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『炎神戦隊ゴーオンジャー』感想10

◆GP−17「正義ノツバサ」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:武上純希
前回ラストにちらりと姿を見せた金と銀は、お金持ちそうな兄妹であった。一方、ゴーオンジャーの食生活は遂に、配給に並ぶ感じに。
ゴーオンゴールド&シルバー本格登場編ですが、脚本・演出ともに今ひとつで、微妙な出来。
害地目一の暴れん坊、全身爆薬のハッパバンキが街を襲撃。迎撃に出るゴーオンジャーだが、先制の爆弾攻撃で大ダメージを負ってしまう。
ハッパバンキは、膝に点火装置のレバーがついていて、爆弾を投げた後、わざわざしゃがんで自ら押す、というデザインとギミックが非常に秀逸。
ピンチに陥るゴーオンジャーの前に現れる、金持ち兄妹。
「貴様の相手は俺たちが代わってやる」
「「レッツ・ゴーオン!」」
ウイング族の炎神、トリプターとジェットラスのソウルを用い、二人は新たな戦士へと変身する!

「ブレイク限界・ゴーオンゴールド」
「キラキラ世界・ゴーオンシルバー」
「「テイクオフ・ゴーオンウイングス!」」

シルバーの名乗りが凄い(笑)
ゴーオンジャーの黄色と緑も大概でしたが、「ドキドキ愉快」を超えました(笑)
戦闘スタイルは、金がボクシングで、銀は中国拳法?(太極拳?) ゴーオンジャー5人がアマチュアで大雑把なのに対し、ハッキリと格闘技系にして、色分け。更に専用武器のロケットダガーを振るう二人は蛮鬼獣とウガッツを軽く蹴散らし、強さを見せつける。
「今のような戦い方じゃ、いつか痛い目を見るぞ」
金と銀の須塔兄妹、彼等がゴーオンウイングスとなったのは、走輔達がボンパーさんと契約するよりも以前であった。まだガイアークがマシンワールドに攻勢をかけている頃、ウイング族に追われたヒラメキメデスはトリプターとジェットラスをヒューマンワールドに誘い込み、二体はソウルとキャストが分離して行動不能になってしまう。その時に、二体の声を聞きつけてソウルとキャストを拾ったのが、飛び抜けた第六感を持つ兄妹であった。
兄妹は二体の頼みに応えてマシンワールドで訓練を受けてゴーオンウイングスとなり、ゴーオンジャーとは別に、ヒラメキメデスを追う相棒として戦っていたのである。
……時系列的には、マシンワールドで修行してヒューマンワールドに帰ってきたら、何故かそこにガイアークが居た、という感じでしょうか? ウイング族はスピードル達が存在を知らなかったぐらいなので、たぶんTVも電話もインターネット回線も無い物凄い山奥で修行していた為、都会でガイアークが撃退された事に気付いていなかった疑惑。或いは、ヒラメキメデスを追ってあちこちのワールドを飛び回っている内に地元で事態が変わっていたぐらいのタイミングか。
不思議な第六感を持つ須藤兄妹は邪悪の意思の不穏な気配を感じ、次のガイアークの攻撃では出撃しないように、と5人に忠告するが、クロガネ山に出現したガイアーク反応に登山者が襲われていると聞き、5人はあえて警告を無視して突撃、だがそこに待ち受けていたのは地雷原の罠、そしてヨゴシュタイン、ヒラメキメデス、ハッパバンキの3体であった!
「今日でゴーオンジャーとの戦いもおしまいにするナリ」
名乗りとポーズを決める3体……今回、全体的にテンポが悪いので、この手のネタを入れられても、いまいち好意的に受け止められず(^^;
「「「害地目の面目に賭けて、おまえたちを葬り去る」」」
ゴーオンジャーはスーパーハイウェイバスターを放つが害地合体技で破られてしまい、ヒラメキメデスの放つ円周率の鎖で動きを封じられてしまう。
単純に正面から力負けするゴーオンジャーだが、ヒラメキメデスの気配を感じた須藤兄妹が、「奴が居るなら、行くしかないか」と出撃。
金と銀の武器であるロケットダガーは、1〜3のスイッチを入れると、番号に合わせて技が発動。
今回使用したのは、
ミッション1:バーニングダガー
ミッション2:フリージングダガー
ミッション4(1+3):シャイニングダガー
単純に3つではなく、組み合わせでも使える、というのは面白い。
金と銀は閃きさんの直角二等辺三角形切りを破り、ヨゴシュタインと閃きさんはハッパを捨て駒にして逃亡。文句一つ言わずに死地にとどまるハッパ、忠義の臣。
にしても結局、害地目は害地目だけに、対空:×という事なのか。傍観していないで、キタネイダス(害気目)が前線に出た方が良いのではないのか。
立ちふさがるハッパに対し、金と銀はロケットダガーのミッション6(1+2+3):フルパワーを発動。
飛んだ(笑)
これは面白かった。
二人は「「ジェットダガー!」」でハッパを切り刻み、最後はソウルを入れた飛び道具で撃破。産業革命しようとしたハッパだったが、戦闘中にゴールドが体内のビッグリウムエナジーを抜き取っており、革命失敗して爆死。
鮮やかな金と銀の強さを見せつけられ、無事だった登山者達にお礼を言われるも、かえってへこむ5人。
「もう一回、全てをリセットして、考え直すんだな」
「おめえら、覚えてろよー」
去って行く金と銀に、超捨て台詞を投げる哀れな走輔であった。
金と銀の強さのインパクトを出す為とはいえ、ゴーオンジャーが特に罠にはまったわけでもないのに正面から力負けする展開になった為、結果的に須藤兄妹の警告が「危ないから助けに行くな」というだけになってしまったのは、ヒーローとして問題。この場合、「登山者は俺たちが助ける」とならなければいけません。
「登山者が襲われている」という情報→走輔、啖呵を切る→カット変わると走輔の台詞は聞かずに歩み去っている兄妹、なので、登山者が襲われているという情報は耳にしていない、という解釈も成り立たない事はないですが、この流れだと聞こえていると捉える方が自然で、そこを微妙にしてしまった演出も悪い。
襲われている登山者自体がガイアークの擬装だった、というのなら、苦戦展開もすんなりで須藤兄妹の警告も前向きに成り立ったのですが、この展開だと金と銀のヒーロー性すら揺らいでしまうわけで、この一点だけでも駄目シナリオ。
今回のゴーオンゼミナールは、お便りコーナーに。
「どうすれば僕も、ゴーオンジャーになれるんですか?」
「難しい問題だねぇ、ぼんぼん」
ズバリ、悪魔との契約っス!
なお回答は、「炎神が認めてくれたからなれるんだ」「もしかしたら君の事も炎神が見てるかも」「だから日頃の行いが大切だよ」と美しい子供向けヒーロー番組の姿に、ちょっと感動してしまいました(笑) これまでゼミナールほとんど見ないで飛ばしていたのですけど(最初見ていたけど回答がざっくばらんすぎて(笑))、これはこれで面白いコーナーだったかもしれない。


