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『轟轟戦隊ボウケンジャー』感想・第23話

◆Task.23「あぶない相棒」◆ (監督:坂本太郎 脚本:小林靖子
物語もそろそろ折り返し地点……全体のフォロー役として年長組と年少組の間で立ち回っている内に影が薄くなったり、ナンパキャラがポーズに見えたり、どちらかというと中庸なバランサー(他のキャラの色を出す為にその反対側へ回る)という立ち位置の為に、もう一つキャラの弱かった蒼太さん、手錠をはめられて監禁される、という起死回生の策に打って出る。
上がれ、僕のヒロインパワぁぁぁぁぁぁー!!
蒼太を監禁したのは、某国政府の依頼を受けたスパイ、鳥羽祐二。
鳥羽……という苗字は、レーザーキャノンを扱うヒットマン・ヘンリー鳥羽(『特救指令ソルブレイン』)、エクストリーム賞金稼ぎ・鳥羽(『ブルースワット』)、高校生昆虫戦士・鳥羽甲平(『ビーファイターカブト』主人公)、と90年代メタルヒーローシリーズで何かと印象深いのですが、同シリーズで研鑽を積んだ小林靖子さん的には、単なる偶然だったのかどうなのか(笑)
その鳥羽が求めているのは、以前に鯛焼き大作戦で入手したプレシャス、帝国の真珠。正確にはその中に秘められた最強戦車の設計図であった……まあそれ、砲塔の代わりに巨大ノコギリ搭載なので本当に役に立つのか。
「しっかし驚いたぜ。サージェスにボウケンジャーなんて、秘密組織があった事もだが、突然スパイをやめちまった、俺の相棒までいるとはね」
「相棒なら、僕が喋る筈がないって、わかってると思いますけど」
「ん、普通ならな。だが、いい手があるんだよ。今・回・は」
いちいち気取った仕草で気障に笑う伊達男を演じるのは、『仮面ライダーブレイド』の役立つクワガタアンデッドこと金居の演技が印象深かった窪寺昭さん。戦隊としては少々異質なシニカルさを漂わせたキャラクターを見事に演じており、今回もいいお仕事。
通常、戦隊の作劇で気取り屋やキザなキャラクターを描くと、誇張が過ぎてしまいがちになるのを絶妙なバランスに収めており、演出・脚本としても、“出来る人”という認識があったのか、全体的に芝居の成分が濃いめ(小林靖子は実写『セーラームーン』で一緒に仕事した経験あり)。
蒼太を前に余裕を見せる鳥羽の背後から現れたのは、なんとクエスター。一方、総出で蒼太を捜索中にアシュの気配に気付き、一芝居打って真墨と菜月を基地に戻らせた映士の前には、不滅の牙は狙った獲物を逃さない!
「おまえは真墨達を追い払いたかっただけだ。おまえがそこまでする理由があるとすれば、アシュ……クエスターか」
「あいつらだけは、この俺様が倒さなきゃならねぇ」
「……やはりか。映士……クエスターは今やネガティブ。ボウケンジャー全員の敵だ。協力して一緒に倒すんだ。いつまでも過去にこだわるな!」
割と最近、過去の幻影に退職一歩手前まで追い込まれていたような記憶もありますが、自己肯定力を手に入れたチーフは無敵だ!!
「うるせぇ、気が散るんだよ!」
しかし映士はチーフの言葉にすら耳を貸さず、チーフはとにかく、アシュの気配を捉えたら一緒に行動するように、と約束させる。
その頃、兵器としてのプレシャスを求めるクエスターは、レイの妖術を応用した装置によって蒼太の記憶を強制的に映像化し、プレシャス保管場所を探り出そうとしていた。
「よーし出たぞ……これがプレシャスの保管場、なぬぅっ?!」
だが浮かび上がったのは、水着で笑う女の子。
「可愛いでしょ。あの子、ミス・サージェスのチカちゃん!」
私の中のミスター・ボイスが、「ブルーにとって、水着美女は宝という事か? 牧野さん」と真顔で問いかけてきます。
「ガイ、こいつは心をコントロールしている。隙を作れ。心が乱れれば、一瞬でもイメージは浮かぶ」
苛立つガイに対して鳥羽は蒼太の対応を楽しそうに見つめ、一方の映士はアシュサーチに成功。だが映士は約束を破り、チーフ、鳩尾にパンチを受けて悶絶(通算2回目)。
(明石……悪い。アシュの事だけは、俺一人で片をつけなきゃならねぇんだどうしても)
監禁場所では、蒼太の脳内お宝コレクションが続行中。水着、受付嬢、チャイナ服?(正直、ホステス風の見た目なんですが蒼太よこれはどこで焼き付けた記憶だ……?)の二人、と映っただけでも四人登場するのですが、モデル事務所かなにかと協力関係があって、キャスト代が安くあがったとかあったのでしょうか。
「マセガキが。おまえの頭ん中、こんなんばっかか!」
「じゃ、これはどう?」
続いて出てきたのは、どういうわけかプールサイドでポージングするチーフと真墨(笑)
「貴様ぁ! ふざけるな!」
そりゃあガイさんも怒るよ!
