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『炎神戦隊ゴーオンジャー』感想4

◆GP−07「相棒アミーゴ」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:會川昇
今更ながらOPのキャスト紹介で、名前の所にそれぞれのキャッチが付いている事に気付きました。

SPEED KING:暴走野郎
CYCLOPEDIA:蘊蓄男
SWEET ANGEL:夢見がち
VAGABOND:遊び人
CHASER:ストーカー

という感じでしょうか(おぃ)
……なんか一気に凄く駄目な感じに!
背後に出ている(隠れて読めない)英字は、名乗りの台詞かな?
地下を走る、二つの蛮鬼獣の反応を追うゴーオンジャー。ぎんじろうの中では、ガンパードから軍平に、先週の駄目出し。すっかり馴染んでいる自由人コンビ(範人×バルカ)に対し、お互いの主張が強い黒と黒車の息は今ひとつ合わない。前途多難な雰囲気の中、ゴーオンジャーの前で、錆びて崩れ去る東京タワー。
物凄いランドマークを破壊してしまいましたが、どう見ても東京タワー(^^;
そこで蛮鬼獣の反応が二つに分かれ、赤・青・黄と黒・緑の2チームでそれぞれ追う事に。暴走チームの前に現れたのはボンベバンキ。そしてストーカーチームの前には、巨大な車が姿を見せる。それは炎神の中でも伝説の存在であり、巨大で力の強い希少なジャイアン族の炎神・キャリゲーター。
津久井教生+ワニ! は完全にネタか(笑) (※かつて『爆竜戦隊アバレンジャー』で、ヤツデンワニという、凄まじく濃いセミレギュラーを演じていた)
実はキャリゲーターはガイアークを追って独自にヒューマンワールドへやってきたのだが、普段接触のない種族だった為、炎神達もその存在に戸惑ってしまう。ケガレシアはこの混乱状況を利用し、ガイアークとジャイアン族が手を組んだという偽情報を流し、まんまと騙されたゴーオンジャーは、キャリゲーターと戦う事に。
緑と黒はバルカとガンパードを巨大化して立ち向かうが、キャリゲーターの圧倒的なパワーの前に全く歯が立たず。一方、暴走組はボンベバンキを撃破するが、それもケガレシアの策略であった。産業革命したボンベは逃げ出すと見せかけて、突撃してきた炎神王にアカサビームを噴射。全身が錆びてしまった炎神王は合体を保つ事ができなくり、分離した上に、錆び付いたキャストの姿に戻ってしまう。優位に立ったボンベは、ジャイアン族とガイアークが手を組む筈が無い、とネタばらし。
慌てて和平交渉を試みる黒と緑だったが、
「先に手を出してきたのは、お主らであろう」
正論過ぎて、ぐうの音も出ません。
ついさっきまで本気で殴りかかってきておいて、「誤解でした、仲良くしようよ☆」とか言われても、そんな簡単に腹の虫が治まるわけはありません。
「そも、炎神の誇りはどうした」
体内にちっぽけなヒューマンを乗せていなければ戦えないなど、熱いソウルが足りないのだ、とキャリゲーターは黒と緑の説得を無視して二台を蹴散らすと、なおも立ちはだかる黒車をその巨大なアギトに捉える。このままでは噛み砕かれる……とガンパードは軍平に脱出を促すが、軍平はそれを拒否して、メットを外す。
「ふざけんな、逃げてたまるか」
「逃げろ! こいつは本気で、俺たちを潰すつもりだ」
「おまえのハンドルを握っているのは俺だ」
「俺の言うことを聞けってんだ!」
「潰されんなら一緒だ! ……俺たちは、相棒だろうが」
ここで、熱い所を見せる軍平。
冒頭の口げんかの際の「ハンドルを握っているのは俺だ」という、どちらかといえば主導権争いの台詞がここで、一蓮托生のメッセージになる、というのはお見事。
偉そうで我が強くて鼻持ちならないストーカーの、いいタイミングでのフォローにもなりました。
軍平の覚悟に範人&バルカも立ち直り、かなわないまでも必死に、ガンパードを解放させようとキャリゲーターに体当たりを繰り返す。軍平の言葉、バルカ達の行為に、人と炎神の未知なる繋がりを感じるキャリゲーター。
「こやつらのソウルが……激しく燃えさかっている。なんでござる、この熱さは? 拙者のソウルよりも、熱い熱い。この熱さ、信じてみるか。人間、拙者も相棒とやらが、欲しくなったでござる」
キャリゲーターはガンパードを解放し、ヒューマンの相棒を認めると、二台を屋根に乗せて発進。
一方、暴走組は変身も解除されて巨大ボンベに追い詰められていたが、そこでやってくるキャリゲーター、バルカ、ガンパード! 3体はガイアークの飛行部隊を蹴散らすと、「今こそ一つになる時ぞ」と、炎神合体。全ての炎神を繋ぎ合わせる事が出来る伝説のジャイアン族の力を中心に、5つの心が一つになって、今ここにブラボーな巨人が誕生する。
ガンバルオー、チューンナップ、ゴーオン!」
か、格好悪いな……(笑)
ボンベバンキは炎神王を錆びさせたのと同じ逃げる振り戦法を使うが、頑張王はこれを見事に回避。必殺「頑張王頑張グランプリ」によってボンベを粉砕する。
……や、炎神王と違って、どう考えても「ガンバルオー」ですが、某元気爆発っぽいし、「頑張王」の方が面白いので、頑張王で(おぃ)
こうしてゴーオンジャーに6体目の炎神と新たな巨大ロボが加わるが、錆びてしまった3体の運命や如何に?
素晴らしく格好悪い頑張王ですが、「全ての炎神を繋ぎ合わせる事が出来る」という台詞からすると、更なる変則合体、そして六身合体を踏まえたデザインでしょうか。というか、そうだと信じたい。
一通りの要素を揃えつつ、ここまでマイナスの多かった黒話で、改めて人間と炎神の絆を描く、というシリーズとしての構成が秀逸。同じ、非人間の相棒キャラを声優で立てて戦隊メンバーと組み合わせる、という構造だった『爆竜戦隊アバレンジャー』(2003)の失敗をよく踏まえています。
この辺りは東映全体として『仮面ライダー電王』(2007)の成功体験を踏まえている、という要素もあるのかと思いますが、『ガオレンジャー』(2001)の路線を継承し、パワーアニマル的存在の個性化を目指した結果、爆竜を前に出すか人間を前に出すかで迷いが見えて中途半端になってしまった上に、メイン爆竜の個性を強調する前に次々と爆竜を追加してしまい、人も爆竜も深められないまま進んでしまったのが『アバレンジャー』。
これに対し今作は、最初から炎神をメンバーと等価のキャラクターとしてある意味割り切って扱い、メンバーと炎神を一対一の関係にして、「相棒」という要素をより前面に押し出し、早い内にお互いの関係を――それを理解しない存在が理解するというプロセスを通して――再確認する、というエピソードを持ってくる事で、うまくまとまりました。
この辺りは技術的進歩で、以前よりCGやミニチュアと絡む芝居がしやすくなっている、という部分もあるのかもしれませんが。
ちなみに今回、ワニ+津久井教生が出てきましたが、緑色の相棒がアミーゴキャラというのも『アバレン』と重なっており、恐らくセルフオマージュ的なものというか、踏まえるに当たって、意図的に重ねたのかな、とは思えます。
會川昇はわけあって一時期苦手にしていたのですが、サブで入ると、実に安定感高い。