◆GP−18「庶民ヒーロー」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:武上純希
「ダメだなー。なんであんなにダメなのかな? あんだけダメだと、逆になんでかって、興味わいてきちゃうんだけど」
ゴーオンジャーのダメっぷりを気にする須塔妹・美羽、ぎんじろうに現る。
「衣食足りて、礼節を知る、ていうじゃない。住むとこ、着るもの、食べる……(買い出しの中身を見て、これは食べ物なのかしら? と躊躇う)……もの。全部がちゃーんとしてなきゃ、ゴーオンジャーみたいにダメになる、て格言」
「「「「「はぁ?」」」」」
貧乏戦士達、生活に駄目出しを受ける。
兄は意図的にイヤミだけど、妹は天然の毒性か(笑)
まあ実際問題、生活環境が悪いと仕事で力を出し切れない、というのは否定できません。
「また悪い癖が出たか」
妹の姿が見えない事に、ぼそっと呟く須塔兄・大翔。
一方、ガイアークではキタネイダスが、新たな強敵となったゴーオンウイングスを始末するべくその日常生活の隙を狙おうと、バキュームバンキを出撃させていた……。
新顔二人追加でOPマイナーチェンジ。全体的にキラキラ派手に。
兄妹のキャッチコピーはそれぞれ、

