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『烈車戦隊トッキュウジャー』感想33

◆第33話「カラテ大決戦」◆ (監督:竹本昇 脚本:小林靖子
OPにハイパーレッシャテイオー追加。なんかもう、相撲取りにしか見えない。
レインボーライン総裁の外法が判明し、名前と記憶を取り戻したライト達は、シャドーラインとの戦いに決意を新たにする。トレーニングに励む5人+明だが、隣の駅がシャドーに乗っ取られたという連絡に急ぎ向かうと、そこで謎の空手集団の襲撃を受ける。
冒頭で、ライトの祖父から空手を学んでいた事を思いだしたライトとヒカルが空手の型を行い、皆は筋トレ、駅に着いた途端の生身バトル、そして階段を転がるトカッチ、と生アクション盛りだくさん回。
最大の見所は、空手老人の手を優しく取るヒカルを見て「え?!」という顔をする、全員。
容赦ない。
実は空手集団の目的は、ライト達の腕試しをする事にあった。
注射器シャドーによって占拠された街の人々は、時間とともに毒を注入するブレスレットをはめられてしまい、その死のタイムリミットが日没に迫っていた。ブレスレットを破壊する手段はただ一つ。多数のクローズを従えて高層ビルに陣取る注射器シャドーの腕の注射器を壊す事。街の腕自慢達がビルに乗り込んだが全て撃退されてしまい、街の人々は助っ人になる戦力を求めていたのである。
「武道が盛ん」という理由で、通りすがりの一般人を襲撃してくる街が凄く嫌ですが、これは『七人の侍』パロディか(^^;
集団のリーダーだった老人の説明を受け、ビルに乗り込もうとするトッキュウジャーだが、そのまま乗り込んできたらタイムリミット前でも一気に毒を注入してしまうぞ、と脅され変身解除した所で毒のブレスレットをはめられてしまう。一度烈車に戻った6人は作戦を練り直し、ヒカルの発案で、ライトとヒカルの2人が、陰湿な注射器シャドーのゲームに乗っかって、ルール通りに生身で正面から突入する事に。
突撃を前にヒカリは、かつてライト祖父に頼んでライトと空手の試合をさせてもらった事、負けた後で陰で泣いていた所をライト祖父に励まされていた事を告白。
「悔しいな。あんな、ろくに練習もしないサボり坊主に負けるなんて。あいつの強さはもう、持って生まれたもんとしかいいようがない。余計に腹が立つな?」
ライト、回想シーンで身内からマッドヒーローぶりを補強される。
「でもな、こんなに、一生懸命練習した手が、弱いわけないぞ。ほら、触ればどれだけ頑張ったか、すぐわかる」
記憶が戻った所で、ライト達の過去に“子供を導くいい大人”(すなわちそれは、トッキュウジャーの指標である)が出てきたのは、非常に良かった所。祖父役も、好キャスティング。どこかで見た顔と覚えのある台詞回しだと思ったら、「五代雄介、こういうのを知ってるか?」の神崎先生か!
「今度はな、少し、遊ぶぐらいのつもりでやってみろ。ライトなんかぶっ飛ばせる!」
ヒカルの回想に、思わぬダメージを受けるライト。
「何それ……じいちゃん……俺の味方じゃなかったのかよ……」
ライトのディーゼルレッシャー(爺ちゃん)への愛情が、実の祖父由来だったと繋がったのは、細かく巧い。
「――ライト、勝負しない? どっちが多く、クローズ倒せるか。先生の言う通り、少し遊ぶぐらいでやらないと、駄目かも」
「わかった。絶対勝つ」
そこへ空手爺が乱入し、3人はビルの中へ。ここからは、クローズ軍団vsライト&ヒカリ+おまけによる、大カラテ祭。
ライトは前半から結構生で動かされていましたが、最近それとなく飛び蹴りなど放つヒカリは、役者さんが極真空手の初段との事。道理で、蹴りが綺麗。
数多のクローズを蹴散らし、遂に最上階へ辿り着く3人だが、注射器はタイムリミットを守らず即座に毒を注入しようとする。だが、そこへ飛び込んでくるキャリアカー。注射器が人質を使ってくる事を見越したヒカリの策により、飛び込んできた4人が不意打ちで注射器を取り押さえるが……注射器もまた、実はダミー、という罠を張っていた。果たして本当の注射器はどこに居るのか、このまま毒を注入されて街の人々もトッキュウジャーも全滅してしまうのか。
作戦失敗とうなだれるヒカリと揉め始めるライト。一触即発の2人が拳を振り上げ、その向かった先は……後ろで様子を見ていた空手爺。ずっと背後で2人の戦いを見ていた爺こそが、本物になりかわった注射器シャドーだったのである。
ビルの前で横から飛んできたブレスレット、その方向から走ってきた空手爺、そして手。
「空手なんか全然やってない手だった。先生とは全然違う手だ」
ヒカリが優しく手を取って仲間を仰天させたのは、師匠みたいなタイプには優しいという事ではなく、あくまで推理の裏付けの為だった、と鮮やかに伏線が繋がり、アクション回ながら筋肉のみに頼らない事で、ヒカルの特徴も良く出ました。如何にもライト祖父と重ね合わせた人の好い空手爺、が真犯人という流れもお見事。
改めて見ると、爺が乱入してきた時の、喜ぶでもなければ止めるわけでもない微妙な表情と態度は、(しめしめ、引っかかった)という顔だったのか。
2人のの喧嘩も作戦通り。ヒカリは鮮やかな蹴りで注射器を砕き、ブレスレットから解放されたトッキュウジャーは変身すると、1号が早速ハイパー化。4号がビルの外に吹き飛ばした所を急降下しながらの終電烈車砲でシャドー怪人を撃破する。巨大化した注射器にエネルギーを吸われて超超トッキュウダイオーが苦戦に陥るが、関取召喚。ハイパー関取スマッシュで瞬殺するのであった。
新ロボ登場の次の回とはいえ、超超トッキュウダイオーが実にざっくりとテイオーの踏み台になってしまったのは、ややいただけない所。テイオーの力を印象づけるにしても、相手の特殊能力があったとはいえ、超超トッキュウダイオーを苦戦させるのは早かった気がします(^^; 超トッキュウオーなら納得いくけど、それだとビルドダイオーが余るとか、色々都合はあったのでしょうが。
関取自体が、何となくデカくてキラキラしているから強いだけで、あまりイマジネーションとか関係ないのも、勿体ない。要塞ギミックのロボットは、どうしても火力のある箱扱いが多いですが、ここから一ひねり、欲しい所です。
大傑作だった後の1話完結話でしたが、甦った過去の記憶を盛り込んで、良くも悪くもパターンになりがちなクールポジションのヒカルが、男の子の負けず嫌いを発揮してライトと絡む、というのは良かった所。前半少しばたついたきらいはありましたが、細かい伏線の積み重ねが効いたテクニカルな好編。忘れられていたカーキャリアレッシャーを活用したのも良し。
また、前回を受けた変化として、車掌が5人に対して「慌てて大人にならなくてもいいんです」という、ある種の保護者ポジションに移行。作品としては(構成的な必然性もあり)「ヒーローになる事」と「憧れた大人になる事」を掛けて肯定的に描いているのですが、その為に“子供の時間”を犠牲にする事を全肯定するのも問題があり、車掌がそこにくさびを打ち込む存在になりました。これでようやく、車掌が物語の中で意味のあるポジションに収まってくれればいいのですが。
次回、トカッチ、恋の大爆死。