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『轟轟戦隊ボウケンジャー』感想・第29話

◆Task.29「黄金の剣」◆ (監督:諸田敏 脚本:會川昇
ジャリュウ一族がプレシャスを奪い去った遺跡を調査していたチーフと映士は、興奮気味の中年男性から、プレシャス強奪犯だと疑われて詰め寄られる。その男の名は、五十嵐半蔵。アトランティスやゴードムよりも遙か古代に栄えたといわれる古代レムリア文明の専門家であった。
ボイス「サージェスは、プレシャスを独占し、安易に利用していると博士は思っている。頑固で困ったもんだ」
何一つ、反論の余地がないのですが。
博士の著作により、ジャリュウ一族が手に入れたのはレムリア文明が造り出した戦闘生物:幻獣の卵らしいと判明。だが五十嵐博士はもう一つのプレシャスの心当たりを持っており、サージェス財団嫌いの博士に邪険にされたり都合良く利用されたりしつつ、なんとか情報を引き出そうと後を追うチーフ。
「おまえ、名前は?」
「明石……暁です」
「明石? 不滅の牙か?! トレジャーハンター、大っ嫌いだ!」
轟く昔の悪名(笑)が原因でチーフは突き飛ばされ、同じように古代文明に関わりながら、文明そのものに興味を持つ考古学者と、文明の成果だけをいただきたいトレジャーハンターとの対比が描き出されるのは、面白い点。
「おまえたちハンターは、大昔からレムリア遺跡に土足で入り込み、プレシャスだけを奪い取った!」
「それは俺じゃありません!」
それは別の悪いトレジャーハンターの仕業だしーと割と必死に弁解するチーフは、本当に悪い意味でプライドが高いのですが、こういった面を包み隠さないしフォローも入れないのが今作のストロングスタイル。
「当たり前だ。200年前の男の話だ」
すげない態度で先を行く博士だが、自己肯定力なら誰にも負けない不滅の牙はアタックを繰り返し、博士はつい、幻獣の卵と対といえるプレシャス、幻獣を倒す力を持つ事で幻獣を支配可能とする、黄金の剣について口を滑らせる。卵のあった場所からの情報で、剣の眠る霧の森の入り口に辿り着く二人だが、そこには同じく黄金の剣を求める竜王陛下の姿が。
「我が長き願いが、遂に叶おうとしているのだ! 200年の夢が!」
テンション高い陛下は上空から躍りかかり、苦手のボウケンレッド相手に大善戦。久々の直接対決となりましたが、序盤に因縁付けた効果も加えて、赤と赤の激突は格好いい。
「世界を征したレムリアの竜の力……それを手にする我が夢、邪魔はさせん!!」
ドリームスピリッツが鼻から噴き出しそうな勢いの陛下はやたら格好いい二刀流アクションでレッドを切り伏せ、更にデュアルクラッシャーすら弾き返すという大暴れで……漲るロマン、男のアドベンチャー、て、大丈夫か陛下?! 死ぬの陛下?!
エスターの参入後、悪の組織ローテ制のしわ寄せが主にガジャ様に向かっていますが(クエスターを生み出した元凶ではある)、この辺りでそろそろ一つぐらい在庫整理されそうでドキドキします。
「我が夢の力――ふぉぉぉ!」
ノリにノってフィーバー中の陛下は二刀流から繰り出す必殺剣で遂に宿敵ボウケンレッドを撃破……て、えーとこれ…………もしかしなくても、「ダイナ剣、夢の翼! ゴールデンスパーク!」なのでは?!(笑)
突然の、竜王陛下=弾北斗(ダイナレッド)説が浮上して大変心拍数が上がっておりますが、陛下はなんだかんだ好きなので、ここは格好良さ大盤振る舞いで大変良かったです。
「レムリア文字が読めるのは私と、200年前に消息を絶ったある男だけだ! おまえか……! 世界中のレムリア遺跡を破壊したのは?! ……生きていたのか……」
霧の森へ踏み込もうとする陛下を呼び止めた博士が斬られそうになったのをかばったチーフは崖下へと滑り落ち、陛下はそれ以上はこだわらずに森の中へ……。
一方その頃、映士と遭遇したトカゲ兵達は、陛下の指示を破って幻獣を復活させるが、制御できずに真っ先に焼却されてしまう。サイレンビルダーで挑むシルバーは幻獣に苦戦し、げしげし踏まれていた所に再びアルティメット飛び蹴り。幻獣に立ち向かう2大ロボだが、アルティメット火の鳥さえ全く通用せず、大苦戦。
そしてその戦いを、他人の上前を掠め取ろうとする事には定評のある偉大なる大神官ガジャ様が見ていた。
「幻・獣……レムリアの幻獣」
森の入り口では崖下に転落したチーフの無事を確認した五十嵐博士が、推測されるリュウオーンの正体を告げる。
「奴は……奴はおまえと同じトレジャーハンター。冒険者の成れの果てだ」
リュウオーンが、冒険者?」
「200年前、レムリア文明に取り憑かれ、遺跡を探し回る一人の学者がいた。噂によれば、彼の部下や仲間が財宝に目がくらみ、彼を、無人島に置き去りにしたのだという」
裏切りに絶望しながら、なんとか生き延びた男は、自ら調合した薬品によって、現在の姿へと変貌する。
「人に友情も愛もない。人間は生きるに値しない生物だ。私は人を憎み、それを滅ぼす力を求める。そして受け継ぐのだ。偉大なレムリアの、竜の力を」
