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『侍戦隊シンケンジャー』感想15

◆第二十五幕「夢世界」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:小林靖子
「ひっさびさに来たなぁ……姐さんの手料理」
「油断していた! まさか、ここで」
「殿、後の準備は整っております。どうぞ、心置きなく」
彦馬の命令で、たんかと薬箱を用意する黒子達(笑) 先日殿が倒れた時は、腹痛で一晩寝込んだ事が明かされますが、食べない、という選択肢は無いのか……。
「覚悟は出来てる」
「家臣の心遣い、無駄には出来ませんからな。さ、いざ」
そうか、そこも、侍の心意気で処理されてしまうのか(笑)
今作のキーワードである「覚悟」を敢えて使っての、ある種のメタギャグですが、それだけ姐さんのラスボス度が高いという事か。
ところが……
「まったく……そういう事なら、ちゃんと言えばいいのに」
男衆の会話を聞いてしまう ラスボス 姐さん。
「まだまだだとは思ってたけど……そこまで駄目かぁ……」
歪つなおにぎりの並んだ皿を抱え込んで自分で食べ始める茉子の姿に、慌てて料理を食べ始める男達の姿に、命がけの男の友情を、君は見たか!
ところで、作った当人である姐さんはともかくとして、倒れた殿が一晩寝込むような料理を平然と食べていた、ことはの回路不全が不安になります。
ある意味で一番、大丈夫か、ことは。
その頃、十臓を始末するどころかボーイズトークを立ち聞きしただけで帰って来た薄皮太夫は、ドウコクの中キックを浴びていた。
割って入って両者をなだめようとする骨のシタリが相変わらずいい味ですが、まあシタリはシタリで、太夫が居なくなったりした日には、この面倒くさい酔っ払いの相手を1人でするのは御免被りたい、という所なのでしょうが(笑)
「腹が立つなら、斬ればいい」
「なんだと?」
「外道に堕ちて数百年。身内にある想いは一向に晴れん。泥のように溜まるばかりだ。――斬れ。想いごと全てバラバラに、それこそ、骨まで。わちきが望んでいたのは、きっとそれだ」
前回の十臓トークに感銘を受けたらしい太夫だが、ドウコクはおもむろに太夫の三味線を取り上げると妖力でそれを燃やし、三味線が、まるで人間のようなうめき声をあげる。
太夫、何百年経とうと、てめえがそんな簡単に、綺麗さっぱり成仏できるかよ。てめえにそいつは捨てられねえ。そうだろ?」
「駄目だ。早く、早く塞がないと……!」
火は消えるも表面の破れた三味線をかき抱いた太夫は走りさり、ドウコクはシタリに命じて、ユメバクラというアヤカシを地上へ送り込む……。
「一生独身」ルートから脱出するべく、基本からやり直そうと料理の本を買っていた茉子は、三味線の修理の為に通りすがりのサラリーマンを連れ去ろうとする薄皮太夫と遭遇。シンケンピンクに変身するが、更にそこへ、睡眠ガスで人々を眠らせながらユメバクラが登場。
「御大将の命令だ。黙ってねんねしな」
睡眠ガスを放とうとするがシンケンジャーが駆けつけ、太夫はその隙に睡眠ガスの流れ弾で気を失った男を担いで逃走。
意外とマッシヴで近接戦闘こなす太夫ですが、まさか成人男性を担いで走るとは思いませんでした(笑)
その後を茉子が追い、更にことはが追いかける。夢アヤカシと対峙する男衆だが、遅れてやってきた源太があっさりと睡眠ガスを食らい、昏倒。アヤカシは源太の夢の中へ飛び込んで姿を消すと、夢の中を通って太夫が連れ去った男の体から飛び出し、茉子と太夫も睡眠ガスを浴びて眠りに落ちてしまう……。
太夫……ま、じっくり、思い出せ」
それは太夫に、外道に堕ちた過去の未練を思い出させようとする、ドウコクの差し金であった――。
ここまで、実戦で役に立ちすぎだった源太が、ようやく失点。大海真剣王までの強化ラッシュが一段落したようなので、全体のバランス再調整はこの感じで進めて欲しい所です。
ユメバクラの能力は、眠らせた人間の夢の中に入り込んで移動し、その犠牲者の魂を食べてしまう事。殿はモヂカラで強引に夢への入り口を作り出すと、流ノ介と千明が夢の中へ飛び込んでいく。
