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『烈車戦隊トッキュウジャー』感想37

◆第37駅「理不尽クイズ」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:大和屋暁
シャドータウンへの新たな分岐点が見つかり明と共に乗り込むトッキュウジャーだが、そこが昴ヶ浜ではないと分かった途端に、街の開放を「後回しにしよう」と言い出す明。ドリルレッシャーを取り返す為にシュバルツと約束して以来、様子のおかしい明と揉めるメンバーだが、そこへシャドータウンの管理人、ナイトが姿を現す。
「そしてこれが我が愛馬、ジャスタウェイです」
おーーーい(笑)
(※ジャスタウェイは、馬主でもある大和屋暁さんの所有馬。今年、ドバイデューティーフリーを圧勝し、ワールドサラブレッドランキングでレーティング単独1位を獲得した名馬)
ナイトは武器兼高速移動アイテムであるジャスタウェイにまたがり、変身した1号と4号を攪乱。攻撃を受けたトカッチとそれをかばった明が崖下に転落し、一行は離ればなれになってしまう。
「なんていうか、駄目だよね、僕……咄嗟の判断が出来ないっていうか。今朝もミオに、優柔不断とか言われちゃったし」
「ああ、そうだな」
また面倒くさいモードに入ったトカッチを、明、一刀両断。
「どうせ僕は、決断できない男なんだ……」
「決断、か」
川岸で体育座りを始めたトカッチの言葉に、明はシュバルツとの約束を思い出す。
「我が軍門に降れ。時が来たらすぐに私の元へとはせ参じ、我が右腕となり働いてもらおう。勿論、トッキュウジャーがそれを阻むというならば――奴等も敵だ」
ドリルレッシャーを取り戻す際の、明とシュバルツの交換条件は、特にひねったものではなかった事が判明。
シュバルツ様は、そんなのが右腕でいいのか。
まあ確かに、戦力としては強いけど。
その“時”を気にして、焦る明はあくまでこの街の解放を後回しにしようとするが、トカッチの説得に渋々応じ、交換条件を告げる。
「いつかおまえ達には決断を下さねばならない時が来る。たとえそれがどれだけ厳しい選択だったとしても、その時が来たら、必ず決断を下すと。俺に約束しろ」
トカッチはそれを約束して指切りを行い、小指と小指で結ばれる二人。
この辺り、ミオ求婚される回を踏まえてなので、見ていて色々と複雑な気持ちになります(笑)
……あれ、運命そっちと繋がってたの?!みたいな。
〔ドリルクライナー、シャドーラインで建造される→ザラム、退職金代わりにドリルクライナーを持ち逃げする→レインボーライン総裁、ドリルが好きなのでサポートレッシャーに魔改造→ライトが騙され、シュバルツがドリルを取り返す→ハイパーレッシャターミナルが占領され、ドリルが必要になる→ドリルは取り戻すも交換条件により明が追い込まれる→トカッチ、明と約束する〕
という流れは、思わぬ長編構造。まさかドリルが後半こんなキーアイテムになるとは(^^; 途中途中で色々な人がやらかしているので、責任の所在が極めて不透明になっている所は秀逸。
その頃、トカッチと明を探す4人は、分かれ道で理不尽なクイズに遭遇していた。
「問題です。さてこの分かれ道、右は爆弾、左は銃弾、どっちへ進む?」
この街は、その選びようのない選択を突き付けられた人々が生み出した闇によってシャドータウンとなってしまったのである。
「だがどんなに理不尽な選択だとしても、決断を下さねばならない」
同様にクイズを出された明は、一人シリアスモード。そこにナイトが現れ、5人が合流する時間を稼ごうとする明は6号→シャドーとなってナイトに立ち向かうが、そこへ明に促されて一度は合流を優先しようとしたトカッチが生身で救援に戻ってくる。
「何かの為に何かを犠牲になんかしたくない。僕はそんな決断はしないって、決断したんだ!」
「…………そうか」
先程から全く自覚ないまま、物凄い勢いでトカッチが運命の分岐しそうなルート選択を決定しまくっていますが、大丈夫なのか(笑)
明の選択と理不尽クイズを引っかけ、逆算する形でトカッチ優柔不断に繋げたのだと思うのですが、ライトに振られてもいい役回りがトカッチに割り当てられているのは、この終盤でちょっと面白い所。
まあライトだと、冒頭のお弁当選びで暗示されているように、迷わず両取りになってしまうのですが(笑)
ナイトに追い詰められる2人だが、そこへ爆弾ロードを力尽くで突破してきた4人が合流。
力技は力技でトッキュウジャーらしいのですが、個人的にはイマジネーションを活かした反則技みたいな展開を見たかった所。時間的に凝っている余裕が無かった可能性はありそうですが(^^;
幾ら6人が揃っても時間制限のあるトッキュウジャーではジャスタウェイを捕まえきれないと余裕を見せるナイトだが――
「それがどうした。確かに俺たちは、30秒しか変身できない。乗り換えを使っても、1人2人じゃ、おまえは捕まえられない」
「だったら簡単」
「30秒以内に、おまえを倒せばいい」
地雷網をダッシュで突破してきた4人はいい感じに脳内麻薬が出まくっており、トカッチ含めて5人一斉突撃。連携して取り囲んで、走り回るジャスタウェイの進路妨害をすると、2号がトカッチ斬りを炸裂させ、ザラムがジャスタウェイの尻尾を捕まえると、宇宙へ向けて放り投げる。
「牧場へ帰れ……さらばだぁ!」
「あーーーー! ジャスタウェイが、ファーラウェーーイ!!」
「さらばだ、ジャスタウェイ
ジャパンカップの前の週に、何てネタを入れるんだ。
この回、タイミング的に微妙なのですが、凱旋門賞(10/5)前に書いたのか、後に書いたのか。レース前に脳内麻薬出まくりの状態で書いた可能性が高そうだけど、レース後(8着惨敗)だったら、色々こう、考えてしまうな……(^^;
機動力と武器を失ったナイトは終電砲で抹殺し、巨大化後は超超とテイオーで成敗。
シャドータウンは無事に解放され、明は5人に謝罪。だがその胸の中には、悲壮な決意が秘められていた――。
(今はいい。だが必ず約束は果たしてもらうぞ)
立ち去っていく明の姿に、今更ながら、あれ、もしかしてとても重大な約束をしてしまったのか? と小指を見つめるトカッチ。その小指のアップを手前に置き、歩み去って行く明を遠くに置くというカットで……幕。
明とシュバルツの交換条件自体は引っ張っていたほどの事もないストレートなネタですが、それを受けた明にどうも、自分の死に場所が見定まったようで、1エピソードを取って描いた事により、明がこれまで度々口にし、5人からはギャグ扱いだった「死に場所」が、ぐっと重くなりました。
次回どうかわかりませんが、少なくとも今回、如何にも使えそうな場所(ナイトを1人で引き受ける所)で口にしておらず、掴みのネタと妙な口癖扱いだった「俺の死に場所」が、ここに来て物語の中で重みを増すというのは、お見事な構成。