◆GP−08「最高ノキセキ」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:會川昇
巨大な蛮鬼獣が街を襲撃し、それを見つめる、自動車整備会社の社長・冨士東次郎。
「サーキットが襲われてから、妙なことばっかり起きやがる……」
彼はかつて走輔が所属していたレーシングチームの監督でもあった。
「走輔、おめぇ、本当に死んじまったのか……」
あの爆発以来、行方不明になった走輔を案じている社長だったが、その時、蛮鬼獣と戦う為に目の前を走輔達が走り抜けていく。
「……走輔? て、え、えええーーー?!」
……お世話になっていたレーシングチームの監督が生存を知らない、って、もしかして初期メンバー3人は社会的に死亡しているのでしょうか。
や、戦いに忙しくてヒーローに酔っていてどこか抜けている走輔が連絡してないだけで、他の二人はしっかりと身内と身近な人に連絡している気はしますが。
気をつけないと、いつの間にか葬式出されて、戸籍とか失うぞ!
ただでさえ、住所不定系ヒーローなんだし。
まあ最悪、ボンパーさんが悪魔科学で戸籍の一つや二つぐらいは捏造してくれそうですが。
巨大蛮鬼獣・ボーリングバンキに立ち向かおうとするゴーオンジャーだが、キャリゲーターは充電中で出撃不能。3体の錆びたキャストを取り出すが、なんとソウルを入れても巨大化しない。困惑する5人の前でなぜか頭を地面につけて眠り始めるボーリングバンキだったが、そこにガイアーク3大臣が姿を見せる。
ケガレシアには一度会っていますが、ヨゴシュタイン、キタネイダス、とは初お目見え。
3大臣は宣戦布告と共に、5人と直接対決。幹部の力を見せつけ、5人を圧倒。ゴーオンジャーはダブル必殺武器を放つが、三大臣バリアで防がれ、三大臣合体光線で吹き飛ばされて、撤退。ここに初の、正面からの完全敗北に見舞われるのであった。
比較的コミカルに描かれていた3大臣ですが、意外や真っ当に強かった!
特にキタネイダス、あの着ぐるみであんなに動けるとは。
ガイアークはヒューマンワールド征服のプロセスとして、一種のテラフォーミングが必要でありそれを目的としているので、幹部があまり前線に押し出してこなかったのですが、戦闘も出来る所を見せました。……まあそれでも、炎神が本気出したらやられるというか、その敗戦もあるので、正面攻撃しないで間接的な戦略を展開しているのでしょうが。
そういえば三大臣はジャンル分けで同格っぽいのですが、ガイアークのボスは別に存在しているのか、それともマシンワールドで既にお亡くなりになっているのか、この辺りは謎。基本的にこの人達、敗残者だと思うと、改めてヒューマンワールドにとっていい迷惑です。
このままでは蛮鬼獣を止める事ができない……悩むゴーオンジャーだったが、蘊蓄が、炎神キャストの丁寧な錆取りを思いつく。ボンベバンキの錆は炎神にとっては一種の病気のようなもので、丁寧にケアする事で治療可能なのだ。しかし、細かい作業が苦手な走輔はスピードルを乱暴に磨き、拭いた側から錆が再発してしまう。
イライラした挙げ句、瞼を強引に広げて涙を流そうとする暴走王子。こぼれた涙で映画のように奇跡的に治るのでは? と奇天烈な譫言を口にしてスピードルに涙の滴をこぼすが、勿論治るわけはなく、皆の反応も氷点下に。
千歩譲っても、このメンバーで涙で癒やせそうなのは、そこのスイーツ天使ぐらいかと思われます。その天使も、凄い冷たい反応ですが!
暴走王子がレーサー時代に、何かにつけて「奇跡」「奇跡」と口にする事から、「奇跡の江角」と呼ばれていた事を思い出す、連と早輝。
ヒーローに酔っている節のあった走輔ですが、もともとヒーロー願望、ミラクル願望の強い男であった事が判明。
「スピードル、俺たちはヒーローなんだ。キセキぐらい起こせるよな? な?」
「走輔……奇跡は、もう、起きない……」
なぜか、叫んで走り去る走輔。
「俺だけでもキセキを起こしてやる。俺だけで、ガイアークの奴等を倒してやる」
脳細胞が沸騰して蛮鬼獣に単独で突貫しようとする走輔だったが、その姿を見た社長に声をかけられ、命拾い。