恐らく男達がこっそりと映士と張り合っていた際の映像だと思われますが、真墨はホント、二の腕足りていないな! 頑張れ男の子!! そしてもう一つ明確になるのは、蒼太の女好きは結局、チーフと真墨の水着動画と同レベルで心理障壁のスキルとして出し引きできる程度のものであり、“本当の欲望”とはほど遠いポーズなのだ、という事(笑)
「俺が仕込んだだけあって、女の子の趣味はいいな」
「僕は鳥羽さんみたいに、女の子泣かせたりしませんよ」
この言葉もつまりは、本気になる気もさせる気もない、という意味に聞こえます。
「そうか? あの子は、泣いてたんじゃなかったか。あの小さなプリンセスは」
だが……ガイに殴り飛ばされた蒼太を助け起こした鳥羽が、過去に二人の情報操作が引き起こしたクーデターの件を囁くと、蒼太は初めて動揺を見せ、家族を失い国を追放された幼い王女の姿が浮かび上がる――。
「俺たちで、どれだけ人を泣かせたのかな?」
かつての相棒にして先輩、蒼太のスパイ時代を誰よりも知る鳥羽の囁きは的確に蒼太の痛いところを突き、浮かび上がる映像は激しい戦闘のそれに切り替わる。
「覚えてるだろ? 俺たちがしてきた事。人の涙が多いほど、報酬は多かった。陰謀、工作、裏切り。おまえは、スパイ生活を楽しんでたよ。おまえは何をしてきた? 何人泣かせたんだ?」
消えない過去から逃げるかのように、映像は冒険基地に移り変わり……
「プレシャスの保管場所は……どこだ?」
遂に一つの建物を写し出す。
「よーし、やっとアレの出番だ」
「やっぱ使うのか。趣味悪いな」
Wクエスターがお披露目したのは、ゴードムエンジンの設計図を元に、自分たちで作り上げた、超クエスターロボ。さすが自称高等種族だけあって、戦闘力だけでなく、知能も優れている模様。
用済みとなって始末されそうになる蒼太だが、いつの間にやら手錠を外しており、華麗な回転蹴りを放って逃走。
「じゃ! 元相棒」
「そうか、あの時……腕は鈍ってないな」
助け起こした際に手錠の鍵をすり取られた事に気付いた鳥羽は楽しげに笑い、後を追いかけたクエスターの前には映士がヒーロー着地で登場。チーフからの指示でシルバーの変身信号を逆探知したボウケンジャーは総員出撃し、プレシャス保管庫の場所を知られてしまった事を本部に連絡しようとする蒼太だが、その眼前に拳銃が突きつけられる。
「目標がないと、左へ動く癖が直ってないな」
「鳥羽さん……プレシャスをクエスターに渡したら、世界が終わります。行かせて下さい」
一瞬、「父さん」と聞こえて、鳥羽が事あるごとに蒼太の判断と対応を微笑ましく見つめるのは、実は息子の成長を喜んでいるの?! 滅茶苦茶若く見えるアニメキャラみたいな父さんなの?! と物凄く動揺したのですが、聞き間違いでした(^^;
「なるほど。地球を守るヒーローってわけか。お偉い事だな。おまえ、それで過去を帳消しにしてるつもりか? ――あの小さいプリンセスの涙を。おまえのしている事は、過去への言い訳だよ。自己満足だ」
「自己満足……」
決して精算出来ない過去を、銃口と共に突きつけられる蒼太だが、そこへ飛び込んでくる戦闘中のシルバーとクエスター。
「口先で惑わされるな! どうやら昔のお仲間らしいが、詐欺師だぜ、そいつは!」
ここでシルバーが蒼太と鳥羽の関係を把握しているのはやや強引ですが、スーツの性能で会話を聞き取ったのか、或いは映士のアシュサーチは、映像記憶を辿る事が出来るのか(レイと同種の能力?)。
「ふっ、詐欺師か。確かにそんなようなもんだ」
鳥羽は罵声をまったく意に介さず面白がり、シルバーは戦闘を続行。
「過去にはきっちり決着つけなきゃいけねぇんだ! 俺様は、こいつらと決着つける!」
「じゃ、けじめ、つけるか?」
蒼太と鳥羽は生身バトルに突入し、激しい打撃の応酬の末、鳥羽の拳銃を手にした蒼太が威嚇射撃とはいえひどく無造作に弾丸を撃ち込むのは、一瞬過去が垣間見えて格好良かったです。
「鳥羽さん。僕は過去に決着つけるつもりも、言い訳するつもりもありません。自己満足でも構わない。生きている以上、前に進むしかないし……やっぱり自分も笑いたい。……その為にも、一生過去の涙を背負って、目の前に居る人や、世界を守る! そう決めたんです」
最上蒼太は、自己肯定力を身につけた!!
