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『轟轟戦隊ボウケンジャー』感想・第19話

◆Task.19「眩き冒険者」◆ (監督:竹本昇 脚本:會川昇
新装備ゴーゴーチェンジャーを手にして、牧野博士が帰還。更に、チェンジャーと連動する新たなゴーゴービークル、ファイヤー・エイダー・ポリスが披露される(「エイダー」ってなんだろうと思ったのですが、救急車のようなので、「助ける」などの「AID」から?)。
「サージェスは、プレシャス技術を人類に役立たせる計画を進めています。それがサージェスレスキュー計画」
他勢力のプレシャス活用はネガティブ認定しておいて、自分たちは人類の為に正しく使えるつもりとか、何この神様気取り!
……まあ、ダークシャドウはともかく、ゴードムとジャリュウ一族は現生地上人類とは違う種族のようなので、「人類の為に」というのがやはり“サージェスの正義”であり、そこを明確に分類した上でしかし、サージェス財団そのもの(その実働部隊であるボウケンジャー)を、シンプルに“正義の味方”として描かないのが、今作のねじくれた所といえます。
地球人類の正義は本当に正義なのか? を問うという点は、むしろ『ウルトラセブン』など古典のテーゼも思い起こさせますが、そう考えると、劇中で敵対しているネガティブの中では、現状ダークシャドウだけがやや異質といえるのかも。
……忍者はもしかしたら現生地球人類と別の種族という可能性は否定できませんが、アシュと激突した時のガイの台詞からすると、「忍者はあくまで人類のジョブ」という認識のようでしたし。
その上で、プレシャスの重要性にあまり気を払わないし、多分ビジネスになるなら非人類にもプレシャスを平気で横流しするのが、現時点でのダークシャドウの悪としての位置づけといえるでしょうか。
ゴーゴーチェンジャーとそのビークルは「災害や凶悪犯罪に立ち向かう為の装備」であり、チーフは新設予定のレスキュー部隊に移籍を持ちかけられていたがそれを断っていた、と前回のレッド退任疑惑の種明かし。
「いや、俺はまだ、冒険の事しか考えられない」
「俺はずっと、冒険の事しか考えられない」の間違いでは……?
部下達の前で背伸びして、いつか大人になれるアピールをするチーフですが、興味深いのは、前回の騒動を片付けた末に部署移動を断るのではなく、それ以前に既にボイスからの要請を断っている事。物語として気を持たせるのなら、前回は「もう少し、考えさせて下さい」とでも言わせる手もあったと思うのですが、幻影を打ち破り過去の傷を呑み込む前から、明石暁の本質は変わってはいない。既にそこで本音が示されていた、というのは今作のキャラクター強度の高さを感じます。
「サージェスレスキューはしばらく延期するよ。レッドくんに断られちゃったしー」
ボイスのあてこすりに苦笑したチーフは、チェンジャーを手に続く発言で一同を驚愕させる。
「ミスター・ボイス、このゴーゴーチェンジャー、預けてみたい奴がいるんですが」
その標的……赤ピーマンをかじりながら頭陀袋を肩に担ぎ、いかにも旅に出る前という様子の高丘をロックオーーーーーンする不滅の牙。心にボウケンセンサーがあれば、発信器など必要ありまりません!
「まあ見てろって」
皆の反対を振り切りながら、不滅の牙はにこやかに高丘へ声をかける。
「高丘映士!」
「おう、おまえか! まだなんか用か? 俺様は忙しいんだ」
背後の気配を察知した上で、凄く気さくに振り返る高丘(涙) 高丘……! 明らかに声が嬉しそうだよ高丘……! 会話の相手がセロリと錫杖だけの人生が辛すぎたから仕方ないよ高丘……!! なお病状が悪化すると、日本刀ときゃっきゃうふふするだけで満ち足りるようになるので、まだ引き返せそうで安心しました!
