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はじめての『プリキュア』感想19

◆『GO!プリンセスプリキュア』 #25◆
ノーブル学園が夏休みに入り、トワに「故郷」というキーワードを浴びせていきなり地雷を踏むアロマ、3つのスーツケースを装備してテンション高いみなみ様……事前に何の相談もせずにトワを引きずり、いざ向かうは、はるかの実家にお泊まり会……川越?
そして番組から重要なお知らせです。
今回は! 眼鏡っ娘も! 居るよ!!
一行は、はるかの実家である和菓子屋へ向かい、はるか、地元では意外と人気。
お世話になる家で「うちのあんみつ、どう?」と聞かれて、その感想が
「申し分ないわ」
のトワ様は、今までで最高に格好良かったです。
ここまでの今作における、名台詞のトップに躍り出ました。
和菓子屋を手伝ったり流しそうめんを体験したり、労働者階級の暮らしぶりに感嘆の眼差しを向ける王族とブルジョワ。何もかも「一夏の体験」で済ませて納得してしまうみなみ様、ちょっと危ない(笑)
ついつい畳の部屋で大の字になってうたた寝する一行だが、トワはディスピアに追いかけられる悪夢にうなされて目を覚ます。と、部屋に居たのはトワを団扇であおぐみなみ様だけ。はるか達は即席和菓子教室に参加中と明かされるのですが、ここで「一夏の体験」よりも、トワの面倒を見るのを優先して残っている辺りが、みなみ様。
「少し、うなされていたわ。悪い夢でも、見たのかしら」
「…………いいえ、何でもないわ」
「その言葉……私もよく使ってしまうわ」
「え?」
「心配をかけたくなくて、つい、ね。でも、話す事で楽になる事もあるわ」
「夕方……この時間になると、トワイライトの時の記憶を思い出すの。また闇に呑み込まれてしまうような気がして。夜が来るのが、怖い……」
ここまで、丁寧に雰囲気を出して情緒的に描かれていた夏の一幕、風鈴を鳴らしていた涼やかな風が、黄昏、不安を招く風に変わる――トワを魚眼レンズ気味に描いたり、遠目のカメラを斜めに置いたりと、不安定なカットを幾つか繋げ、ギャップを出して雰囲気を変えたのは巧い演出。
そこへはるかが顔を出し、一行は河川敷で花火を楽しむ事に。途中でみなみが第二のスーツケースから大量の花火を持ち出し(なお第一のスーツケースはご挨拶用の大量のメロンであった)、通りすがりの家族連れも加わって賑やかになる中、少し離れた場所で川面を見つめていたトワに、みなみは花火を手渡す。
「こんな夜も、あるのね……」
「まだ怖い?」
「え? ……今は、そんなに」
「夜が怖くなったら、こんな風にみんなと一緒にいればいい。もっと私達を頼ってもいいのよ」
「みなみ……。……みんなと居れば、お化けも怖くない?」
「う! え、ええ、少しは、多分ね」
ここでみなみ様にカウンターパンチを炸裂させる事で、トワの独自性がちょっと出ました(笑)
だが、そんな平和な休日に忍び寄る黒い影……今回、このままゼツボーグ抜きでも行けてしまうのではないかと思われたその時、いきなり玉座にふんぞり返り始めたロックに絶望集めを命じられ、憂さ晴らしに旅に出ていたシャットの乗った小舟が、この河川敷を通りがかり、賑やかな声を耳にしてしまう。
「誰だ、人が落ち込んでいるのにっ。……?! あ、あれは、元トワイライト様!  おのれ! 人の気も知らないで楽しそうに! 許せんっ」
愛しい主人を失い、同僚だと思っていたちんくしゃに顎で使われる羽目になり、傷心旅行に出た先で逆恨みを発動させるという、シャットが、凄く、面白くなってきた!!(笑)
またここで、表面上の姿だけでトワの心情を測る身勝手さと主観のズレが盛り込まれる事により、悪としてのシャットに厚みが増したのも良かった部分です。
シャットは背景が目に痛く強化されたシャット・ユア・ドリームにより消防団ゼツボーグを作成。水の代わりに闇を放出するゼツボーグと、逆恨みに盛り上がるシャットの攻撃に狙われるトワを、間一髪の所で助けるみなみ。
「邪魔をするな。私が狙うのは、トワイライトのみ」
「それなら用事は無い筈よ!」
「なに?」
「この娘はもう、トワイライトじゃない。私達の仲間――紅城トワよ! そうでしょ? トワ」
「ええ!」
最近ちょっぴり影が薄くなっていましたが、久々に格好いいみなみ様でした。そしてトワに対する「さん」付けが外れ、2人は揃って変身。
「う、美しい! ……は?! おのれ、それゆえますます憎らしい!」
三銃士はとにかく前半、見た目と語尾以外に特徴が無いという雑な扱いで個性不足だったのですが、人間的な感情を乗せる事で一気に面白くなりました。クローズの前例を考えると、凄い勢いで死亡フラグを積んでいる不安も若干ありますが。
消防団ゼツボーグに苦戦する2人だが、フローラとトワイライトも助けに入り、ワンマンアーミーからツーマンセル、そしてファイアチームへ――戦場で背中を預けられる戦友の大事さを学んだスカーレットは、マーメイドと協力して、ゼツボーグに打ち上げファイアワーク。
「ハナビ」キーは、本当に、この名前しかなかったのか(笑)
「闇に追われるのがわたくしの定めならば、もう目を逸らす事はしません。この手で闇を払います、何度でも!」
そう、降りかかる火の粉は打ち払い! すかさず握り潰し! そして踏みにじるのみ!
遂にキュアスカーレットが、打撃系国家の希望の光として、正しいプリンセス魂に目覚めました。
汝の敵を狩れ。
……もう少し真面目な話としては、これまで、自分の中の罪の意識と向き合う事で押し潰されそうになっていたトワが、それに屈するのでもそこから逃げるのでもなく、仲間を頼る事でそれに立ち向かっていく覚悟を見いだすという、大きな成長。
恐怖を認めた上で打ち勝つ勇気の理由が、「頼れる仲間の存在」として描かれ、誰かを頼る事を学んだ先達であるみなみ様と繋げる事で、勢いで無から生みださずに今作ここまでの物語と繋がったのは、しっかりした仕事。
「やはり美しい! は?! くっ、あなたは必ず私が倒すのみ!」
シャットが今回、急速かつ予想外に面白くなってきましたが、凄く変態性も増しました。
この際ロックに対抗して小さくなって、金髪美少年+半ズボン+網タイツ+ニーハイブーツという魔性の絨毯爆撃で、全国の女児にコアなルート開放のきっかけを与えるというのは、どうか(待て)
前回のきらら×トワ回に続いて、みなみ×トワ回でしたが、きららが親愛の情を身体的接触で示していたのに対し、みなみとトワは言葉と表情のやり取りで縮まった距離感を表現している、というのは綺麗な描き分け。
話数の多さや、シリーズの蓄積による経験値などがあるでしょうが、そういった部分の丁寧さは今作の優れた所です。
「悪くないですわ。眠るのが勿体ないぐらい、楽しい夜ですわ」
かくして夏の夜、また一つ、絆を深めるプリキュア達であった。
次回、シャットvs犬。…………そういえば昔、鳩と戦って無様に崖から落ちた悪の幹部が居たような……ううっ、頭が……。