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『機動刑事ジバン』感想6

◆第7話「恐怖のハクションおじさん!」◆ (監督:小西通雄 脚本:藤井邦夫)
直人の知り合いの少女・ミコが大切にしていた古い人形が、飼い犬にくわえらえて外に放り出された所をどぶ川に投げ捨てられた挙げ句に、人間社会の雑菌の集まったサンプルとして秘書ズに回収され、バイオ怪人・カゼノイドの素体となってしまう。
今回のギバ様の目的は、病原菌の塊ギバウイルスの散布実験。風邪と似たような症状で油断していると、24時間で確実に死に至る殺人ウイルスを抵抗力の弱い子供達を対象にばらまき、その成功の暁には日本中にバイオテロを決行しようという、恐るべき計画であった。
変なモチーフなのに割と格好いいカゼノイド(目に見えないモチーフだから、というか)は、素体となった人形そっくりの服装の人間体となると街に繰り出し、子供達の間にウイルスをばらまいていく……と7話にしてようやく、怪人の特徴とバイオロンの作戦が繋がりました。
それにしてもギバ様、秘書ズ人間体はタイトミニの若い女なのに、一般怪人の人間体は軒並みおっさんというのは趣味が丸出しすぎて、そのうち反乱を起こされてもフォローできません。
街で次々と子供達が倒れ、ボーイがウイルスを分析。その結果、感染者を24時間で死に至らしめるギバウイルスの特性がジバンの知る所となる。というかボーイ、何の根拠もなくいきなり「ギバウイルス」とか名付けて、バイオロンの責任にするな(笑)
ジバン一味は絶対に本編になっていない所で、
「おまえはバイオロンだな!」「え、な、なんですかバイオロンって?」「サーチバスター! …………あれ? バイオロンじゃない?」みたいな事を繰り返していると思われます。
サーチバスターは正体を見抜く為の装備というより、誤解によるデリートを防ぐ為の安全装置。
……と思うと、凄く人道に配慮している気がしてくるから不思議だジバン!
ウイルスをばらまいているとおぼしき怪しい男(カゼノイド人間体)を目撃した刑事コンビは、先輩がわざとらしいプラカードをかかげて囮になり、その後を直人が尾行するという作戦を行うが、子供の相手をしている内に先輩を見失う直人(笑) その間に今日もバイオロンに抹殺されそうになった先輩は、華麗に射撃で反撃。
タイトスカートをちょっとまくって腰を落として、スキャットをBGMに狙撃するとか、元ネタありそうですが、なんだろう(笑)
2話の時はいきなり相手の胸に弾丸撃ち込んでいたのが、靴の踵を狙ったりと、先輩の描写も少しずつ補正はしている模様。1・2話の印象が悪すぎて、受け入れられるようになるで、まだしばらく時間かかりそうですが(^^;
正体を現したカゼノイドにウイルスを吹きかけられ、先輩が始末されそうになった所で、ジバン登場。ダメージを受けて逃亡したカゼノイドは、人間の姿でたまたまミコちゃんの家(家族経営の印刷所で、外へ向けてシャッターが開いている)に転がり込んだ所、ミコちゃんの看病を受ける。
「ミコちゃんか……変だなぁ……前にもこんな事してもらったような気がする……」
それは、素体となった人形に宿っていた想いなのか。人情の温かさに触れたカゼノイドは、自らの作戦活動に躊躇を覚える。
(子供があんなに優しく、可愛いものとは知らなかった……)
だが、秘書ズに制裁を受け、ビンの中に閉じ込められる事に。
「まさにゴミね」
「そう。あんたは汚いバイ菌なのよ」
小さくして閉じ込めたカゼノイドを罵る秘書ズが、とてもいい感じ(笑) この手のポジションはだいたい、演技があまりにもだったり容姿が……だったりする事が多いですが、『ジバン』秘書ズは悪くないと思います。割と出番があるのでしっかりキャスティングしたのか、割といい感じなので出番が増えたのか、因果関係はわかりませんが。
ギバ様に消されると脅されたカゼノイドは再びウィルス散布を行うが、一度生まれた優しさが再び顔を出し、あと3時間で最初の被害者達が死ぬという現実に苦悩する。
