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『轟轟戦隊ボウケンジャー』感想・第39話

◆Task.39「プロメテウスの石」◆ (監督:坂本太郎 脚本:小林靖子
エスターの2人が何やら悪巧みをしている頃、冒険サロンに届く差出人不明の宅配便。あまりにも怪しげだが基地のセキュリティチェックをくぐり抜けた荷物に、2年前の同じ頃、某宇宙警察地球署に届いたストーカーからの人形を思い出したのか思い出さないのか、開封を躊躇するメンバー(除く菜月)だが、突然箱がガタガタと揺れ動き、中から出てきたのは関西弁で喋る人間の頭大の岩の塊。
「ま、お察しの通り、プレシャスやねんけど」
「「「「「「は?! プレシャス?!」」」」」」
ハザードレベル60、妙に気さくな喋る石のプレシャスを演じるのは、2年後の『炎神戦隊ゴーオンジャー』で悪の幹部の1人として存在感を見せる真殿光昭。二枚目から変な怪人から「考えろ、考えろ俺!」まで色々出来る人ではありますが、改めて芸幅が広い。
かつてない素っ頓狂なプレシャスに困惑する一同に向けて石は、自分の送り主は誰なのか当ててみろ、と挑戦。……するが、探り合いとか無縁の男が一人。
「真墨、こういうのはな、力で物を言わせんだよ!」
プレシャスは強いもん勝ちだもんね!
厚い胸板で石をぐりぐりと締め上げ、比喩にならない形で口を割らせようとする映士だが、それを目にした牧野先生が慌てて止めに入る。
「こちらのプレシャスは、プロメテウスの石と言って……」
ギリシャ神話に登場する神の名を冠された石は、怒らせると爆発し、半径1kmは吹き飛ばしてしまうという恐るべき危険を秘めているのだった。これが太陽戦隊だったら、内部に設置されたダストシュートで基地の外に排出されるところでしたが、残念ながら冒険サロンにそんな機能はなく、メンバーは石の機嫌を取りながら爆発の回避方法を探し、なおかつ迷惑な送り主の正体を突き止めようとする事に。
「しかし、ネガティブの中でも、どこの組織がというのが問題ですね」
敵が多いからね!
から、石の言動を拾って「もしかして……?」と各ネガティブを振り返っていく、ちょっと早めの?総集編。
キャラ中心でもメカ中心でもなく、悪の組織中心の総集編というのは、かなり珍しいでしょうか。小林靖子というと、戦隊初参加作品である『電磁戦隊メガレンジャー』の総集編が、なかなか秀逸な構成で印象深いのですが、ここでも、作品の特性を活かした一工夫。また、正体の判明した石がさっそく紫の座布団の上に乗せられるなど、意識を持った無機物の描き方や、コミカルな小道具の使い方では東映特撮随一の匠の技を発揮する坂本監督が快調に飛ばしていき、脚本側としても安心してお任せといった感じ。
……それにしてもなぜ、ガジャ様は「シンデレーラ」をチョイスされているのか(笑)
主な敵対ネガティブの中では、もっとも嫌がらせを仕掛けてきそうと認定されたガジャ様、ここしばらく登場していない事も
「ようやく動き出したって事か……」
と勢いでうまくフォロー(笑)
だが石はガジャ様の事を知らず、その要求に応え、黒いのと光ってるの、無表情でフラダンスを披露。その横でノリノリで波の音を表現する不滅の牙……あなたそれ、お気に入りの隠し芸だな!!
続いてリュウオ−ン陛下に嫌疑がかけられ、各キャラ(組織)それぞれ、長めの回想シーンなのも良し。
ボウケンジャーの事も、凄く嫌ってるよね」
そうだね、敵が多いね!
