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最近の読書

◇『ブラッド・ミュージック』(グレッグ・ベア
知性ある細胞を作り出した天才科学者ヴァージルだが、禁止された分野の実験に手を出した事で、会社を解雇されてしまう。実験の中止を余儀なくされたヴァージルは、思わずその細胞を自分の体内に注射する事で、会社の外へと持ち出す。しかしそれが、恐るべき異変の幕開けだった――。
序盤、バイオホラー風味で始まったと思ったら、どんどんどんどん風呂敷が広がっていく、というある意味で古式ゆかしいSFで、風呂敷の広がり加減が面白かったです。こういうSFは好き。
◇『天使墜落』(ラリー・ニーヴン&ジェリー・パーネル&マイクル・フリン)
環境保護政策が行き過ぎた結果、科学技術が憎むべきものとなってしまった近未来――かつての宇宙開発時代に打ち上げられた軌道ステーションの宇宙船が地球に墜落した。乗組員を政府の手から救おうと立ち上がったのは、弾圧を受けながらも地下活動を続けるSFファン達。アメリカ大陸を覆わんとする氷河から宇宙飛行士達を助け出したファン達の珍道中が始まる……という、様々なSF作品や、SFファンダムへのオマージュを詰め込んだ、ドタバタコメディ。
ネタがわからなくてもそれなりに面白いですが、ネタがわかればわかるほど面白い、という作り。
ある種のディストピアを描きつつ、全体的にどこか脳天気。楽しい作品でしたが、最後までどこか内向きに終わってしまって、SF的飛躍が無かったのが、少々残念。ある程度希望を見せて終わりはするのですが、出来れば二つの世界の救済の筋道を描いて欲しかったな、と。
◇『バーネット探偵社』(モーリス・ルブラン
《怪盗ルパン》シリーズに属する、短編集。ルパンの扮するジム・バーネットなる探偵が無料奉仕を建前に難事件に関わり、依頼人から直接報酬はいただかないものの、なんらかの形で関係者や事件の真犯人から金品を見事にせしめる、というピカレスク・ロマン。
最初はバーネットを友人であり優秀な探偵だと思っていた刑事が、バーネットの本性を知るにつれて関わるまいとするのだけど、結局自分で解決できない事件をバーネットに任せてしまってドンドンどつぼにはまっていくのが酷い(笑)
下手すると小中学生以来でルパンものを読んだ気がしますが、なかなか面白かったです。