そんな高丘の現在地をしっかりサーチしているらしい不滅の牙は、ボウケンチェンジャーを突き出し、直球でスカウト。
「高丘、ボウケンジャーになれ」
「は?!」
ボウケンジャーになって、おまえだけの宝を見つけてみないか?」
過去を乗り越えたチーフの真っ直ぐすぎる眼差しもあいまって、なにこの、伝説の「サイボーグにならんか?」ばりの危険すぎる勧誘。
「……なにを言ってる! 俺様はまた、アシュを探して旅に出る」
たかおかはにげだした!
「それがおまえの冒険ってわけか」
しかし、自己肯定力を身につけたチーフは無敵だ!
「冒険じゃねぇ。使命だって言ってんだろ! アシュを倒すのが俺様の使命だ!」
「やはりそれを言うのか……。……使命、なんだな」
「ああ!」
魂を震わせながらも、互いの中心に抱えた価値観の溝は埋められないかと思われたその時、そこに響く懐かしい声。
ボウケンジャー、今日が、おまえ達の最期」
満を持して第11話以来でボウケンジャーの前に姿を見せたガジャ様は、その場に前回拾ったガイとレイを召喚。突っ込んだ映士とボウケンジャーは、アシュコンビの体内に内臓されたゴードムエンジンの力に吹き飛ばされ、更にアクセルスーツが謎の動作不良に陥ってしまう。
「誕生せよ、クエスターーー!」
ガジャ様の叫びにゴードムエンジンが回転数を上げると、ガイとレイは黒地に金色が入ったややメカニカルな装甲にモデルチェンジし、クエスターガイ、クエスターレイとして新生。単純に、マジックアイテムで強化しました、だけではなく、生物寄りから機械寄り(自然から人工物寄り)にデザインを大きく変えてきたというのは、インパクトも高くて良い感じ。
「クエスターとは探索者。あらゆるプレシャスを手にする、最強のチームだ」
そして、わざわざボウケンジャーと同じ土俵に乗ってくる辺りが、凄くガジャ様っぽいです(笑)
エスターは凄まじいスピードとパワーでボウケンジャーを圧倒し、派手なアクションで次々と吹き飛ばされていくメンバー。特にレッドは、壁を突き破ったりくるくる回りながら地面に叩きつけられたりと、普段強い分、見せ場たっぷりのやられぶり。
「いかがかな。ゴードムエンジンの力は」
厭味たっぷりにレッドの首を絞めるガジャ様は、第11話において、一瞬チーフから奪い取ったスケッチに目を通した際の出来事を説明。
「だがこの偉大なる大神官ガジャ様は、一度目にしたものを忘れることはない。パラレルエンジンの原理を理解し、それを逆転させた、アンチパラレルエンジンを完成させた」
いわゆるカメラ記憶を持っているというガジャ様、恐るべきその才能を見せつけ、これはもう一人称が「偉大なる大神官ガジャ様」でも仕方ありません。しかし、ガジャ様のスペックが想像を絶するものだったという事情はあるにしても、サージェス財団の危惧が現実のものになっており、これ、チーフ史上最大のやらかし案件なのでは!