石の出した「名前3文字の男」というヒントから、今度はヤイバ先輩に疑惑の目が向けられ、ダークシャドウはめでたく、「金銭的利益を第一に考える」と断定されました。なおヤイバ先輩が敢行しそうな嫌がらせは、メンバー各自の恥ずかしい過去を黒歴史アルバムにまとめて送りつけてくるとかそういう方向だと思うのですが、劇中でもなんだかそれっぽくない、という結論に。
真墨と映士が石の小爆発で煤だらけになるなど小さな犠牲はあったものの、蒼太がようやく爆発阻止の方法を見つけだし、ズバーン、まさかの買い出しに(笑) デザインと戦闘力を除くともはや緩い着ぐるみであるズバーンの帰還を待つ間、メンバーは時間稼ぎに石の機嫌を取る事になり、そこにタイミング良く、各種コスプレグッズを持って現れる牧野先生。
「プレシャスは絶対爆発させない。捨て身で行くぞ!」
女性陣は真っ赤なウェイトレス風、男性陣は真墨渾身の和服女装に始まって多彩なコスプレから次々と隠し芸を披露し、クオリティはともかく怒濤の勢いで押し切ろうとする間に、クエスターというか闇とセロリの力が溢れていた頃の映士回想。そしてズバーンが特売セールの荒波に飛び込んで塩を確保している頃、冒険男衆は石から駄目出しを受けていた。
「あかん! コケ方っちゅうもんを知らんか?! こうやこう! 石だけに……すとーん。……あ」
捨て身のギャグの手本を見せた石、床を転がって壁にぶつかった拍子に、赤く点滅開始。
「入ってもうた……爆発スイッチ」
このプレシャスを作ったのは誰で、何が目的だったのか問い質したい(笑)
爆発までのリミットは3分……1人で基地に残ってズバーンを待つ、と雄々しく宣言する不滅の牙だが、固い絆で結ばれた仲間達はそれを許さない。
「なに言ってるんですかチーフ!」
牧野「実は……」
「菜月達も残るに決まってるじゃん!」
から、もう無いのではと思われたボウケンジャーの回想シーンが入り、主に内輪の揉め事(笑)
「でも、いつも最後は、力を合わせて、乗り越えてきたじゃないですか!」
なんとなくオチが見えてきた中、6人はかつてなく絆ゲージが上昇させ、白熱してしまう。
「宝を、自分だけの宝を見つける為に集まった俺様たちだけど」
「でもそれは、この6人が一緒だからこそ、やれる事なんです」
「チーフだって、わかってるでしょ」
「一人でいい格好するなよ!」
「明石!」
「おまえ達……」
メタルバンドコスプレで、網目シャツと鋲付きベストのチーフは石を座布団の上で戻し、その上で手を重ねる6人という定番シーンがそれぞれ変なコスチューム姿というのが実に酷い絵で、坂本監督のブレーキもどこかへ飛んで消えていってしまいました。『ボウケンジャー』のいったい何が、スタッフをここまで駆り立てるのか(笑)
それにしても映士の腕が太い。
「あのー……盛り上がっているところナンですけど、あと30秒よ」
絆だけではどうにもならないカウントダウンが鳴り響き、またもギャグの力で壊滅寸前に陥るボウケンジャーだったが、間一髪ズバーンが飛び込んできてメンバーはありたっけのエーゲ海の塩を石に振りかけ、なんとか爆発の阻止に成功。
……すると天井から降りてくる「祝・ミッション完了!!」の垂れ幕。
「ま、ちょっと予定狂ったけど、これも成功の一つやろ。な、牧野先生」
塩を吹き飛ばした石は牧野に明るく話しかけ、途中から何やら挙動不審だった牧野先生は、真相を告白。
「す、すいません。これ、訓練だったんです」
「訓練? ……3文字の名前って……」
「「ま」」
「「き!」」
「「のー?!」」
人によっては「そういう事だ」で一切悪びれずに流してしまう展開ですが、真面目に謝るのが牧野先生は根が善人に見えるところです。大阪支部から送られてきたプレシャスを用いて、非常事態対応訓練を行う、という線引きの基準値は、だいぶサージェスに染まってしまっていますが。
「じゃあゆっくりと……アタック!」
手に手にハリセンとピコピコハンマーを装備した皆は石をしばき、ついでに映士も何発かはたかれ、ボイスと牧野先生がコスプレで謝罪して、危機を乗り越えてどさくさでコミュレベルの上昇した冒険者たちは朗らかにオチ……ではなく、その頃、クエスターガイとガジャ様が秘密会談を行っていた。
「確かなのかその話は」
と何やら協定が結ばれたところで、つづく。
メンバーの登場シーンをサロン内部のみに限定した総集編でしたが、新規撮影部分も多く、たるみのない内容でした。回想を悪の組織中心にまとめながらも、各ロボットやアクションシーンは一通り収めたのも、ぬかりなし。
そして今回の騒動は全て録画されていて、サージェス上層部の新年祝賀パーティにおける余興として大スクリーンで公開されるのだろうなぁ……。
牧野先生には牧野先生で、「君、これ(プロメテウスの石)使って、あいつらの面白ビデオ作っといて」という、辛く苦しい非情のミッションが指示されていたのでしょう。
暗黒! なんという、サージェス暗黒!!
と、年末に決定打が出たところで、次回――映士、白熱。割と困った感じだったのでは疑惑の募る映士父は、果たして色々大丈夫な人だったのか、今、真実が明らかに?!