを倒したと思ったらもっと凄いのが居た! というのは、久しく見なかった構成のような気がしますが、作劇としては70年代から一周回った感じでしょうか(笑)