前から気になってはいたのですが、いいきっかけだからと、『夏草の賦』(司馬遼太郎の長曾我部元親もの)を読みました。
実は腰を据えて司馬遼を読むのは10年ぶりぐらいな気がします。なにしろ極から極へ走る傾向があるので、ホントに一時期、海外SFオンリーの読書生活を送っていたりしたので。
そんなわけで久々に読んでみると、今更言う事でも無いですが、改めて巧い、巧いなぁ。抜群の読みやすさと、虚実を混ぜ合わせるバランスの巧みさ。歴史小説の読み方を忘れている時に読むと、危険でさえあります(笑) 一から十まで信じそうになりますよ。
内容の方は、ぼちぼち楽しめました。地方(四国)の覇者とはいえ、いずれ中央に君臨する羽柴秀吉に惨敗する結果が待っている以上、あまりヒーローヒーローにも書けず、とはいえ一廉の豪傑ではあるし主人公としてそれなりに良く書くべき所もあり……と、くしくも作中の元親同様に、“辺境の英雄”という立場の持つ強さと弱さというのが同時性を持って描かれているので、上がったと思えば下がり、と思えば上がり、というような所が物語としてはやや感情移入しにくい所。
構造的にも、元親の業績というよりも、そこから逆算して導き出した人物像を描く、といった方に重点が置かれており、そのため故意にとは思いますが、話にあまり派手な所がありません。劇的に書いていないというか、イベントは起こるけどクライマックスは無い、というような感じ。勿論、話の中での山谷はありますが、最後の、信親戦死、のあたりを除いては、総じて抑え気味。
それでも十分に読ませるのだからさすが、というのも改めて。
……で、我ながら本当に安直だと思うのですが、『信長の野望』やりたなくなってきてしまいましたよ!(笑) シリーズ離れて久しいので、もうどれを触るのが良い選択なのかさえわかりませんが。最後にやったのは多分、『武将風雲録』。

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