「おまえ……あの練習走行の日、死んじまったんじゃなかったんだな」
「キセキが、起きたんですよ」
「奇跡?」
「はい。俺、信じてもらえないかもですけど、ヒーローに選ばれたんです。俺は、キセキを起こす男なんです。街も、俺が守ります!」
「変わんねぇな、おめえも」
レーサー時代から、やれ奇跡のコーナリングだ、やれ奇跡の追い上げだ、と無茶な走りを繰り返していた走輔……その結果、奇跡的に3位入賞したじゃないですか、と主張する走輔に対し、
「いや、あれは、奇跡なんかじゃないぞ」
「……え?」
3位入賞は、走輔の走りをサポートするチームのスタッフやメカニックの、地道な働きがあってこそのもの。それは一人のヒーローが起こした奇跡ではなく、様々な人々の努力の結果に過ぎない、と諭す社長。
「ヒーローと云ったって、一人じゃねえんだろ?」
「……スピードル!」
仲間、そして掛け替えのない相棒が居て初めて、自分はゴーオンジャーとして戦える事に改めて気付いた走輔はスピードルの元へと駆け戻るが、スピードルもまた、ぼろぼろの体で走輔の元へと必死に向かっていた。
「なにやってんだスピードル! ……その体で」
道路を横断中に、哀れタイヤの下敷きになりかけたスピードルを救う走輔。
「おまえを追っかけてきたに決まってるだろ、相棒」
「……その為に、あんな危ない真似を? ……俺、わかったよ、スピードル。俺はもう、奇跡なんかに頼らない。おまえの言うとおり、奇跡なんて起きないんだ。だから……」
「違う、走輔。キセキは起きるさ。でも、最高のキセキは、とっくに起きたんだ、そうだろう?」
「とっくに? 最高の、奇跡?」
「俺とおまえが出会って、相棒になった。それが最高のキセキだ。それ以上は、ないぜ」
ヒーローが自分の立場を見つめ直して地道な努力の必要性を学びつつ、ヒーロー物として奇跡を否定しない、というのはいいバランス。わかりやすい赤同士ゆえに後回しになっていた走輔とスピードルの関係も、うまく収まりました。
一方、蛮鬼獣の威力偵察に向かった黒と緑は、眠っているように見えるボーリングバンキが、実は地底を掘り進んでいる事を知る。地球奥深くのマグマ層を掘り当て地表に噴出させる事で、大地・大気・水の全てを一気に汚染する事こそが、ガイアークの計画だったのだ。このままにはしておけない、と夜襲を敢行する黒と緑だったが、その前にガイアーク雑魚と三大臣が立ちはだかる……。
走輔が監督の会社で懸命にスピードルを磨く中、シーンの都合により夜通しいたぶられる黒と緑。夜が明けて、二人にトドメが迫る時、青と黄が駆けつける。
「錆落としが終わったからね。無茶な仲間を助けに来た」
だが、まだ走輔の姿は見えない。
というかよく考えると、喧嘩して家を飛び出してそのまんま、みたいな状態(笑) おまけにスピードルも行方不明。だが……
「あいつは戻ってくる! すぐに」
「そうっすね」
「そうだね」
「うん。僕も信じるよ」
ここで走輔と最も角突き合わせてきた軍平が真っ先に走輔を信じる言葉を口にする事で、人間同士の絆もフォロー。
4人は時間稼ぎをはかり、黒と緑は充電途中のキャリゲーターを召喚して、頑張王を起動。穴掘りを一時中断したボーリングバンキとの戦闘に突入するが、エネルギーが充分でない所にマグマ攻撃を受けて、大苦戦に陥る。一方、三大臣の足止めをはかる青と黄も追い詰められ、変身解除。
赤の成長話ではあるのですが、最初から真面目に磨かなかったために、仲間、えらいピンチに(^^;
「本日よりガイアーク元年なりぃ!」
だがヨゴシュタインが歓喜の咆吼をあげたその時、真打ち登場、スピードキングが駆けつける!
「マッハ全開で飛んできたぜ」
スピードルを磨き上げた走輔はゴーオンレッドに変身し、青と黄とともに、いきなりハイウェイバスター。ソウル装填3連発により三大臣バリアを突き破ると、三大臣(バリア破れたけどダメージはほぼ0)を無視して、炎神王に合体。
「だいじょぶか、頑張王」
「待ってたぜ、炎神王」
「へへっ、じゃあ行くぜ」
ここで流れ出す主題歌。
今、5人のヒューマンと6体の炎神の心が一つに重なる!


