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『ブルースワット』感想31

◆Volume42「救世主は悪魔!!」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:鷺山京子)
第26話以来3本目の鷺山さんで、ここに来て久しぶりの脚本家が続きます。中身の方はこれまででも最低レベル、というか、「最低」という言葉の定義付けについて国語審議委員会で三日三晩激論を交わす必要を感じるレベル。
住人達が揃って危険を報せる夢のお告げを聞いた街に、幾ら何でもこれは酷い、というチープな見た目の怪物軍団が出現。噂の真偽を確かめにやってきた完全武装集団(ブルースワット)、問答無用でこれを銃撃。
単なる仮装集団かもしれないのに、いきなり撃つな。
見るからにエイリアンではない、という事を強調する為に仮装させたのはわかるのですが、あまりに安っぽい為、普段エイリアンと戦っているブルースワットが怪物と誤認するのが極めて不自然。
幸いな事に相手は幻覚?で一切の攻撃が通用せず、衆人環視の前で一方的に叩きのめされるブルースワット。残り話数も僅かという事で意図的なものかもしれませんが、その割には住人達のリアクションもこれといってなく、行動の隠密性すら成り行きで思い切り放り投げられていきます。
追い詰められるブルースワットだが、その時、不思議なハープの音色が響くと怪物軍団は消滅。音の元に集まった人々はそこに、夢に現れた白いローブの女――ティアの姿を目にする。