「レッドくん、君はシベリア支部……に送っても勝手に冒険を見つけて楽しみそうだから、都心の一等地にある最高級インテリジェンスビル36Fの執務室で一日12時間ひたすら書類に判子を押す係になってもらうよ!」
どちらに転んでも絶体絶命のボウケンジャーは、地面に倒れている所へ空中からのピンポイント銃撃の嵐という絶妙に邪悪な攻撃を受け、大ダメージを負って全員変身解除。
そこへ割って入る高丘だが、拘束術を無効化されてしまう。これまでアシュが高丘を避けていたのは、その錫杖がアシュの力を封じる強力な宝具であった為。しかし……
「あったま悪いなぁ? だからこの体はアシュのもんじゃなぁい!」
「もはやアシュではなく、クエスターだ」
別の生物種と化したクエスターガイは、高丘が渾身の力で振るった錫杖を軽々と受け止めるとへし折り、更に銃で粉砕。絶叫して顔を押さえた高丘は、鳩尾に攻撃を受け、気絶してしまう。
高丘のアシュバスターとしての強さの秘密が明かされると同時に、クエスターとなったガイとレイがそれを打ち砕く、というのはこれまた、大きなデザイン変更が効果的に機能。
「行くか、怒りの鬼神」
「ああ」
高丘に完勝したクエスターコンビは満足して去って行き、その背中を呆然と見つめる偉大なる大神官ガジャ様。
「な、なにを言ってる! あいつらをこてんぱんにしてしまうチャンスだぞー!」
忠誠回路、つけていなかった(笑)
「あ。……もういい。これがクエスターのデビュー戦だ。思い知ったかボウケンジャー
完全に無視されたガジャ様は、一人だと戦力に不安があったのか、勝ち誇るだけ勝ち誇って撤収。……ある意味、完璧な勝ち逃げです。
前々回に続いて完敗したボウケンジャーは気を失った高丘を基地へと連れ帰るが、目を覚ました高丘へ向けて、さくらさんが開口一番、「寝てなさい! 勝手に動かないで!」と宣うのでつまり、捕虜扱いです。
粉々になった錫杖は回収不能だった、と説明を受けた高丘は頭を抱えて大ショック。
「駄目だ……あれが、無いと、俺は……!」
様子のおかしい高丘は、瞳が銀色に染まると犬歯が鋭く突き出し、咆哮と共に手近の蒼太をやにわに攻撃。チーフと真墨が懸命に引きはがした所へ、一片の躊躇もなくスタンロープを打ち込んで気絶させるさくらさん、Super coolにPerfect。
「人間じゃなかったのか……」
高丘にこだわるチーフは菜月と蒼太を連れて高丘の生家へと向かい、山奥の神社などかと思ったら、意外や住宅街の洋館でした。そこで菜月は鏡の中に白髪の女性を目にし、すっかり和風伝奇からゴシックホラーへ転換。
「私は、アシュ、ケイといいます。高丘映士の、母です」
映士の母でありながら、高丘と敵対する筈のアシュを名乗る美女(演じるのは、元メガピンク東山麻美)は、映士が常に手にしていた錫杖は、対アシュ用の宝具であると同時に、映士の中に流れるアシュの血の封印でもあった事を語る。
「映士が怪物になるのは、アシュの血のせいだけではありません。あの子は……」
自分はここを動く事ができない、と映士の事をボウケンジャーに託したケイの姿は消え、後には涙滴型の結晶だけが残される……一方、早退したクエスター二人は、ちゃっかりガジャ様のアジトに居た。
「そろそろ俺たちの新たな仲間が生まれている頃だ」
二人が恨み重なる筈の高丘にトドメを刺さなかったのはその正体を知っている為だったと明かされ、またも勝手に出て行くWクエスターに無視を決め込まれたガジャ様は、しかしめげずに巨大なゴードムエンジンを見つめて、不敵な笑みを浮かべる。
「ゴードムエンジンは、二つだけではない」
扮装を除くと見た目はただの中年男性のガジャ様ですが、独特のしゃがれ声とイントネーションが醸し出す異質な存在感が、段々と作品世界に収まってきていて、良い感じ。他の組織が見るからに異形な中、ツボを掴んでノってきた感のある役者さんの好演も光ります。
冒険基地では、チーフが上層部に相談に向かっている間に、高丘をどう扱うべきかについて部下4人が相談中。
「確率がゼロでない以上、危険です」
「だったら菜月だって本当は何者かわからないし、危険かもしれない。それに真墨なんて元泥棒じゃん!」
過去へのこだわりよりも今を大事にする事を選んだとはいえ、己の存在そのものが未知である菜月は高丘の背負っているものに共感を示し、勢いで真墨に付け火(笑)
「な、な……だったら! 蒼太はスパイで、さくら姉さんは特殊部隊だろうが!」
反論に窮して周囲に延焼させる真墨ですが、スパイはともかく、特殊部隊は別に後ろ暗くはないのでは……(笑) いやまあ、さくらさんも現役の頃は、ダークサイドな任務も請け負っていたのかもしれませんが。
その会話を耳に跳ね起きた高丘は、拘束を引きちぎるとコートはしっかり着用して逃亡をはかるが、その行く手を阻む不滅の牙は、狙った獲物を決して逃さない!!