それはかつて、竜を生み出す方法を手記にしたためた200年前の男……と第7話と繋がり、明らかになる陛下の過去(声を務める森田順平の顔出しなので、推定ではあるが、過去の真実という扱いで見て良さそう)。戦闘でのライバル関係や、仲間(部下)の扱いに関して繰り返し対比されていたチーフと陛下は、互いにルーツを同じくする冒険者であったというのは面白く、今後の両者の対決がより濃度を増す事に期待。
そして陛下は、現代科学に絶望して道を誤った弾北斗でなくて本当に良かった!(現在、東映Youtubeで配信中の『科学戦隊ダイナマン』は、ホント名作なのでお薦めです!)。
「レムリア人は、幻獣を作り出す為に、生物の遺伝子を改造した。恐らく奴はその研究を見つけたのだろう。そしてあんな醜い姿に……全ての冒険者の成れの果てだ。君も同じだ! プレシャスを探すものは皆ああなる。滅びの力と知りながら、それを求めずにはいられない!」
そういう博士自身も、まるで取り憑かれたかのように霧の森へと分け入っていき、未知なるものを求め続ける中で、踏み外す者、歪んでいく者、そして……――と誰が単純に正しいといえない、三者三様の姿が織り込まれているのが今作らしい構造です。
森の奥では陛下が黄金の剣を台座から引き抜こうとするが、拒絶されて失敗。
「なぜだ、なぜだ! なぜ抜けぬ」
「貴様には無理だ! 碑文を読んだろう。黄金の剣は、魂の正しきものを主に選ぶ」
学者としての自らの純粋さと正当性を主張し、勝ち誇って剣を抜こうとする五十嵐博士だったが、やはり拒絶されてしまう。
「なにが正しい魂だ。おまえは己の欲の為に剣が欲しいだけ。私をおとしめる資格などない!」
博士の首をねじりあげる陛下を食い止めた満身創痍のチーフは、鳩尾に膝蹴りを叩き込まれて投げ飛ばされ、黄金の剣へと手を伸ばす。
「抜けるものか貴様に。おまえは俺と同じだ」
「そうだ、無理だ。君のような冒険者に、正しい魂などない!」
酷い言われよう(笑)
「そんなに力が欲しいのか?!」
「欲しいのは……あなたを守る力」
いきなりの告白に、五十嵐博士、ドキドキしちゃう。
「……仲間を救える力。それが俺の探す――プレシャスだ」
真に大切なのは、道具そのものではなく、それを正しい力として用いる強い意志――例えそれが神を滅ぼす剣でも、道に転がっていた木の枝でも、誰かを守る為に使えるならばどちらもプレシャスになりうるし、逆にどんな崇高で強大なプレシャスも、使い方を誤ればその価値は路傍の石に劣る……自分だけの宝、その本質を見出すチーフだったが、必殺《俺は既にいい事を言った! このボウケン(びしっ)レッドが!》は剣には通用せず、やっぱり拒絶(笑)
しかし……
「持ち主を選んでるつもりか。ふざけるな! いいか? 俺が選んだんだおまえを!! この、ボウケンレッドが! うぅぅぅあ!!」
おまえの物は俺の物、人類の遺産は我々の物、無敵の自己肯定力を発動したチーフは力尽くで黄金の剣を引き抜き、最高だなぁこの人(笑)
これまでずっと、チーフは私の中では“面白い人”カテゴリだったのですが、とうとう、チーフを好きになる事が出来ました。……好きになってしまいました、というか。
作品としても、ここで魔剣がチーフを「正しい魂」として認めてしまうと、“正義のヒーロー”としてはわかりやすくなるけど今作がここまで描いてきた積み重ねとはズレが生じてしまうポイントだったのですが、チーフが“選ばれる”のではなく“選ばせる”、むしろ“俺が選ぶ”事でそれを回避しつつ、チーフの目指す正しく使おうとする意志を強調し、それをチーフを象徴する「この、ボウケンレッドが!」に繋げてきたのは絶品。
夏の劇場版担当もあって第7−8話以来となった諸田監督でしたが、パイロット版、そして大きなキー回であった第7話の要素を踏まえて繋がった、まさに諸田監督の為に用意されたかのようなエピソードにぴしゃりと応え、不滅の牙というヒーローを更に飛翔させてみせました。
その上で、超常の力に認め選ばれるのではなく、選ぶ事を自力でねじ込んでしまうチーフの強さには、自分で自分を保証し続けるしかない危うさが含まれているという構造もお見事。いわば膨れあがった自意識の風船とでもいえるチーフが破裂、あるいはしぼみそうになった時にそれを支えるのが「仲間」という事になるのかなと思うのですが、今後チーフの抱える爆弾にも焦点が合うのかどうかは、楽しみなところです。
「抜けたぁ……!」
「なにぃ?! 渡せぇ!!」
挿入歌をバックに、陛下の攻撃を黄金の剣で受け止め、弾き飛ばしたチーフは、大事なお宝の刀身にアクセルラーを滑らせ、スタートアップ。
「貴様などに決して渡さん! 我が夢の力――むん、ぬぁぁ!!」
陛下渾身の「ゴールデンスパーク! ドリームギャラクシー!!」が放たれるが、不滅の牙は黄金の剣でそれをかき消す。
リュウオーン! おまえはもう、冒険者じゃない。プレシャスに取り憑かれた、怪物だ!」
レッドが振り下ろした黄金の剣は陛下の二刀を砕き、放たれた必殺ゴールデンクラッシュ――やっぱり『ダイナマン』ネタなんですか?! 會川さんか諸田さんか石垣さんかとにかく誰か!――の直撃を受け、大・爆・発した陛下ホントに死んだーーー!!
