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野田昌宏宇宙軍大元帥の巻末解説が泣かす

<メド・シップ>シリーズ:『惑星封鎖命令!』マレイ・ラインスター)読了。
正直、SFファンの人でも反応が鈍いかもしれないラインスターは、1896年の生まれという、米SFの歴史でも最古参に属する作家の一人。“タイムマシンによる金儲け”というアイデアを生み出したといわれる人です。
<メド・シップ>は、銀河の隅々まで人類が進出した時代、思いもよらぬ疫病の蔓延に対抗すべく、星間医療局が設立。メド・シップと呼ばれる最新設備の整った小型の医療船に乗った医師が、銀河を駆ける巡回医療の途に着く事になった――という基本設定のもと、医療局の局員である主人公カルフーンとペットにして相棒のマーガトロイドの活躍を描いた短編シリーズ。
話の基軸は、巡回医療先でトラブル発生→知恵と多少のアクションで問題解決! というもので、ノリの基本はスペースオペラ。ただ主人公が医者という事があって、解決へのアプローチは比較的おとなしく堅実め。雰囲気を表現するなら、“文系のスペースオペラ”とでもいった感じ。
ただし、星間医務局局員というサラリーマン的な立場を持ちながらも、医者としての使命感が発揮されると熱く燃える主人公カルフーンの姿はヒーローのそれ。相棒が小さな宇宙生物(宇宙空間の一人旅の話し相手であると同時に、多様な病気に対する抗体を精製するという体質を持つ)という辺りも含め、要所要所の描写など、スペースオペラ的な盛り上がりもきっちりと押さえてくれます。それでいて、医学テーマSFとしてきちっと成立させている所が、なんといってもマレイ・ラインスター


「人間が星間旅行を発明せざるをえないようにしたのは、われわれ医者なんだ」カルフーンが説明した。「われわれが人間を死から守ろうとした結果、過去の地球で人工が増えすぎてしまったからだ。その後も引きつづき、われわれが人間を死なせなかったから、ひとつの太陽系では足りなくなって、星間旅行が欠かせないものになった。現存する文明の十分の九にたいして、われわれは責任を負っている。というのは、それが必要となる条件をつくりだしたのは、ほかならぬわれわれだからだ! だから、この惑星で文明が落ち目になり、死ななくてもいいのに人命が失われるようになっている以上、それを食い止める明白な義務がわたしにはある!」
――(『空にうかぶリボン』より)
熱い。
それとやっぱり、宇宙医療船というメド・シップの設定、そして作中での描き方が素敵。戦艦にしろ小型船にしろ、スペースオペラは船に焦点があたっているのが好きなので。……要するに、私が宇宙船が好きなのですが(笑)
日本では、『祖父たちの戦争』『惑星封鎖命令!』『禁断の世界』の3巻構成で、全8編が全て翻訳されています。……といっても多分今、刷ってないとは思いますが……これをまとめて見つけた時は、本当に嬉しかったなぁ。
『世界SF全集』に収録されていた短編「最初の接触」を読んで以来、ラインスターは大好きなSF作家の一人として私の中に燦然と君臨しております。残念ながら、だいぶ前に図書館の借り物で読んだっきりなので、読んだ時の衝撃とオチのネタ以外はほとんど覚えていないのですが(^^; 未だに、好きなSF短編を五つあげろと言われたら、絶対に入れる一本。