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『ウルトラマンオーブ』感想・第23話

◆第23話「闇の刃」◆ (監督:市野龍一 脚本:幸修司)
ビルの屋上でひたすら、「間合いの外からの攻撃ならば拙者も可能!」と剣術スキルの熟練度上げに励むジャグラーの回想で、ガイがオーブカリバーを手に入れた過去の出来事が描写。
「俺を選んだのか」
「何故だ、何故おまえなんだ」
ジャグラーは光の輪に弾かれ就職に失敗、ガイは光の輪に受け入れられてオーブの力を得、以後、ガイに対する嫉妬と劣等感に苛まれたジャグラーは、堕落への道をひた走り、妄執の変態紳士へとクラスチェンジしてしまったのだった(推定)。
…………ガイさん、お友達の心のケアとか出来そうにないからな。
ジャグラーの行為を擁護する気も弁護する気も全くない(むしろ相応の落とし前をつけてほしい)のですが、なにぶん本編において過去のガイとジャグラー人間性について一切描かれていないので、こじれにこじれて事ここに至るまでに、ガイさんはジャグラーの心の傷に、粗塩とか唐辛子とか練り辛子とか相当すり込んだのだろうなーと思えてしまうのが如何ともしがたい。
「俺の方が上の筈だ。……手に入れてみせる。おまえを切り裂く力を!」
一方、平和な公園の風景を見つめながらスペースハーモニカを吹き鳴らし、この平和を影で守って自分からは存在をアピールしない俺、ヒーローとして格好いい……と浸っていたクレナイ・ガイは、予知夢少女ハルカと再会。ハルカの見た、世界に迫る巨大な闇について相談を受ける。
「未来は真っ白なんだ。運命は変えられる」
度々、俺理想をとくとく語るガイさんですが、基本、風来坊キャラを作る事で自己防衛をしているメンタルの弱い自分好きなので、これも自分に言い聞かせているのだなと思うと、色々と納得。
その頃、SSPには渋川が謎の連続ビル壁亀裂事件を持ち込み、ジャグラーのトレーニング痕が怪事件として調査対象に。
なんとか風土記のデータをあたるくだりで、原本は「この街の郷土資料課が保管しているらしいのですが」という発言が飛び出し、シンは原本にあたった事がない、という衝撃の事実が発覚。色々謎だった怪獣風土記ですが、解読している人が他に居て、ネット上のデータを閲覧しているだけだったのか! 個人のホームページなのか!!
何はともあれSSPは調査に出動するが、時同じくしてジャグラーが地面に突き立てた愛刀を通して、闇の力を入手。巨大な深紅の光柱が地の底より噴き上がるのを目にしたガイがSSPと行き合った所に出現すると、魔人モードに変身して次々とビルを切り裂いていく。
「俺に用があるんだろ。だったら人間を巻き込むな!」
「はっ! この星が無くなる前に証明してやろう。俺の方が優れている事を」
「……星が……無くなる?」
「今から死ぬお前には関係ない。闇の力……地中に眠る闇が、俺に力を与えてくれた。いやぁぁぁぁぁぁ!!」
咆哮と共にジャグラーは巨大化し、ガイは初手からサンダーブレスターへと変身。
「おまえへの憎しみから生まれた必殺剣、受けてみろ」
毎日ログインしてこつこつ貯めたボーナスで10連ガチャ回したのに全部外れだった横で、始めたばかりの友人が初回ボーナスガチャでいきなりスーパーレア引き当てた的な憎悪を糧に、喰らえ、邪心剣!!
