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『ブルースワット』感想23

◆Volume33「完成!! 最強銃(ドラムガンファイヤー)」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:宮下隼一/鈴木康之)
見所は、拳銃でショウの頬をはたくサラ。
さすがのバトルマシーンです。
記憶に混乱を抱える女が、謎の男から逃げようとした拍子に歩道橋から飛び降りた姿を目撃し、辛くもキャッチするショウ。
ショウがスワットスーツ完全装備で、赤いパトライト回しながらブルーストライカーを走らせているのですが、え? パトロール気取りなの?? 普段堂々と車とバイクで隊列組んで走っているのはまだ目をつぶるとしても、さすがに今作の設定で、パトライト回しながら走っているのはまずいと思うのですが、そもそもどうしてパトライト付けたのか(^^;
女をキャッチする都合でフル装備なのも含め、いきなりの雑な展開。
「落ち着けって! 俺は怪しいもんじゃねーよ!」
超怪しい。
いつの間にかスーツの胸にエイリアンセンサーが付き、その場を逃げ出す2人だが、女を狙うエイリアンの攻撃でとうとう光線銃がずんばらりん。
「エイリアン野郎! 許さねえ! 許さねえ!!」
遂に禁断の、開始3分でプラチナム召喚が行われ、白金さんはショウにシルバニアを装着させた上で、左手に握った新武器でエイリアンを瞬殺(笑) 銀河通販で届いたその商品の名は、ドラムガンナー。
「ハイパーショウ。今日からお前も装備するのだ。私の同志として。地球を、宇宙を守る戦士として」
そろそろ宇宙金色教の勧誘がストレートになってきました(笑)
また脈絡なく次元の彼方から超強力マジックアイテムが降ってきて盾と矛が揃い、これで面倒なLV上げをしなくてもラスボスまで楽勝だよ! という宇宙の改造コード状態ですが、ガントレット的な腕装着型で、ドラムガンナーのデザイン自体は割と格好いい。
エイリアンは逃走して運び屋さんは帰宅し、ショウは気絶した女を連れ帰る。……新生ブルースワットはアジトを特定されないようにあちこちを転々としているという事なのか、今回は川岸でテント生活。
女の素性は、新日本遺伝子工学研究所の主任研究員・奥山梨奈(演じるのは、『特救指令ソルブレイン』の樋口令子/ソルジャンヌだった、森みつえ)だという事がわかるが、実験中の事故によりこの1ヶ月の記憶を失っていた。記憶を失った代わりに脳裏に浮かぶ謎のデータに怯える梨奈から聞き取りをするのが面倒くさくなり、エスバースキャンをしたシグは、恐らく梨奈はエイリアンにインヴェードされて何かの実験をしていたが、事故が原因でインヴェードが解け、その際にエイリアンが研究のデータを梨奈の中に置き忘れたのでないか、と推察する。
地球人のプライベートとか、地球を守る為には紙切れのようなものなのだ!
自分の中にある、別の誰かの記憶に恐怖する梨奈を見たショウは、状況を改善するべく研究所へ聞き込みへ。ところが梨奈の部下に憑依していたエイリアンが正体を現すと何故か梨奈をエイリアンに投げつけ、更に駆けつけたサラとシグに銃を向けると、梨奈を連れて車で逃走。
その姿に、ショウは敢えて梨奈にエイリアンを再インヴェードさせる事で、謎のデータの正体を解き明かそうとしているのではないか、と考えるシグ。果たしてショウは離れた場所にある倉庫で再びエイリアンと激突するが、ショウの行動を理解したような事を言っていたスワット2と3がそこへ突撃してきて、エイリアンは逃走。再び自分たちに銃を向けたショウに対してサラは拳銃で修正を食らわせ、こんなやり方でエイリアンの陰謀を知る気は無い、と怒りを向ける。
「そうじゃねえよ! 俺は……俺はエイリアンの陰謀なんか知りたかったんじゃねえよ。彼女を、梨奈さんを救い出したかっただけだよ。インヴェードされた苦しみから。慣れちまったんだよ、見過ぎちまったんだよ俺たちはインヴェードを!」
…………えー………………あー………………どこからツッコめばいいのか。
ショウの目的は、再インヴェードにより謎のデータの記憶を回収させ、梨奈の記憶の混乱を解消する事であり、被害者の事を考えているショウ格好いい! という展開なのですが……まず
3人と事前に打ち合わせしない理由が皆無。
ただただ、その場のサスペンスをでっちあげたいだけの場当たり的な展開であり、これだけとっても酷すぎます。
ある意味で、期待を裏切らない鈴木康之。
次に、Aパート最後でシグがショウの行動を考察しているのですが、再インヴェードが目的だと推測した時点で、それが梨奈の救済にも繋がると想像できないのは、あまりにもサラとシグの頭が悪すぎます。