「ミコちゃん、おじさんはどうすればいいんだ……」
悩めるカゼノイドは再び印刷所を訪れるが、そこで、その朝ウイルスの犠牲にした少年が、ミコの兄だったという事を知る。事ここに至って、たとえ自分が消え去る事になっても子供達を救おうと決意するカゼノイド。
「このままでは、俺の体は、ギバウイルスで砕け散る。ミコちゃんのお兄ちゃんや、みんなを助けるには、ジバンに倒してもらうしかない」
最初の被害者達の死亡まで、タイムリミットは後1時間……くしゃみをしないと、体内で自動的に発生していくギバウイルスにより自壊してしまうカゼノイドは、その苦しみに耐えながら、ジバンの到来を待っていた。その裏切りに激怒したギバは、カゼノイドをただの戦闘モンスターに変えようと、秘書ズを放つ。そしてカゼノイドを探すジバンは、遂にその姿を見つけ出す。
「ジバン……早く俺を倒してくれ。俺を倒して、ミコちゃんや子供達を助けてやってくれ」
対バイオロン法を読み上げるジバンに、自ら抹殺を望むカゼノイド。
「カゼノイド……」
「頼むジバン……早くしないと、俺の体は、砕け散って……」
ここでジバンがカゼノイドを探す目的が全く提示されていなかったのが、非常に惜しい所。ジバンの目的が「カゼノイドから抗体を手に入れる」なのか「カゼノイドを倒す」なのかの目的設定が先に明示されていれば、戦闘に至る流れで選択とか葛藤が生じたわけなのですが。その為、秘書ズがカゼノイドを獣に変えて戦闘になるのも、そもそもカゼノイドが撃破を望んでいた為、「抵抗がある/ない」程度の違いしかなく、惜しい、実に惜しい。
「第二条補足――場合によっては抹殺する事も許される」
拳を固めたジバンは反撃に転じ、マクシミリアンでジバンエンド。爆発の後には素体となった人形が残り、ジバンが手にすると、それも消滅。何故かその後にギバウイルスへの抗体が残り、空に浮かんだカゼノイド人間体のイメージ映像がそれを説明。その投与により子供達は無事に回復するのであった。
ここまで全く触れないので、怪人倒したらなんとなく治ってしまうパターンなのか……と思っていたら、一応「抗体」という概念はあったらしく、惜しい、ますます惜しい……。
なお子供達に紛れて先輩もパジャマ姿で復帰。先輩の立場からすると、後をつけてガードしてくれていた筈の直人がよそ見していた為に死にかけたわけですが、特に根に持っていないようなので、器だけは大きい。
「カゼノイド、おまえはなぜ、子供達を……」
ナレーション「直人は信じた。バイオロンの怪物にも、心を持つ者がいることを」
……いや、殺りにくくなるから、そこは信じない方がいいかも(笑)
物語の中心に「怪人」を据えると、敵の作戦−ドラマ−戦闘がスムーズに繋げられるので締まりやすい、という見本のようなエピソード。他人を思いやる気持ちを持ってしまい苦悩する怪人、を軸に転がす事で、7話にしてようやく、話が落ち着きました。笑いのノリは前回とまた変わったので、全体としてはまだ安定していないですが(^^;
惜しむらくは「病原菌と抗体」という、もう一つの軸に出来る要素について、全て後出しな点。その為、後半のジバンの行動に繋がりが薄く、実に惜しい。
また、怪人が心を得たのは少女が大切にしていた人形を素体にしていたから(かもしれない)、とする事で、前後の設定と矛盾を来さないようになっており、藤井邦夫らしいオカルトとメルヘンが良い方向に出ました(最後に顔が空中に浮かんで解説したのは悪い方向に出たけど(笑))。カゼノイド人間体がおままごとの家に視線を向けるけど、それ以上くどくどとは劇中で語られない、というのも良かった。
ただこの展開だと、途中の「大事なお人形を無くしちゃったの」「よーし、お兄さんが新しいのを買ってあげよう」「やったー!」はまずかったと思うのですが(^^; そこは、「あの人形じゃなきゃ嫌なの」ではないのか(笑)
そしてよく考えると、かわゆい少女ボスお休みの回に他の女に粉かけている直人さん、油断も隙もありゃしないぜ!(おぃ)