背後からジャグラーを銃撃する渋川と、それを止めようとするSSPがやいのやいのしている内に、ギャグっぽい成り行きからシンが瓦礫の崩壊に巻き込まれて気絶してしまう中、ガイはオーブ:オリジンへと変身。
「銀河の光が我を呼ぶ!」
「そうこなくっちゃな。ふひゃはははははぁ!!」
両者の力は拮抗し、弾け飛んだお互いの剣が地面に突き刺さる。いちはやく引き抜いたオーブは抜けなくて困っているジャグラーの背中から俺の必殺剣・フレイムを放つが、ギリギリで抜いたジャグラーは炎を一刀両断。背後の足下でシンを助けようとキャップ達が留まっている事に気付いたオーブはその盾となり、ジェラシー剣の連打を浴び、遂に倒れてしまう(7話ぶり4回目)。
オーブ:オリジンとしては初なのですが、第19話で嫉妬の鬼には実質的に敗北していましたし、なにぶん約10話で4回目のダウンの為、インパクトはいまいち。
「くだらねぇ。人間なんて、かばうからだ。それがお前の――弱さだ」
ジャグラーは倒れたオーブを足蹴にすると、キャップ達を見下ろして勝利の哄笑を響かせる。
――だが、それを見上げるキャップ達の視線は、ジャグラーの更に背後に向けられる。怪訝に思ったジャグラーが振り返ると、そこに居たのは、仁王立ちするウルトラマンオーブ
「な、なに?! 貴様は限界の筈だ!」
「誰かを守りたいと思う心は、俺に限界を超えた力を与えてくれる」
振り下ろされるジャグラーの一刀を素手で受け止めるオーブ。
「な、なんだこの力は?!」
「おまえが捨てた、力だーーーーーーーーーー!!」
ガイとジャグラーを分かつ決定的な要因が描かれ、4回目のダウンはむしろ前振り、自力で立ち上がってからのストレートな逆転劇は素直に格好良かったのですが、ガイとジャグラーの対比となる要因、および、仮初めにもジャグラーを真っ向勝負でオーブに勝たせない為のハンデとして用いられたSSPが、この期に及んでお荷物になってオーブの足を引っ張る(渋川の足も引っ張っている)という役回りはいかがなものなのか。
SSPの面々が頭悪いのわかっている渋川さんが民間人の避難を最優先しなかったのは大きな失点なのですが、SSPはSSPで渋川さんを低く見積もりすぎているので、銃撃中のビートル隊員の邪魔をするという浅はかっぷり。
トドメに20数話に渡りガイとの旅を続けてきたSSPの面々がオーブ視点において“無力な地球人”として一緒くたに扱われており、これではSSPはまるっきりピエロです。
無論、そもそもウルトラマンというヒーローには、防衛隊ポジションが手も足も出ない所に現れて颯爽と怪獣を退治するという身も蓋も無さがあるのですが、その手も足も出ないプロセスにおいて“人間としての戦い”が描かれるという要素も同時に存在します(この辺りはシリーズとして変遷があるでしょうが、私の知識の範囲の話として)。
ところが今作はガイが割とざっくり変身してしまう事もあり、経過として描かれる“人間として出来る事”の要素が非常に不足しています。
その不足はSSPを通して徐々に補われ、“人間として出来る事の意味”も少しずつ描いていってくれるのだろうと思っていたのですが、第3話におけるジェッタの叫びや、第7話のハルカの未来を変えようとする意志、第8話でのラゴン親子の為の奮闘などあるものの、それらはむしろ前半に集中しており、後半に行くにつれてSSPが蚊帳の外に。
SSP(特にキャップ)はガイの魂の傷を癒やす役割を果たしてはいるのですが、ではSSPはガイとの出会いや数々の怪獣騒ぎの中で一体何を得ているのか?
第8話や第12話、第15話など、エピソード内で提示されたテーマに対してSSPがSSPとしての答を出すどころか、ろくに向き合いもしないで来たツケが大きな落とし穴になり、今もってそれらの部分が全く描かれていないのが、非常に引っかかる所。
SSP個人個人に全く変化が無いとまでは言いませんが、積み重ねた旅路の経験は、フィクションにおいては“物語への作用”を通して初めて意味を成すものであります。
あくまで主人公はウルトラマン(オーブ/クレナイ・ガイ)であり、SSPは良くて狂言回しに過ぎない、というなら、それはそれで一つの物語の形ではありますが、SSPを通して“人間として出来る事の意味”が描かれてこそ、それと向き合うガイ(オーブ)の“人間を守る意味”が浮かび上がると思うので、そこは是非とも描いてほしいし、SSPには残り2話での逆転サヨナラホームランをかすかに期待したい。
オーブ渾身の俺の必殺剣・ど真ん中のストレートが直撃し、敢えなく弾け飛ぶ魔人ジャグラー
「守りたいと思う心……」
ビルの屋上に大の字に転がり、無表情に呟くジャグラーへ向けられたのは――ビートル隊の誇る宇宙人ハンター、殺しのライセンスを持つ男・渋川一徹の怜悧な銃口
「終わりだね、宇宙人」
ジャグラーは半身を起こすと指で銃の形を真似るおどけた仕草で笑みを浮かべるが、それに対して微笑みを返すおじさんは修羅場くぐりすぎです。
一徹と、増援のビートル隊に囲まれて降伏の意志を示すジャグラーだが、その口の端には歪んだ笑みが未だ浮かび続ける。果たしてそれは虚勢なのか? 隠し持った切り札があるのか? そして地球の奥底に潜む闇の力の正体とは……?!
盛大に吹き飛んだジャグラーですが結局生きており、ジャグラーの生命力が予想以上だったというより、ガイが手心加えた感が濃厚。結局ちゃんと落とし前つけられないガイですが、責任の取り方が間違っているタイプというか、責任取れないタイプというか……この辺りは個人のガイ観にもよるでしょうが、私の中のガイさんは、どこまでも理想を追いかけ続ける俺格好いいな! という人なので!
次回――迫真の予告で、物語はクライマックスへ!