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『手裏剣戦隊ニンニンジャー』感想・第34話

◆忍びの34「伝説の世界忍者、ジライヤ参上!」◆ (監督:竹本昇 脚本:下山健人)
今作の開始当初にネタにはしていたけど、笑い話のたぐいだった世界忍者戦ジライヤ』(1988)とのコラボが、まさかの実現!
最初に書いておきますと、『ジライヤ』については3年ほど前に〔東映特撮YouTube Official〕の配信で全話視聴し、かなり思い入れのある好印象の作品です。その上で、とても楽しめる競演スペシャルでした。『ジライヤ』に全く思い入れが無い場合にどうかはわかりませんが、ファンとしては非常に満足、そして『ニンニンジャー』としても面白かった。
路線変更したのか、いちゃいちゃしている奴等が気にくわないと、街で足軽軍団を暴れさせてカップルから恐れの力を得ようとする有明の方。……そういえば小槌は回収されていましたが、ヒョウタンはどうなったのか。
そこにニンニンジャーが現れ、有明の方のお付き、一緒にツッコミ入れたり有明の方を持ち上げて回したりニンニンジャーの一斉攻撃をガードしたり、けっこう高性能。
足軽軍団を蹴散らすも有明の方には逃げられてしまうニンニンジャーだが、突然の銃撃を受ける。そして高い所に現れる謎の忍者。
「おまえ達が、最近巷で暴れているという忍びか!」
「確かに忍ぶどころか暴れてるけど、それがなんだ!」
「俺が倒す!」
「何だいきなり。あんたは誰だ」
「戸隠流正統、ジライヤ!」
さかのぼる事、27年――というナレーションから、『ジライヤ』のタイトルを入れて始まる、変則OPでコラボ感ばっちり。
ニンニンジャーと切り結ぶ謎の忍者・ジライヤは、6対1でもニンニンジャーに全く引けを取らない技の冴えを見せつけ、剣術の合間に拳の打ち込み入れてくる辺りが、ジライヤっぽい。
「この忍者、むっちゃくちゃつええなぁ!」
現役ヒーローに、やたら強いロートルが問答無用で襲いかかってくる、という導入は、傑作だった映画『海賊戦隊ゴーカイジャーvs宇宙刑事ギャバン』を思い出します(笑)
「俺が日本に居ない間に、おまえ等のような連中がのさばっていたとはな。俺が戻ってきた以上、悪の忍者は一掃してやる!」
邪悪な忍者→とりあえず抹殺
凄く、戸隠流っぽいです(笑)
天晴、八雲、キンジがヒートアップする中、残り3人は何となく誤解に気付き、金だらいの術で戦闘の停止に成功。たらいの印を見てすぐに伊賀崎流だと把握する辺り、ジライヤの成長が感じられる部分(笑)
誤解に気付いたジライヤが「すまん!」と謝罪して頭を下げ、上げると変身解除されている、というのは間違いに対して素直に謝れる闘破の性格を示しつつ、色々と明確に描けないジライヤの変身シーンを見事に誤魔化して巧かったです。
そして27年ぶりの山地闘破は、やたら原辰徳に似ていた。
「ま、誰でも勘違いはあるから気にすんなよ、おっちゃん」
「おいおい、おっちゃんは酷いだろう。俺はまだ40代だぞ」
「じゃあ……うちの親父と同じぐらいか」
「え? 俺……このくらいの息子が居てもおかしくないのか」
当然、家庭の有無まで描くのは野暮でそこはご自由にご想像下さいという部分ですが、原作ではヒーロー属性を遺憾なく発揮して割とモテだった闘破は、少なくとも子供は居ない様子。ここで天晴を見つめて呆然とする闘破の「急に我に返って己の立ち位置に気付く」感じは、後半に効くのも含めて、実に秀逸。天晴が闘破より少し背が高いというのも、映像的に良かったです。
「まー、人間、年齢じゃないって」
「だよな」
「「ははははは」」