当然それを理解した上でやって来たと思ったら露骨にショウを妨害するので、物凄く困惑してしまいました(^^;
そんな発想が思い浮かばないほどドライなのかもしれませんが、だとすれば、ショウに対して「こんなやり方でエイリアンの陰謀を知りたくない」と怒りを向けるのは、非常に中途半端。
その後のショウの叫びも含めると、徹底してドライなわけではないけどインヴェード被害者を救済しようという意識も全くないサラとシグが、上っ面だけの良識を振りかざしているように見えてしまい、極めてよろしくありません。
サラに至っては、「いきなり撃たれたのが許せない」というだけで怒っているようにさえ見え、戦士脳が末期すぎます。
トドメに、ショウの台詞により、これまで30数話のブルースワットの“インヴェード被害者に対する無関心”が物語によって認められるという大惨事。
そもそもインヴェード被害者について徐々に気にしなくなったのではなく、1話たりとも気にした事が無いわけですが、その理由を「慣れちまった」にした為に第1話以前の時点で相当数のエイリアンを駆逐していた事になり、それが第1話のあの反応に繋がったにしても、ブルースワットの無関心は、シナリオ上放り投げてきた事により“結果的にそうなっていた”だけで、ブルースワットの行動指針として物語の進行に影響を与えてきたり3人の心理が描かれていたわけでもないので、辻褄合わせようとして惨劇の出血量を増やしただけのような気がします。
ブルースワットにおける命がけの使命感、というのは確かにヒーロー性の担保ではあるのですが、それにしても、30数話分の無関心は慣れきっていて全く気にしていないだけだったという表明は、仮にもヒーローとしてあまりにも大惨事。
くしくも前回の感想で触れましたが、かといってドライなイリーガルヒーローとして開き直っているわけでもないので、そこはもう、ロンリーバトルの俺たちにそんな余裕は無いので仕方ない、という言い訳で流した方がまだ良かったのではないかと。
第1話の大惨事に端を発する部分に説明をつけようと思ったら再び大惨事が発生するという、このカタストロフの螺旋回廊。
今後、インヴェード被害者に対するブルースワットの対応が劇的に変化する可能性はありますが、それはそれで、ショウを持ち上げる為にサラとシグを地の底に突き落とした形になり、あまり好ましくは感じません(^^;
それならそれで本人の確認を取れ、というサラの当然のツッコミを受け、ようやくショウは梨奈の意志を確かめ、エイリアンに立ち向かう事を告げる梨奈。超露骨な囮作戦の場所にエイリアン軍団が襲来し、その間に梨奈はさらわれてしまう。
「冗談じゃねえ、負けてたまるか! 俺は彼女を、梨奈さんを助けるんだ……助けるんだ!」
ラチナムが怒りとはやや違うヒーローとしての叫びに応えてやってくるというのは割と格好良かったのですが、プラチナムの出現自体が事故なので、根本的に盛り上がらないのは相変わらず。そして出てくるや否や、3匹中2匹を始末する白金さん(笑)
「二つの力を合体させるんだハイパーショウ。私とお前達ブルースワットのように。最強モード、ドラムガンファイヤー」
え? 「達」???
そういう認識だったの??
表向き、助っ人ヒーローとの共闘展開として組んであるのに毛ほども盛り上がらないのは、逆に凄い。
ハイパーショウはセイジが修理した光線銃とドラムガンナーを組み合わせ、最強モード・ドラムガンファイヤーで、試し撃ち用に生かされていたエイリアンを焼却。さらわれた梨奈の元へ駆けつけると、データを回収したエイリアンもドラムガンファイヤーで焼却し、梨奈を救い出すのであった。
ちなみに今回エイリアンが作っていたのは、地球人の遺伝子をエイリアンの遺伝子に変換してしまう薬で、これであっという間に地球侵略だ! なのだそうですが、その場合、マフィアと関係ないエイリアンの星が一つ出来上がるだけのような……。
最後に胸に飛び込むシーンなどありちょっといい雰囲気になるショウと梨奈だったが、梨奈はエイリアンから身を隠す意味もあってアメリカへと研修に旅立ち(アメリカにもエイリアンは居る筈だしアメリカはもっと無法地帯の筈ですが……)、ショウは「折角モテたと思ったのに、モテたと思ったのによ! 許さねぇ、エイリアン野郎ども、絶対許さねぇ!!」という怒りで白金さんから受け取ったドラムガンファイヤーを無駄撃ちして荒野に爆炎を散らすのであった。
3つ前のシリーズ作品のメインキャストが出演という事でか、ゲストヒロインが非常に良い扱い。いっそ、『ソルブレイン』の時よりも良い扱い(笑) 話の方は大惨事でしたが。
次回――昔の男?