「夢の中とはいえ、普通だな…………でもないか」
「みたいだね」
人々が己の願望を叶える夢の中は、入り口だけネガポジ反転で表現し、ちょっぴり狂った感じ。そして源太は、ミシュランの三つ星を獲得した屋台で盛り上がっていた。
「源ちゃん……夢見過ぎ」
「おまえの寿司は普通だ! ふ・つ・う。思い出せ!!」
そこへアヤカシが魂を食らいに現れ、流ノ介と千明は変身して立ち向かう。
その頃、見事なランチを完成させる夢を見ていた茉子(切ない)は、太夫の夢とシンクロし、その過去を垣間見る……それは、祝言の席に乗り込んだ女が、火を付けて居並ぶ者達を皆殺しにするという凄惨な光景であった。
「新さん……ずっと待っていた……迎えに来ると言った、おまえの事を……。何故だ?! わちきはまた……独りだ……」
炎の中で倒れ伏す男をかき抱く女・薄雪(クレジットによると、朴さんが自ら演じている模様)。
状況から推測すると、女郎(薄雪)といい仲になった武家の男(新佐)が身請けを約束するもそれを裏切り、別の女と婚約した事を知った薄雪が婚礼の場に乗り込み、火をかけて花婿・花嫁と、親族皆殺しの修羅場、という感じでしょうか。
詳しい説明もなく(推測通りだと詳しく説明のしようがないけど)、日曜朝のお茶の間にこんなシーンが届けられていたのかと思うと、なかなか凄いな!
「死んでも結ばせるものか……たとえ、たとえ外道に堕ちようともぉ!!」
花嫁の方へ手を伸ばす男の姿に薄雪は絶叫し、その目の前で、三途の川へ続く朱い光が点る――そして女の姿は薄皮太夫へと変じ、抱きしめた男の姿が三味線に変わるのを茉子は目にする。
ドリーム回想のイメージ映像でお届けしているので濁されていますが、これは現場で、男の生皮ぐらい剥いでいたという事ですよね(むしろ、わくわくしながら)。愛し裏切られた男の骨と皮で作った三味線抱えている(しかも仕込み武器)とか、凄く、イイ!!(おーーーぃ)
夢の世界の何でもあり攻撃に苦しみ青と緑だったが、緑が逆転のイマジネーションで反撃して大ダメージを与えてアヤカシは夢から逃げ出し、目を覚ます人々。だが、夢の入り口を強引に作った事で疲弊した殿を狙い、シタリがオオナナシ軍団を地上に放つ。殿はスーパー化すると、目を覚ました寿司屋と共に、大海真剣王で迎撃に。
……先日、ことはが倒れていてシンケンオーになれませんでしたが(海老ぞー単独戦闘の理由付け)、殿1人でシンケンオー呼び出していいのか(^^; 真・侍合体ディスクがあれば、全折神をその場で召喚できる設定?
大海真剣王は乗組員不足でオオナナシ軍団に囲まれていきなり苦戦するが、烏賊天空バスター一回転で殲滅。しかし、へとへとな2人の前に、今度はさすらいのミシュランがやってくる。
……ミシュラン、相手が完調でないと勝負しない主義ではなかったのか(笑)
山中では、目覚めた茉子と太夫が対峙していた。
「一つだけ聞かせて。もう、人に戻る事は」
「ふん、戻れれば斬らんのか? なんとぬるい……」
茉子をかばったイエローが太夫に斬られ、青と緑は現実世界で引き続き夢アヤカシと戦闘、殿とミシュランは睨み合い、三つ巴の戦況で、次回へ続く――。
前後編のパワーアップ展開の次に、即座にまた前後編という、ちょっと珍しい構成。少々苦戦気味だった一連の新ギミック見せが片付いた事もあってか物語もキャラの掛け合いもテンポ良く進行し、今回は面白かったです。
戦闘シーンで寿司屋をその性格的迂闊さで落とした事と、アヤカシの妖術に対抗するだけのモヂカラを使った殿が疲弊して、青と緑の2人だけで夢の世界へ突入する事になる、というバランス取りは、今作ここまでおざなりになりがちな点だったので良かった。……まあ折角そうやってバランス調整したのに、巨大戦は結局、超殿×寿司屋で強引に片付けてしまいましたが(^^;
幹部クラスとメンバーの因縁が出来れば欲しい派なので、花嫁回で会話のあった茉子と太夫を絡め、改めて因縁を作ったのも、今後に向けて期待したい所です。
次回、もつれる戦いの行方は、そして茉子の殺人料理はレベルアップする事が出来るのか、ミシュランの判定や如何に――?!