おっさん呼ばわりに不満を言いつつも一瞬で天晴と意気投合し、イケイケドンドン型に区分される闘破。凪のこの発言には異論が無いでもないですが、カクレンジャーハリケンジャー回と差別化を図る意図が強かったのかと思われます。
霞がネット検索し、数々の世界忍者とジライヤの戦いがスチール写真で次々と表示されるのは、やたらなサービスシーンで、スタッフの熱い思いを感じます。
とりあえず闘破を連れて忍術道場へ戻る一行だが、そこには、「忍者の名誉を守る委員会」が来訪していた。十六夜流忍者が暴れ回ったせいで一般のニンジャの印象が悪くなっており、その状況を正常化する為に制定した規約を一方的に告げ、忍術の使用前には書類の提出を要求するなど、融通の利かないお役所仕事で対応した旋風を困惑させる委員会……てどうして、コラボ回で、普段ならクリティカルレベルのネタを持ち出してくるのか(笑)
夏休み明けから、ニンジャと世間の関係性が描写上明確に変化している今作ですが、ここで更に大きく一押しが来ました。
1クール目からこれぐらい壊したネタをやってくれていればなぁ……とは、正直思う所です(^^;
術の発動に手裏剣を使うのが引っかかり、規約に従っていては戦闘どころか変化も出来なくなってしまう伊賀崎流だが、その委員会の会長こそが……なんと、ジライヤ。ところが闘破はこれを知るや居間に乗り込み、会長を引き受けた覚えは無いと怒りを見せる。実は闘破は、「忍者の名誉を守る委員会」の会長職を頼まれるもこれを固辞して逃げ回っていたのである。
「やべ……俺、こいつらから逃げてたんだった」
思わず飛び出した所を逆にこれ幸いと委員会に捕まりそうになった闘破は、天晴と一緒にその場を逃げ出し、車の上を飛び移ったりオフィスの中を滑り抜けたり。原作OPのパロディ演出をしつつ、闘破の体術が天晴を上回る描写がそれとなく入っており、今回、こういう見せ方が巧い。
「でもさ、なんとか委員会の会長なんて、すげえじゃん」
「はっ、会長だなんて。そんな、人の上に立って指示するのは、俺のガラじゃないんだよ。俺は……現場で、暴れてる方が、向いてんだよ」
その頃、イカ軍師が誕生させた上級妖怪コナキジジイが街に出現していた。
「今時の我が儘で情けない若造どもには、年上の者を背負う辛さと怖さを、知ってもらいたいぞよ!」
コナキ光線を浴びた人間は、付近に居る年長者を強制的に背負う事になってしまう。しかも妖力によって、その重みはどんどん増していくのだった。一人が一人を背負うばかりではなく、複数の老人に覆い被さられて潰れる若者という、さらりと毒のある風刺ネタ。いち早く駆けつけて挑む赤とジライヤだが、連携の乱れから揉めた所に光線を浴び、赤が強制的にジライヤを背負う羽目に。
コナキの攻撃に「よけろ!」と言われた赤は何故かその場で一回転し、背中のジライヤを盾に(笑)
一切よけてないよタカ兄!
「お主など、戦働きが出来ねば、まさに、お荷物だぞよ、おほほほほほほ」
残り5人が到着し、久々にスターが記念写真。コナキジジイは一時撤退し、戦闘不能の天晴と闘破を連れて家に戻るニンニンジャーだが、そこにはまたも忍者委員会が待ち受けていた。天晴が街中で変化した事と、周囲に一般市民が居る状況で危険な忍術を使った事を咎められたニンニンジャーは、規約違反で一ヶ月間の忍術使用禁止を言い渡されてしまう。更に委員会の監視を付けられるという状況で再びコナキジジイが出現し、天晴達を置いて出撃した5人は、やむなく変化無しで戦闘する事に。
下手に逆らって邪悪ニンジャ認定を受けると刺客が大手を振って抹殺しにやってくるので、頭を下げてじっと堪え忍ぶしかないのです。戸隠流第三十四代宗家・山地哲山が僕らに教えてくれた事。忍者に必要なのは、情報力と政治力!