須塔大翔(ひろと):PHILOSOPHER
須藤美羽:LOVELY SENSATION

なぜ兄ぃ、哲学者。
ランニング中に掃除機に襲われる兄ぃだったが、手近の看板を引っこ抜いて投げつけ撃退。
「ただの馬鹿だったか」
無視して走り去る(笑)
一方妹は、豪華バイキングでまずは餌付けをしていた。
続けてゴールドカードで服をまとめ買い。これであっさりと懐柔される早輝。
家の描写でなんとなく金持ちっぽく見せていた須藤兄妹ですが、本格的にお金持ちである事がハッキリしました。そしてその対比として、当初は何となくだったと思うのですが、ネタ的に面白がっている内に、ゴーオンジャー5人の貧乏生活が確定。
いつも同じ服なのはお金が無いから! というのは新解釈か?(笑)
「ヒーローの価値は、くいもんとか、服装とか、そんなんじゃねえんだよ。ここだ」
自分達をダメだと断じ、上から価値観を押しつけてくる美羽に対し、ハートを示す走輔。
「ヒーローは、人を幸せにする使命がある。人を幸せにするなら、自分も幸せの何たるかを知らねば」
それに対して美羽は、大翔がいつも言っているという言葉を返す。
さらっと入ってますが、ちょっと面白いヒーロー論。
そんな大翔をチキン野郎呼ばわりする走輔を、まずは思想改造するべしと定めた美羽は強引に走輔を連れて服の買い物へ。範人はバイトと言って逃げ出し、残された連と軍平はすっかり懐柔された早輝の荷物持ちとしてぎんじろうへのお供つかまつる事となる。
一方大翔は、トレーニング中に再襲撃してきた掃除機をざっくり蹴散らしていた。ぎんじろうへの帰途、その光景を目にした3人は、美羽が自分達のところへ来ていた事を告げる。
「美羽? やっぱり、そんな事か。あいつの、悪い癖だ」
「悪い、癖?」
「ああ、野良犬とか見ると、放っておけないらしい」
野良犬、拾われた!
前回と打って変わって、今回はテンポも良く、台詞も面白い。
「兄貴も兄貴なら、妹も妹、とんでもないぜ」
野良犬扱いに兄ぃに絡む3人だが、妹は好奇心旺盛なんだ、と軽く流す兄ぃ。
「ダメな奴がなぜ、そこまでダメなのか。確かめずにはいられないらしい」
「なんだと?! おまえたち兄妹は、だいたい失礼だ!」
怒りをぶつける軍平だったが、兄ぃは突然の嫌な予感に、妹の元へと走り出す。
その頃、はからずもデート状態の二人も、馬が合う……筈がなかった。
「どーしてそう、単純なリアクションしちゃうかな?」
「熱くて悪かったな。あーばよ。ばいばい!」
喧嘩別れして一人になった美羽に迫る掃除機。軽くあしらうかと思われた美羽だが、掃除機の土下座に油断した所を、変身アイテムを奪われて捕まってしまう。美羽の悲鳴に駆けつけた走輔だが掃除機は金色への伝言を残して逃げ、そこへ遅れてやってくる兄ぃ。
「ふん、立派なメッセンジャーボーイだな」
「俺も行くぜ!」
「断る! これは俺たち兄妹の問題だ」
「だけどな!」
「おまえなど来ても、意味が無い」
変身した兄ぃはフルパワーで呼び出しの場所へと飛んでいき、その後を走って追いかける走輔。囚われの妹を前に変身を解除し、変身アイテムを渡すように迫られる兄ぃだったが、そこへ走輔が走り込んでくる。
「俺のゴーフォンじゃ、駄目か! 俺が身代わりになる」
変身アイテムを奪われた走輔は踏まれて蹴られるも、「俺を身代わりにしろ!」と蛮鬼獣に抱きつき、その隙にゴールドが妹を助け出して形勢逆転。
「俺のもんは、自力で取り返すぜ!」
走輔、ダッシュして、蛮鬼獣を石で殴打(笑)
ゴミ袋から強引に変身アイテムを取り返すと美羽にも投げ渡し、二人揃って変身に主題歌、と、一気に距離が縮まりました。ミッション3:ライトニングダガーと、サーベルストレートで追い込むと、最後は金銀赤の一斉射撃で掃除機を撃破。産業革命した所に頑張王がやってきて、炎神王も合体。
後はトドメを刺すばかり、と必殺技を放とうとするが、掃除機に吸われてしまうゴーオンソード。ガンパードの弾丸も吸われてしまい二大ロボが思わぬピンチになるが、ウイング族が巨大化。援護攻撃を決めると、炎神王の両腕に炎神武装で合体、ここに勢いで、炎神王ジェットリプターが誕生する!
弓矢攻撃・ジェットリブルズアイが炸裂し、掃除機は大爆発。こうしてゴーオンジャーとゴーオンウイングスのコンビネーションが成立した……かに思われたが……
「炎神王と頑張王があっても……相変わらずの弱さだ。やっぱりまだまだだな」
「てめえ! おめえらには、ぜってぇ負けねえ」
「せいぜい粋がるんだな」
やはり無駄に仲の悪いままであった(笑)
まあ前回の解釈で考えると、マシンワールドに行って特訓してヒラメキメデスを追いかけている内に何故か地元が侵略されていて、自分達と似たような連中が戦っているけど頼りなさそう、というかどうしてあいつら、世間にバンバン顔出してヒーロー気取りなんだ? とかなると、少しイラッとするのもわからないではありません。
「兄ぃ、あの人達、確かに弱いけど、なんか熱いね」
「美羽、おまえの悪い癖も治りそうにないな」
どこまでも単細胞生物を見る目線のピカピカ兄妹と、心から共闘する日は果たして来るのか。
まあ7人が今がっちりスクラム組むと、戦力的にガイアークが危急存亡の時すぎるんですが!
次回、元祖ダメ出し男(軍平)、崖っぷち!!