……あ、でも、陛下は死んでも大丈夫なんでしたか。
最初、なんて豪快な設定だと思いましたが、Wクエスターが毎度すたこらさっさと逃げ去るのがカタルシス不足に繋がっている事を考えると、これはこれで便利な設定です。今回のエピソードにより古代レムリア文明の悪魔科学との関連が判明しましたが、陛下がどことなく黒魔術師めいた要素を持つ事を考えると……『鋼の錬金術師』的な賢者の石でも内臓しているのか陛下。そして幾ら死亡フラグを積み上げても実際に死亡する事でリセット可能って、もしかし恐るべき特殊スキルなのではないでしょうか陛下。
「……その剣は、明石暁を選んだ。恐らく君は、正しい魂を持っているんだろう。持ってけぇ! へ、ふふ、へ、へへへへへ」
自分を純粋で正しい探求者だと信じていた学者がガックリ座り込む、というのは、誰しも、もちろん明石暁も、いついかなる形で欲望を満たす為にプレシャスを求めるようになるかわからない、という探求者の負の面を落とさず拾って秀逸。
……チーフの場合、「冒険」というプロセスの方に欲望があるので、発見したプレシャス自体には実は興味が薄い(ゴールは常に次のスタートでしかない)――故にプレシャスの私物化という点においては道を踏み外しにくい――というのがここに来て、今作の主人公として実に良く出来た造形です(笑)
幻獣と戦う2大ロボは、サイレンビルダーは吹き飛ばされ、究極ダイボウケンのドリルは砕け散り、と大苦戦。特にドリルの破壊描写はインパクトが強く、糸が切れたように座り込むダイボウケンの中で、本日も壊滅寸前(5話ぶり5回目)のボウケンジャー
だがそこへ、黄金の剣を手にしたボウケンレッドが駆けつける!
「これが! 俺の果てなきボウケンスピリッツだ!」
レッドは特大のジャンプから黄金の剣を振り下ろし、幻獣を縦に一刀両断。巨大怪獣を相手に某銀色の宇宙刑事ばりの勝利を見せ、自己肯定力を身につけたチーフは、無敵だ!!
リュウオーンめ、また失敗しおって。だがこれには、もっといい使い方がある」
戦いの趨勢を見届けたガジャ様は、また見ていない所で陛下を批判すると、卵の容器を拾い上げてほくそ笑むのだった……。
かくして黄金の剣の力で幻獣を葬り去り、お宝ーお宝ーと皆で囲んでいると、剣の装飾の一部が光り出し、軽い気持ちで触れるとなんと剣がトランスフォームして、人型に。
「ズバーーーーーン!」
「ず……ばーん?」
3分前まで超格好良かったのに、あまりにも公然と質量保存の法則を無視するこの暴挙に、皆すさまじく唖然とした顔を並べたところで、つづく。
果たして突如現れたトンデモ存在は、快傑なのか超神なのか水木一郎なのか、人型といってもややメカニカル(というかゴーレムぽいイメージか?)な外見のズバーーーーーン!ですが、どう見てもさくらさんに反応してピカピカ光り始めており、正しい魂とか関係なく、最初から女性なら引き抜けたのではもしかして……。
と、レムリア文明のプレシャスに不信感が高まりますが、いやぁ、今回のチーフは素晴らしかった! 黄金の剣を引き抜いて陛下と戦うクライマックスは単純に格好良かったですし、ここまで積み重ねてきた明石暁/不滅の牙というヒーロー像の一つの到達点として、お見事でした。
下手するとホント、前後編でお別れになるかと思った陛下は、エピソードが1話でまとまった事、爆発後の後始末が全く無かった事、を考えるとしれっと再登場しそうですが、今回は「おまえはもう、冒険者じゃない」でぶった切られて終わってしまった部分――冒険者の暗黒面のシンボルにして、人間の暗黒面を突きつける存在、としてチーフの精神をもう少し揺さぶってくれる事に、期待したいです。
次回、遂にガジャ様のターン?!