だが、上級妖怪相手に変化無しでは分が悪く、5人はコナキ光線を浴びてしまい、風花の「重い……」発言に、霞、珍しいクリティカルダメージ。そこへ闘破を背負ってやってきた天晴だが、コナキジジイのスピードについていく事が出来ず、連続攻撃を受けてしまう。
「どっから来るかよく見えない!」
「お荷物を背負って、まともな忍者働きが出来るわけないぞよ!」
「お荷物お荷物って、うるせえやつだなぁ!」
苛立つ闘破の姿には、忍者働き一つで生きてきた男の、現役を離れた自分を思い描けない恐怖、が微妙に垣間見えるのも今回の手の込んだ所。
「このまま何もできないと思うな! いいか天晴、目に頼るな!」
「目に頼らない。てことは、鼻に頼るのか!」
「違う! とにかく、俺の言うとおりにしろ」
闘破は敢えて目を閉じると敵の気配を読み取り、背中から天晴に的確な指示を出すと、二人の変則連携攻撃で反撃。『ジライヤ』27話と43話で、視覚を封じ(られ)たジライヤが敵にカウンターを決めるというシーンがあり、こっそり原作ネタ。勢いに乗る二人はコナキジジイの妖力の元である腕の鉄アレイを破壊する事で、妖術の無効化に成功し、全員が解放される。
「先輩。人の上で指示するの、すっげーうまいじゃん」
「え?」
一歩間違えると嫌味なのですが、天晴の裏表の無い性格と、ここで呼び方を「おっちゃん」から「先輩」に変える事で、素直な賞賛の意味を巧く持たせました。
「くぅぅ、お荷物にしてやったのに、なんてやつだぞよ」
「お荷物になるわけないだろ。伝説の忍者は暴れなくてもすっっげーんだよ」
「ふっ。……そうか。俺が暴れなくても、若い忍者がちゃんと戦えるように出来ればいいんだよな。天晴、お前のお陰で、なんか吹っ切れたよ。よーし、おもいっきり忍術を使ってもいいぞ。俺が会長になって、全て責任を持つ。大いに暴れろ」
いつまでも若いつもりで現場にこだわる中年の気持ちが、妖怪の特殊攻撃の打破方法から思わぬ角度でひっくり返され、今とは別の在り方もある事を認めさせる、という流れは前半の軽いやり取りの伏線から綺麗に着地して、お見事。
またここで序盤の「このくらいの息子が居てもおかしくないのか」という闘破の気付きが凄く効果を発揮して、ああ俺は、こいつらのオヤジになれるのかもしれない……と思い至るというのが、原作『ジライヤ』が父(師匠)と子(弟子)を軸とした家族の物語であったからこそ、非常に自然。
更に、どんなに年齢を重ね、実力も実績も持ち合わせていても、生き方を変えるという事には一定の恐怖がつきまとい、そんな時、それを後押ししてくれた若者を肯定する、という構造にもなっています。
山地闘破の新たな決意、そして伊賀崎天晴の真っ直ぐな心――それはどちらに応えたのか、或いは双方にか。忍タリティによって新たにジライヤ手裏剣が誕生し、天晴がそれを用いると、磁光真空剣が宇宙から帰還する!
「磁光真空剣、戻ってきてくれたのか」
ここは完全に原作前提のネタですが、ジライヤが気がつくと持っているのではなく、敢えてこれをやったのが、コラボ作品の原作に対する真摯さとして評価したい。
ニンニンジャーとジライヤはフル名乗りで揃い踏みし、今回かなり内容が詰まっている中、これをきちっとねじ込むのは、さすが竹本監督。
「忍ぶどころか」
「「暴れるぜ!!」
そして流れるジライヤOP。
「行くぜ、ニンニンジャー!」
ここから一気にジライヤ無双かと思わせて、青・黄・白・桃が木の術で動きを封じた所に星がロックンロールサンダーを浴びせる……という、前座ではありますが、5人が空気にならなかったのは良かった所。
「許さん!」
正真正銘27年ぶりに炸裂する、磁光真空剣・真っ向両断。
更に獅子王が復活し、赤が超絶した所で流れ出すニンニンジャーのOP。赤はジライヤから借りた磁光真空剣を用い、超絶二刀流でコナキジジイをワッショイ。ここのライオン復活は物語の盛り上がりと全く関係ないので雑と言えば雑なのですが、現役ヒーローにもきちっと見せ場を与えるバランスという事で良かったと思います。
激熱大王は巨大コナキジジイにのしかかられて沈められそうになるが、ジライヤ手裏剣で謎の磁雷神パワーが発動し、緑のオーラがコナキジジイを吹き飛ばす。ここは完全に謎ですが、手裏剣のパワーとして磁光真空剣を置いていくわけにはいかないし、「おお、磁雷神」とやたらにジライヤが嬉しそうなので、まあいいか(笑)