チーフは問答無用で高丘の手首にゴーゴーチェンジャーを装着すると、一振りの武器を突き出す。
「それでこのサガスナイパーを使う事が出来る!」
「なんだこんなガラクタ?!」
「サージェスがおまえの錫杖を分析して、同じ力をこのサガスナイパーに持たせた。これがあればおまえはアシュになることはない」
「なに?」
「おまえはアシュの血を引いてるそうだな。だがおまえは言った。アシュと戦う事が使命だと。だったら自分の中のアシュの血と、戦ってみせろ」
そこへ外から轟音が響き、高丘に強引に武器を押しつけるのではなく、その場で地面に突き刺していく、というのが格好いい。
「総員出動だ」
「チーフ! このままでいいんですか?!」
「もう一度言う。出動だ!!」
実は今回、こと戦闘面ではボウケンジャーはやられっぱなしなのですが、自己肯定力を身につけたチーフが無敵すぎて、それをほとんど感じさせないという恐るべき構成(笑)
サガスナイパーの前で立ち尽くす高丘を地下道に残して5人は外へ飛び出し、本来のボウケンジャー的には市街地で無作為な破壊活動を繰り広げるクエスターと戦う積極的な理由は実は無いのですが、これ、チーフのやらかし案件の責任を皆で取っているという……(笑)
「高丘映士は来ねぇのか?」
「そろそろ、アシュになったって事か」
「人間だろうがアシュだろうが関係ない。奴は俺たちの仲間だ!」
だがボウケンジャーは、ゴードムエンジンの放つアンチパラレルウェーブにより、またも弱体化。一方、サガスナイパーを前に考え込む高丘は手を伸ばそうとするが……決断しきれずに膝をついてしまう。
「駄目だ……錫杖じゃないと、俺は!」
キャラ作りが出来ない!!
闇のソウルウェポンを失い弱気に座り込むその口元からは再び鋭い牙が覗き……クエスターに大苦戦するボウケンジャーの元へ飛び込んできたのは、白髪の獣と化したブラックセロリマン。
「もはやおまえはアシュ。さあ、人間共を倒せ!」
「くひゃはははははは! 高丘の末裔が俺たちの言いなりだぁ! こいつは面白いぜ」
アシュ高丘はとりあえず目の前にあったので掴んできたサガスナイパーを振り回すが、一人立ち上がり、問いかける不滅の牙。
「高丘映士!! ……お前の使命はなんだ?」
チーフは高丘の攻撃を前転でかわし、懐に飛び込みながら体に手を回したので、一瞬、正攻法のヒロインムーヴ(腰に抱きつく・正面からハグ)するのかと思って指が一時停止を押しかけた(おぃ)のですが、立ち上がって胸ぐらを掴んだのでホッとしました。
「おまえの使命はなんだ?!」
「し……めい……」
「そうだ、おまえの使命はアシュと戦う事。おまえはそいつだ! アシュの血と戦ってみせろぉ! 映士ぃ!」
不滅の牙を突き放し、その手の武器を突き立てようとするアシュ高丘だが――
「戦え映士!!」
ギリギリでその切っ先を止めると、咆哮をあげて反転、クエスターの二人へと攻撃。ここで最前の、チーフが地面に武器を突き刺したのと、アシュ高丘がチーフに武器を突き刺そうとしたのと、決断の手前の行為が重なっているというのは、冴えた演出。
「俺様は……高丘の……高丘映士! アシュの監視者!!」
その瞳に光が戻り、頭髪も元の色となり、映士はキャラを取り戻した!!
