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『ブルースワット』感想12

◆Volume15「侵略CM大放送」◆ (監督:小西通雄 脚本:曽田博久)
見所は、
「デスキーラってそんなに凄いのか」
「ハッキリ言って凄すぎます」
そんな頭の悪い台詞を、TVに寄りかかりながら超格好良く言うシグ(笑)
そして畳みかけるように繰り出される

スペース標準語!
スペース通信波!
スペース通信機!

凄く、80年代前半の空気がほとばしります(笑) まあ元々、スペースマフィアにスペーススワットな世界観ではあるのですが……「いわばスペーススワット」みたいな言い回しだった記憶があるので、問題の根幹はシグのボキャブラリーかもしれない。
セイジがスミレに指揮車の設備の説明中、偶然エイリアンの映った謎の映像をキャッチ。スペース標準語で語られる内容(マフィアは、マフィア語で喋っていたのか?)をシグが翻訳した所、恐るべき事実が判明する。
「地球良いとこ一度はおいで・緑のそよ風青い空・地球はエイリアンのパラダイス・地球で稼ごう大もうけ・インヴェードも最高!」
地球に行くなら鳩屋、鳩屋に決めた!
それは、スペース通信波により流される、様々なエイリアンを地球侵略に誘うスペースマフィアのCMであった!
…………て、無血占領が目的ではなかったのか、エイリアン。
加速をつけて作品コンセプトが崩壊していきますが、ブルースワットの妨害による度重なる失敗でマフィアが方針転換したのか、今回がおかしいのか、今ひとつ掴めない為に話に入りにくいのが困った所(^^;
CM内でインヴェードされた女子高生の顔に見覚えがある、とセイジとショウが事務所の本棚に隠した秘蔵の『制服図鑑』を取り出してニヤニヤするシーンも、誰もツッコミを入れない為、ギャグが成立しておらず反応に困ります。
その女子高生から糸を辿り、エイリアンに依頼されて侵略CMを撮影する自称映画監督に辿り着くブルースワットだが、完成したCMは発信され、宇宙の賞金稼ぎデスキーラ率いる総勢200人の部隊を地球に招き寄せてしまう……。
関係者を警察ノリで詰問するブルースワット、セイジどころかスミレまで最前線に連れてきてエイリアンの攻撃からそれをかばうという無駄なシーン、など、今作の問題点がわかりやすく出たシーンが目白押し。
要所要所でちょっとした理由付けや工夫があれば全体が面白くなっていきそうな所で、その理由付けや工夫を省く為に、すべからく雑な方へ雑な方へ転がり落ちてしまっています。
迫り来るデスキーラの部隊をどうすれば止められるのか……エイリアンのアジトからスペース通信機を回収したシグは、賞金稼ぎを失望させる為の逆PV作戦を思いつき、その撮影を自称映画監督に依頼する。うまい話に目がくらんで道を踏み外しかけた駄目男は、エイリアンの銃弾から自分をかばった彼女の姿に目を覚まし、立ち上がる!
という展開自体は熱いのですが、彼女が集中治療室で生死の境をさまよう手術中に、ノリノリで演技に駄目出しする監督、いっぱしのメイクを気取るサラ、餓死者役で転がっているショウ、とPV撮影のメタシーンでコミカル要素を入れられると、とても難しい気持ちになります(^^;
完成した逆PV(環境破壊ネタ)を宇宙へ向けて流すブルースワットだが、それに気付いたマフィアの襲撃を受けてしまう。ブルースワットがエイリアンの攻撃を必死に食い止める中、果たしてPV送信は間に合うのか……というスペクタクルそのものは面白いのですが、エイリアン幹部(ムッシュに怒られていた男)が何故か正体を現さず、ピストルやロケットランチャーなど地球製の武器で攻撃してくるのが、凄く冷めてしまう所。
第10話は、ブルースワットが《レスキューポリス》シリーズっぽい事件に巻き込まれる、という構造でしたが、今回は悪い意味で《レスキューポリス》シリーズを引きずるような絵を作ってしまいました。
この幹部はもしかしたら戦闘向きではない頭脳派エイリアンなのかもしれませんが、とにかくそういう“決まってない要素を有耶無耶な形で先延ばしにしてしまう”事で、エピソードの説得力を著しく弱めてしまうのも今作の困った点です。
スペースマフィアの妨害をかいぐぐって遂にデスキーラに逆PVが届き、地球を酷い星だと信じたデスキーラの部隊は退散。それを知った真ん中分け幹部も引き下がり、ブルースワットは残ったエイリアンを撃破して勝利を収めるのであった。このエイリアン戦、素早い動きの強敵をショウとシグが身を挺して動きを止めた所に、攻撃を受けながらもどっしり構えたサラが弱点を射撃して撃破する、というのは3人の連携が今作らしい形でまとまって格好良かったのですが、エピソード内容が内容だっただけに、何だか勿体ない感じに。
ラストは無事に彼女の手術は成功し、改めて映画監督への情熱を燃やす彼氏、二人の元をブルースワットの面々が見舞いに訪れて大団円……なのですが、秘密のレジスタンスとして基本、トラブル終了後のゲストには関わらなかったブルースワットのスタイルが崩れてしまったのは、残念。というか、禍根が色々残っている場合は知らぬ存ぜぬなのに、丸く収まった時だけ姿を見せるとか、判断基準が現金すぎるぞブルースワット(笑)
途中でセイジとスミレを意味なく最前線に連れ出すというのもありましたが、この、最後に無駄に全員集合させたがるというのはどうも『ソルブレイン』の時の悪い癖(とにかく無駄に全キャラを画面に収めたがる)が戻ってきてしまった気がします(^^;
残念といえば、スペース美女回でエイリアンと地球人の美的感覚が違う所を描いたのに、今回のCM内部でエイリアンが地球の女性に囲まれてご機嫌、という絵があったのは、異質な知的生命体との戦い、という折角のポイントを削ってしまい残念。
そして今回一番の問題は、デスキーラが来る来ないにマフィア幹部が一喜一憂しすぎて、スペースマフィアの存在が非常に矮小になってしまった事。ブルースワットvsスペースマフィアの戦いは、広大な宇宙の片隅の出来事に過ぎない、というのは設定としてはそれでも良いですが、物語として、それでいいのか。
次回、「サラがさらわれた」……って、ナレーションさんが。