落下したコナキジジイを必殺ニンジャ大砲でフィーバーし、ジライヤEDインストをバックに、エピローグ。正式に、「忍者の名誉を守る委員会」の会長を受ける事を委員会に約束する闘破。
「わかったんだよ。君たちのような、若い忍者の意思を守る為に戦う事が、今後の俺の役目だってな。……まずは、くだらん規約を廃止して、君たちには、悪を滅ぼすために、暴れてもらうぜ!」
「はい」「おお」「ああ」「アイアムは、賛成でございやす」
キンジが、男爵ネタ、ぶちこんできた(笑)
「だが、いいか。忍法とは、心と体を鍛錬し、正義を守る為の武芸だ。少しでも気持ちに、油断や慢心があれば、技を鈍らせる。それを忘れないでほしい」
「「「「「「はい!」」」」」」
かつて自分が師から教わった言葉を、若き忍者達に伝える闘破……公式サイトによると、脚本時点ではこの台詞はなくて、演じる筒井巧氏からのアイデアとの事。山地闘破の立ち位置の変化と自覚が明確になり、流れがまとまって非常に良かったと思います。
「そして、どんな時も、臆する事なく――若さの剣をうならせろ!」
「よーし、こうなったら先輩の期待に応えて! 忍ぶどころか、暴れるぜぇぇぇ、燃えてきたぁぁぁ!!」
「お兄ちゃんは、少しぐらい忍んでも、いいけどねー」
で、みんな笑顔で大団円。
いや良かった
“下り坂になってきたヒーローがそれをわきまえる話”ではなく、“能力は若い者に全く劣らないが、いい年になったヒーローが今の自分だからこそより良く出来る事を見つける話”になっているのが、特に秀逸。
父子の関係を重要な軸としていた“家族の物語“だった『ジライヤ』の視点から見た時、若輩主人公だった山地闘破が、年経て「若きニンジャ達を見守る父親になる」という流れは、いわば父であり師であった山地哲山の後を名実ともに継ぐ事であり、その責任を受け入れる、という構造になっています。
で、男が一つの覚悟を持って、自分の中年としての立ち位置を見定めた時に(「オヤジになる」、という事を受け入れた時に)、遠い昔に失った真ヒロイン(磁光真空剣)が宇宙の彼方から帰ってくるわけですよ!
ここで、執着と一種の恐怖を乗り越えて、変わる事を選んだ闘破が、ヒロインによって肯定されるというこの最後の一押しが素晴らしい。
ホントよく原作を研究していて、アフター『ジライヤ』としても納得いくレベルで成立しています。こだわりが強すぎて、『ジライヤ』に全く思い入れのない(或いは知らない)方にはピンと来ない部分が多かった可能性もありますが、ただの映像的なサービスだけではなく、原作のテーマをしっかりと汲み取り、その上で『ニンニンジャー』としても面白かったと思います。
もともと毎回登場しているわけではありませんが、ヒエラルキーがややこしくなりそうな好天は出さずに、憧れの有名忍者に出会って大興奮の旋風、を描く事で、ネット検索だけで済まさずに作品世界におけるジライヤの位置づけを補強するなど、細かい描写も冴えていましたし、正直、『ニンニンジャー』でここまで完成度の高いエピソードを見られるとは思っていませんでした(笑)
とにかく誰かスタッフに、『ジライヤ』好きな人が居たのだろうなぁ……。
まさかまさかのコラボ編でしたが、もともと今作の大きな3要素、妖怪退治(『カクレンジャー』)・忍術学校(『ハリケンジャー』)・忍者家族(『ジライヤ』)は明らかに過去作を意識していたとは思われ、かなり初期に『カクレン』『ハリケン』コラボがあった事、今回の出来の良さを見るに、やれればやりたい、という意識はあったのかな、とも想像されます。
後先わかりませんが、筒井巧氏が『特捜戦隊デカレンジャー 10YEARS AFTER』(監督:竹本昇)に出演していたのも、その辺りの打診があっての事か。
…………という事は、冬映画では、ダイナブラックが、UFO丸と出会うのか。 (※ダイナブラック/星川竜は、宇宙人に会う事を夢見ている天文学者?という設定)
でもね、ここまでやってですね、ダイナブラックがコラボしないって事は無いと思うんですがどうなんですか?!
便乗宣伝。今回スチールの思い出で登場した変態達の列伝。
〔『世界忍者戦ジライヤ』<世界忍者大全>〕
あと、全50話の感想も書いています。
次回、Q太郎、早くも復帰。そしてキンジと凪が急接近。夏休みのラストに背景をリセットされたキンジですが、果たしてこれは引きネタになるのや否や。