“正義のヒーロー”を標榜しないボウケンジャーの中では、割と真っ直ぐに世界の平和を守る事に意識的な蒼太は、「“正義のヒーロー”を名乗ってはいけないと自戒している」という事が明らかになり、何故ならそれは、あくまで自分が笑っていたいから、消せない罪を背負いながら今を笑って生きる為の理由として世界を守ろうとしている、と着地。
いってみれば、チーフの「建前」が蒼太の「本音」に近いのですが、これにて蒼太は、洗っても洗っても手から血と火薬の匂いが消えない人になり、掘り下げが進んだ結果、これ以上深く掘り下げてはいけない感じに(笑)
00年代的な内省的キャラクター像をベースにしつつ、その少し先へ歩を進めて、「生きているのだから笑いたい」という「本音」が蒼太の軸である、というのは良い感情の見せ方でした。
拳銃を放り捨てた蒼太は、鳥羽に奪われたアクセルラーを取り返すと、外へとダッシュ
「おい、決着ついたのか?!」
その蒼太には無視され、クエスターにはあっさり背中を向けられ、あれ俺様、いいこと言った筈なのに何この超アウェー感……?
「生きている以上、前に進むしかないってさ。いつまでも、おんなじ所にゃ居ないってこった」
そして何故か、一面識もない鳥羽にトドメを刺される(笑)
「なんだよ?! ……どいつもこいつも勝手に進むんじゃねぇよ!! ……俺様だけ、馬鹿みてぇじゃねぇか」
蒼太はチーフ達と合流し、自分の失策でプレシャス保管庫の所在を知られてしまった事を謝罪。実はそれすらもフェイクで、スパイ蒼太が一枚上手でした、という話になる可能性も考えてはいたのですが、鳥羽に急所を突かれての動揺は本物だったという事に。自己満足でも過去を背負って前に進んでいくつもりだが、かといって簡単に割り切れるものでもない、と置く事で、普段の蒼太の全てさらっと表層で処理してしまう姿とは違う面が出せました。そういう背負っているものがあるからこそ、職場や色恋沙汰では、上辺の付き合いになりがちなのだとは思われますが。
蒼太の謝罪に対する、
「気にするな。守ればいいだけだ」
は、久々に見た気がする、凄くバカっぽくも格好いいチーフ(笑)
保管庫を襲撃する超クエスターロボをゴーゴージャイロが牽制し、久方ぶりの冒険フォーメーション。あっさり吹き飛ばされてしまうダイボウケンだが、シルバーが救援に来て緊急轟轟合体。
「何やってんだ。だらしねぇぞ!」
「シルバー! おまえ」
〔蒼太 > 鳥羽 > 映士〕と飛んできた流れ弾が、最終的に不滅の牙に着弾(笑) 今回はチーフは何も悪くなかったと思うのですが、格好いいシーンと同じぐらい、身も心も殴られました。これがいわゆる、等価交換の法則というやつに違いありません。
「うるせぇ! わかってんだよ! 俺様だって、前へ進むしかねぇ」
構成としては、蒼太×鳥羽が濃すぎて、映士との絡みがおまけみたいになってしまったのは難ですが、「仲間」を得る事で過去から抜け出そうともがき始める部分では、映士も一歩前進。
過去に決着をつけないと未来へ進めないというテーマなのかと思っていたら、過去しか見えていないのでは死んでるのと同じであり、今生きている人間は前へ進むべきだ、という話へ一ひねり入ったのですが、思えばボウケンジャーの男4人の抱える「過去」はいずれも(程度の差はあれ)「誰かの死」と接続されており、“死者に引きずられてはいけない”というのが今作の一つの軸として入ってきたようにも思えます。
そう考えると、プレシャスとは何か? となった時、過去の脅威を封じ込めるだけではなく、未来へ向けて“良き力”(???)として意味を転換しようとするサージェスの在り方が肯定されるのかもしれない多分されない気もするされないんじゃないかなまちょっと覚悟はしておけ。
「このクエスター、強すぎる!」