映士は今度こそ自分の意志で掴んだサガスナイパーを頭上に放り上げると、ゴーゴーチェンジャー・スタートアップ。銀を基本色に黒とオレンジのライン、ヘルメットと両肩にパトランプが付き。頭部には角、というど派手な新戦士が誕生する!
頭部に電飾が繋がっているといえば繋がっていますが、地味めな土木の戦士達だったボウケンジャーに対してキラキラ具合が異彩を放つ新アクセルスーツは、インパクト抜群。デザインコンセプトの大きな違いは、そもそも部署が違う、という理由付けが組み込まれていますが、前回からきっちり、2話かけてその理由の前振りをしているのかと思うと、會川さん細かい、実に細かい。
メタ的には、前年の追加戦士ポジションである、 変態家庭教師 天空勇者マジシャインが金色系でど派手だったので、今年は銀色で突き詰めよう、みたいな狙いがあったのでしょうか。後に00年代戦隊の集大成的な造りで展開する『ゴーオンジャー』において追加戦士が2人という冒険が行われますが、金と銀の2人を追加する、というのもまた00年代戦隊の一つの集約であったのでしょうか。
「これは……」
「畑の冒険者――ボウケングリーンだ」
「眩き冒険者――ボウケンシルバーだ」
映士が変身したボウケンシルバーは、アンチパラレルウェーブが通用せず、クエスターの攻撃を跳ね返す。
「ゴーゴーチェンジャーと繋がる、新たなビークルには、ネオパラレルエンジンが搭載されています。このパワー供給は、ゴードムエンジンには、干渉されません」
自慢の新装備について、面識の無い相手に通信で得意げに説明する牧野先生は、今日もテンション高め。新しい力は使わずにはいられないという所にはやはり、基本的にマッド寄りの姿勢を感じます(笑)
「ガイ、レイ、これでお前等とまた戦える! 覚悟しろ!」
テーマソングをバックに高速のチャージアタックで先制したシルバーは、銃と槍になるサガスナイパーを操り、クエスターと戦闘開始。まずスピアーありきだったのでしょうが、変身後のシルバーと変身前の映士が同じ長物の武器を扱う事で、スピアーによるアクションがそこかしこで錫杖を思い起こさせ、変身前後のキャラクターを繋げているのが実に鮮やか。
セロリと共に高丘映士を大きく特徴付けていた錫杖というインパクトの強い装備品が、生身のキャラ付けのみならず、ボウケンシルバーとの一体感を増させているという仕掛けは、映士が異色の存在として物語に登場したからこそより効果的となっており、非常にお見事です。
追い込まれたガイとレイは地中に穏形するが、シルバーはサガスナイパーのサガスモードを起動。
テンション最高潮のクライマックスバトルの流れを途切れさせず背後にはテーマソングで盛り上げるも、金属探知機で地面を調べる姿は、どうにもこうにも格好良さの壁にぶち当たりましたが、モチーフはわかるけど、これを格好良く撮れと言われても無茶だよ! という心の叫びがどこからともなく聞こえてくる気がしてなりません(笑)
探知に成功したシルバーは、前半ボウケンジャーがやられた上空からのダイビング銃撃で報復攻撃。炙り出されたWクエスターを、必殺のサガスラッシュで撃破する。
「アシュになどならない。俺は、人間だ!!」
鳴り物入りで登場したクエスターの2人は、さすがにトドメを免れて撤退してくれてホッとしました(^^;
新たな力で勝利を収めた映士の元へボウケンジャーは遠巻きに集まり、錫杖の力についてにこやかに解説する不滅の牙。
「あれは嘘だよ」
「嘘ぉ?!」
むしろ本当だったら困るという展開でしたが、自己肯定力を身につけたチーフは無敵だ!