「勇気満タン、ハイウェイスター! 炎神スピードルだぜ!」
「マッハ全開! ゴーオンレッド!」

「粋でいなせな安全運転、炎神バスオンでぃ!」
「ズバリ正解! ゴーオンブルー!」

「愛嬌と度胸のタフガール、炎神ベアールVや!」
「スマイル満開! ゴーオンイエロー!」

「きままなドリーマー! 炎神バルカだよ〜」
「ドキドキ愉快! ゴーオングリーン!」

「ハードな緊急出動、炎神ガンパードだ!」
ダッシュ豪快! ゴーオンブラック!」

ジャイアントな千両役者、拙者炎神キャリゲーター〜」

「正義のロードを突き進む!」
「「「「「「炎神戦隊、ゴー・オンジャー!」」」」」

そしてロボットは、可動域の限界に挑戦する!(笑)
人と炎神と、合わせて戦隊という本作のコンセプトを、これ以上なく綺麗に描き出した名シーン。
というか現時点で、最終盤のハードルが物凄く上がった(笑)
揃い踏みした二体の巨大ロボは、ダブル必殺技でボーリングバンキを瞬殺。
ここにガイアークのマグマ大作戦は失敗に終わるのであった。
「それでもなんだかんだ……キセキってやつは、起きるもんなんだなぁ、走輔」
二体の勇姿を見上げる社長の台詞で、締め。
社長役は、真夏竜ウルトラマンレオ!)。あーなんか、モーターチームの監督に居そう! という好キャストとなりました。
7話に続き、人間と炎神の絆を描いて今作のテーマとコンセプトを強く押し出した、良エピソード。ヒーローに酔っ払い気味だった赤が、自分の居場所を見つめ直す、という物語もうまく入りました。非常に滑り出し順調な今作ですが、そろそろスポットを当ててほしい、というキャラに焦点が合うタイミングが良く、見ていて気持ちが良い。ここまで非常に構成が綺麗にまとまっており、今後も順調な進行を期待したいです。