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『烈車戦隊トッキュウジャー』感想17

◆第17話「雨上がりの空に」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:小林靖子
降りしきる雨の中、ブルースハープを震わせる安全帽の男……と、少々変わった雰囲気の入り。
「出来た。――俺のレクイエム」
……ん?
予告から、シリアスで格好良い系かと思われたトッキュウ6号(候補)ですが、ちょっと微妙な雰囲気に(笑)
これはあれか、あれなのか。
皇帝陛下が遠隔操作するクライナーロボの強襲を、トッキュウオーとディぜールオーのダブル烈車スーパーコンビネーションで何とか退けたトッキュウジャー。線路点検で一時停止中、6人目のトッキュウジャー用の変身アイテム、アプリチェンジャーの説明を受ける。そこへブルースハープの響きと共にやってくる、安全帽の保線作業員。
男の名はザラム。今はレインボーラインで働いているが、実は元シャドーであった。
雨が降っているのは、シャドーとしての特殊能力だった模様。
シャドー時代の罪を償う為にレインボーラインで働いているというザラムの履歴を聞き、4人が少し腰が引け気味になる中、にこやかに接触しに電車を降りるキチガイ(笑)
ここ数話、サブライターが動かしにくそうで活躍少なめだったキチガイが、さっそくの本領発揮。キチガイから逃げ回るザラムは固い態度で何とか遠ざけようとするが、何やら因縁のあるらしいシュバルツ様がそこへ登場。ザラムを守ろうと変身した1号が追い詰められたのを助ける為、ザラムはシャドーの姿になると豪雨で目くらましして逃亡する。
「まったく……シャドーを捨ててもこの力だけはつきまとう。この力で、俺はどれだけ残酷な事をしてきたか……」
「残酷……残酷って、まさか人を……?!」
「雨天……中止」
かつてザラムはシャドーラインの怪人として、雨を降らせるその能力により、数々の遠足や運動会などあらゆるイベントを中止に追い込み、闇を集めていたのだ!
ザラムの正体はクローズをベースに、ゴシック+ウェスタン+獣耳、みたいな感じのデザインなのですが、なにシャドーなのだろう。ボディの青光沢は『仮面ライダーキバ』のガルルさんも少々思わせますが。雨と関係のある獣……キツネノヨメイリシャドー?
超ポジティブ男のライトは「それ、本当に闇出てた?」と言っていますが、いや、スポーツ観戦とかコンサートとか、チケットによってはダメージ深刻なので、割と生まれると思います、闇。
そんなある時、ザラムは雨上がりの空に、虹を見た。
「美しかった……初めて何かを美しいと思った。あれを消す闇は二度と作れない。……だからシャドーを抜けた」
ここは今作全体のキーワードである虹と、物語が綺麗に繋がって良かった所。
「勿論、それで罪が消えるなんて思っていない。虹を守って、静かに消える。そんな死に場所を探している。ずっと」
「……だから大袈裟すぎるよ。全然死ぬ必要ないって」
ライトのフォローを無視して、ザラムは自らのレクイエムを奏で始める(笑)
うん、これは、あれだ。
ロールプレイ系だーーーーー!!
大きな伏線と関わる過去の因縁持ちの幼なじみ5人、に如何なる6人目を絡めてくるのか注目していましたが、いやこれは面白い。
今作のコンセプトが“なりきり”にあると思えば、常時ロールプレイ(役割演技)状態の、自分に酔っ払っている男、というのは実にピッタリです(笑)
ライトを探す4人がシュバルツ様と遭遇して危機に陥り、ワゴンから連絡を受けたライトは救援に向かおうとするが、先程の戦闘で負傷していた。
「その傷じゃ無理だな。奴の狙いは俺。これは俺の死に場所だ」
代わりにそこへ向かおうとするアルコール分過剰なザラムを止めるライト。
「待てって。虹を守りたいなら、そんなんじゃんくてさ! ――俺たちと一緒に戦ってよ」
「一緒に……?」
「ザラムって物凄い見えてるだろ……自分がどうしたいか、ここにはっきり」
設定あるからな!
「だからぴったりだと思う。トッキュウジャー6人目に」
シュバルツに追い詰められる4人だったが、その時、響き渡るブルースハープ、そして降りしきる雨。ザラムはアプリチェンジャーを起動し、トッキュウ6号への変身と共に、降り止む雨、空に掛かる虹。
今ここに、ガテン系戦士、トッキュウ6号が誕生する!
「ザラム。完全にシャドーを離れたか」
「ああ。――虹を守って消える。俺の死に場所は、まさにここだ!」
「うっそぉ。……俺の話、通じたんじゃないのか」
まあ、「見えた、おまえの終着駅」と、「見つけた、俺の死に場所」で、話を聞かない者同士、凄く噛み合ってはいるのですが(笑)
6号はシュバルツと互角の戦い見せ、まさかのサブミッション。必殺のドリルセイバーでシュバルツの必殺剣と相討ちし、シュバルツは「ザラム……貴様、あの烈車を……」と意味深な台詞を残して撤退する。激闘を生き延びたザラムはライトに変身アイテムを返し、安全帽を格好良くいじろうとして……悪戯していたカグラに返してもらい「生き恥をさらしたな」と言い残して、今度こそ安全帽で決めポーズを取ると去って行く。
表向き陽気だけど実態は狂気、という『トッキュウジャー』の世界観に、元シャドーであった罪を償おうとしている、というストレートに重めの背景をどう噛み合わせていくのかと思いましたが、本人はどっぷり入り込んでいるけど周囲から見るとそうでもない、というズレを用いる事で、ズレとズレで綺麗に収めてきました。
性格矯正するとイマジネーションが不足しそうなので、当面このままの性格になりそうですが、使いやすそうな性格ではあります(笑) 常に雨が降っているのは撮影が大変そう(お金もかかりそう)ですが、いつまでやるのでしょうか。
心配なのは6号の初舞台の勢いでシュバルツ様が少し弱体化してしまった事ですが、フォーローはあるのか無いのか。まあ、シュバルツ様はトッキュウジャーの成長を現す指標になっているので、じわじわ負けモードになっていくのでしょうが。
というわけで非常に面白い新キャラ登場編でしたが、合わせてシャドーライン側の伏線も幾つか展開し、要素山盛り。怒りの皇帝陛下はネロ男爵とノア夫人を吹き飛ばし、
男爵「陛下も我々も闇あってこその存在。一体いつからそのように、キラキラの事ばかり」
陛下「なんでかなぁ……闇の中で本物を見た、のかもなぁ」
果たして陛下の求めるキラキラとは何なのか。上層部の軋轢も表面化し始め、どう転がるか。
そしてシュバルツ様は「闇ではなく烈車の力で地上を制圧する。貴様と話した事だったな! 忘れたか!」と、真の目的というか趣味的な野望が判明。
また、車掌がトッキュウ6号に変身しようとしてチケットくんだけ変身してしまうなど、ギャグ部分も面白かったです。
次回、6号登場編の後編にして、久々に陛下も大きく動きそうで、楽しみ。