「サガスナイパーにおまえのアシュの血を止める力まではない」
「しかし、俺様はアシュにならなかった! ……何故だ?」
「おまえは自分の中のアシュの血を憎んでいるんだ。その激しい憎しみが、おまえの心がアシュの血を目覚めさせるんだ」
キャラクターの抱える問題を、外部から都合良く用意された奇跡(暗示によるきっかけとしては作用している)ではなく、内面の変化によって克服するという普遍的な物語構造にしっかりと落とし込み、宿命に生きる映士が自らその宿命を乗り越えていく、というテーゼに接続。
またこの前振りとして、「おまえの心がアシュの血を目覚めさせる」=「チーフのトラウマの具象化としてのメカマサキ」という形で、映士の直面した内面の戦いの具体的な描写として、チーフが過去のトラウマを乗り越える前回のエピソードがまるまる機能しており、會川さんのロジカルな劇構成が絶妙に展開。実に気持ち良く、パズルのピースがはまっていきます。
「心……? そんな……」
「おまえは自らの力で、自分の中の怪物を押さえ込んだ。おまえはアシュじゃない。俺たちの仲間だ」
「……仲間?」
「一緒に冒険をしよう」
「一緒に……」
やだ、どうしよう、そんなストレートに言われたら、ドキドキしちゃう……一瞬、恋する乙女の瞳になる映士だが、その脳裏に、地面に倒れた中年男性の姿が思い浮かぶ。
「…………駄目だ。俺は仲間などいらない! 俺は……」
「なんだよ。騙された事まだ怒ってんのか? けどお陰で……」
自分の事は棚に上げ、きっとこいつは面倒くさい奴だ、とチーフ以外では真っ先に声をかけ物理的な距離も縮める真墨、君はホント、以下略。
「駄目だ! 俺は、お前達の仲間になどならない!!」
だが急に頑なになった映士は、5人を突き飛ばすようにして、ガスナイパーを持ち逃げしたまま走り去り、5人は当惑しながらその背を見つめるのであった……で、続く。
これまでの人生を高丘の宿命に捧げ、またその出自から様々な物を背負っているらしき映士が、あっさり仲間にならない、というのは良かったです。サガスナイパーが錫杖代わりになる、というのは嘘だったとはいえ、今回このまま仲間に入ってしまうと、冒険するとかしないとかではなく、シルバーの力の交換条件、みたいになってしまいますし(^^;
その上で、以前の高丘映士を象徴する装備品と、ボウケンシルバーの主要装備を劇中の意味付けとビジュアルの双方で重ね合わせた作劇は、玩具と物語の噛み合わせとして本当にお見事。
そして次回、今回の心情変化を踏み切りにして菜月と映士を絡めてくれるようで、とにかく「ホップ・ジャンプ・ステップ」の組み方が丁寧です。
また前半、悪魔の勧誘からガジャ様大ハッスル、新たなる強敵登場に高丘完敗、と濃密かつ怒濤の展開は重さを感じさせず、後半もシルバー初登場でしっかり盛り上げ、バランスの良い好エピソードでした。アシュの天敵としての高丘、ボウケンジャーの苦戦とシルバーの大活躍、にもそれぞれ理由を付け、シルバーの見せ場を派手に作りつつもボウケンジャーとの格差を広げすぎない、先を見据えた構成上の配慮も鮮やか。
今後、アンチパラレルウェーブへの対策実装が想定されますが、段取りをしっかり組んでいるので、むしろ牧野先生のちょっとした見せ場になりそう、というのはワクワクしますし。
エスターはシルバー完全加入の踏み台となって潰されるのか、生き延びて諸勢力の一員になるのか読みにくいですが(少なくとも菜月絡みの伏線がありますが……)、クエスターガイの二丁拳銃アクションは格好良く、近接戦闘ではそのままナイフとして使えるという武器のデザインも素敵なので、生き残ってくれたら生き残ってくれたでそれは良し。
次回――なんだか色々混ざってきた緊急轟轟合体で待ってろよ生きてろよジャッジメントタイムで交通安全!!