「危険を警告したのは誰?
 貴方たちを救ったのは?
 では、私を信じて、従いますね?」

夢で危険を告げ、怪物を追い払ったティアと、その言葉を素直に受け入れる少女の姿が、まるっきり、ショウとゴールドプラチナムの引き写しという、戦慄の自爆テロ
「ちょっと待った。この話、なんか変だと思わないか。だいたいあんた、何者なんだ」
「私は、平和と幸せをもたらす為に来ました。私に逆らうのは、悪の心を持つ証拠」
難癖付けたブルースワットは逆に住人達から追われる羽目になり撤退するが、フルフェイス+ボディアーマー+銃火器武装の自分たちが明らかに怪しい集団であるという現実をショウが完全に見失っており、慣れって逆の意味で怖い。
ティアの顔をコンピュータで画像解析したブルースワットは、クイーンと同一人物と断定。……つい先日、エイリアンの証拠写真にまつわるエピソードをやったばかりなのですが、クイーンの画像データを所持している事が判明。そうなると他のエイリアンの映像もライブラリ化してあると考えるのが自然で、それを提供しなかった君達は、見城さんの熱いジャーナリスト魂を弄んで、陰でニヤニヤ笑っていたのか……!
怪物軍団は実体の無い電気エネルギーの塊で、「あの怪物達もホログラフィ」と断言されるのですが、先の戦闘で子犬が明らかに怪物の足に物理的に絡んでおり、これは何かの伏線かと思っていたら、最後まで見ても、全く何の伏線でもありませんでした(愕然)
単純に“ショウが少女の飼い犬を助ける”というシーンを作る為に、ホログラフィという設定を無視する、という酷い演出で、蓑輪監督も鷺山さんも、どうしてしまったのか。
作品によっては、どうしてもスタッフの熱量が下がってしまったのか、後半〜終盤になるにつれて演出が思考放棄ぎみになる、というのは残念ながら時折見られますが、それにしても、最悪レベル。
クイーンがわざわざ、遠回りなマインドコントロールを用いて一つの街を占拠した目的を探るべく、真っ正面から突撃するブルースワット
街の中心に謎のタワーを発見するも、またも住人達に追われている最中に少女と接触したショウは、ティアを盲信する少女に対し、誰かの言っていた言葉ではなく君の目で真実を確かめろ、と説得を試みるが、無惨に失敗。
いっけん良い事を言っているのですが、少女は自身の目でブルースワットを一方的に叩きのめした怪物軍団をティアが消滅させた光景を目撃しているので、そもそも、説得の内容が完全に明後日です。
まあショウは、《挑発》にしかスキルポイント振っていないので仕方が無い。
ブルースワットを追い詰めた住人達が「ティア様に教えられた念力だ」と手をかざすと、頭上から閃光が降り注ぎ、ブルースワットは這々の体で退却。もちろん念力で光線が出ているわけではなく、頭上に隠れたUFOからの射撃なのですが、その茶番の射撃係を担当しているムッシュの姿が、悲しすぎます。
この機会にブルースワットを殲滅してやる、と息巻くムッシュだが、UFOの位置を悟られるわけにはいかない、とクイーンに止められる。クイーンの計画、それは世界中に建設した700本の増幅装置を用いて、UFOから放った殺人光線を10万倍に増幅する事により、一瞬で人類の半数を死滅させるという恐るべきものだった。この街に完成しつつあるタワーこそ増幅装置の最後の一つであり、クイーンはマインドコントロールした住人を人間の盾にする事でブルースワット対策としたのである。
恐らく最終盤の反乱フラグで、事あるごとにクイーンから罵倒を受けるジスプですが、そもそもそんな大事なUFOを、ブルースワット追い払うのに使わないでいただきたい(笑)
案の定、セイジに察知される上空のUFOの存在。
「じゃあ、あれはあの人達の念力なんかじゃなかったんだ」
真顔で口にするショウは、そろそろシルバニアの副作用で脳の一部が溶けているのか。
更に、SS−17から遅すぎる699本のタワーの情報がもたらされ、再び街へ向かったブルースワットは、結局、煙幕弾を撃ちまくって正面突破を目指す。
「人間に向けて撃つのは気が引けるわ」
撃っていいのは、犯罪者と敵兵とテロリストだけだ。
一方、ティアが飼い犬を蹴り飛ばした事で不審を抱いた少女は、ティア=クイーンとその目的を知ってエイリアンに追われている所をスワット1のロープアクションで助けられる。エイリアン軍団に囲まれてピンチに陥る二人の元へ、スワット2と3が駆けつけるのですが、二人とも、タワーに突入しようとしていたのでは無かったのか。
見えない所で二人が増幅タワーを破壊済みなのかと思えば、何のスペクタクルもなく発射されてしまう殺人光線。増幅タワーが赤く輝き、苦しみ出す街の人々。「1分後には20億の人類が死滅する」と言いながらクイーンが現れてブルースワットを吹き飛ばし、足下に転がってきた光線銃を拾った少女はそれをクイーンへと突きつける。
「それで撃てるのか」
「私はどうなってもいい。でも、おまえは許さない」
突然、超ハードボイルドになる少女。
この台詞だけ聞くと、全滅した住人達の仇を取ろうとしているようにしか聞こえないのですが、もう、死んだのか街の人達。死滅したのか20億人。
少女の銃撃でクイーンは正体を現し、その反撃から少女をかばって川へ落下するスワット1、と人類20億人死滅まであと1分未満、という状況を全く無視したアクションシーンの連続で殺人光線が忘却の彼方に置き去りにされ、編集時にシーンの前後左右を間違えたようなとっちらかった展開が続きます。
そんな事をしている内に特撮時間にしても既に1分以上経っている気がしてならず、やはり、死滅したのか20億人。
「クイーン……許さねぇ!」
スワット1の怒りの電波でお父さんが仕送りに登場し、増幅タワーをダブル攻撃で1ミリの盛り上がりもなく一瞬で消滅させると、ドラムガンファイヤーでUFOも撃墜。クイーンは、クイーン凄いぞビームを放つと撤退するのですが、特に捨て台詞を残すわけでもなく、やはりもう、取り返しの付かない事態を招いてしまったのではないか人類20億。
そのまま少女を抱え上げて大団円みたいに済ませてしまうのですが、UFOで待機していた気がするムッシュの安否が心配です。
暗黙の公認ヒーローのような言動と行動を取るショウ・無策の正面突入を繰り返すブルースワット・何者かがフィルムをすり替えたのではないかというほど繋がっていないクライマックス
と、もはや頭痛もしないレベルの矛盾と破綻と設定無視が怒濤のように繰り出され、底なし沼のサルガッソーの中でまだまだ手を緩めない最終盤! すっかり70年代作品と化していて、ある意味、凄かった(^^;