上昇していく男達の自己肯定力はともかく、超クエスターロボは凄まじいパワーでサイレンビルダーすら投げ飛ばし、二大ロボ絶体絶命のその時、この戦いをビルの屋上から見つめていた鳥羽が携帯電話を操作すると、突如、超クエスターロボ内部で爆発が発生する。
「……ふっ」
一番最初に、鳥羽がクエスターとの協力関係について牽制するシーンがあるのですが、疑り深いスパイの常としてしっかり罠を仕掛けており、それでヒーローの窮地を救うという、なんておいしすぎるゲスト(笑)
顔も演技も好きですし、それだけの好演だったと思うので個人的には許せますが、少々やりすぎ感はあり、役者の存在感でシナリオが変わったのでは、とさえ思うレベルです(^^;
超クエスターロボの動きが止まったところで、テーマ曲インストをバックに究極轟轟合体を発動し、消化剤乱舞からアルティメット火の鳥の連続必殺攻撃で超クエスターロボを撃破。今日もWクエスターはすたこら逃げ去るのであった。
最近、究極ダイボウケンが投げ売り気味だったので、最初にノーマルダイボウケンを出して苦戦のくだりが(お約束とはいえ)不自然になってしまいましたが、ダイボウケン自体は好きですし、ジャイロの牽制攻撃から合体に繋げ、二段階クライマックスできっちりアルティメットフォーメーション、という戦闘の流れ自体は良かったです。
戦闘後、鳥羽の助力に気付いた蒼太は、追いかけて鳥羽に声をかける。
「餞別だよ」
「餞別?」
「おまえはもう、こっち側の人間じゃない。この稼業、前に進める奴がいるとは思わなかった。驚いたよ」
深すぎる闇を抜け出し、その闇を背負ってでも前へ向かって進む覚悟と強さを見せた元相棒に、鳥羽は称賛を贈る。
「鳥羽さん……鳥羽さんだって、前へ進めますよ」
「……おまえのやり方にはさ、いつも、小さくても……救いがあったよ。俺のは、背負って歩くには、重すぎる。せめて……おまえを助けたのが、俺の自己満足だ」
どこか照れくさげに呟く鳥羽自身が、蒼太を惑わせる為とはいえプリンセスの一件を覚えていたり、自分が多くの人を泣かせてきた事をあっけらかんと捨てられないからこそ、一歩も前に進めない黒い泥濘の中に居る事を自覚しているという心情が仄かに垣間見え、恐らくそれを理解した蒼太は、ほとぼりが冷めるまで身を隠すと言い残し、ガールフレンドと電話のやり取りをしながら去って行くその背中を見送り呟く。
「相棒」
そして基地に戻ると……
「蒼太さん! あのプレシャス保管庫、偽物だって!」
あまりに普通に街中にあるので、そんな事だろうと思いました(笑)
「許せません。私たちにまで、偽の場所を教えてたなんて」
「いやぁー……ほら、こういう事もあるからさ」
皆から一斉攻撃を受けるボイスは珍しく困った表情ですが、現場のモチベーションはともかく、方策としては正しかったと思います!
「食えないところは……スパイ並だね」
蒼太はおもむろにギターを引きながら呟き、誰もボイスをフォローしないどころか、1ミリも笑いに転嫁されないまま閉じる、という闇を闇として見つめる『ボウケンジャー』得意のストロングスタイルで、つづく。
蒼太回というよりもはや鳥羽回でしたが、押し出しの弱かった蒼太を一気に掘り下げつつ、以前の菜月やチーフを拾って、“過去は乗り越えられなくても今を生きるのが大事”というのが一つ、『ボウケンジャー』の姿勢として形になった気がします。けれどそれは「過去を捨てる」わけではなく、過去は過去、現在は現在、として切り分けるというのは、『ボウケンジャー』的な「本音」と「建前」の関係性に通じる所があるのかもしれません。
ところで超クエスターロボはフォルムが何かに似ているなぁ……と思っていたのですが、あれだ、ザブングルだ。作品的には過去シリーズに元ネタがあるそうですが、そちらの方は全くわからず。
なお、誰かが助ける前に自力で助かる+お宝映像の色々ダメな感じ、の合わせ技により、蒼太さんのヒロイン力は1ポイントも上がらなかった事を報告します。