Q.E.D.証明終了(27) (講談社コミックス月刊マガジン)
- 作者: 加藤元浩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/07/17
- メディア: コミック
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収録作は、謎めいた放火事件の真相を追う「鏡像」と、学校行事で裁判員制度の模擬体験をする「立証責任」。
2作とも、こんなテーマで書いてみました、という感じで、テーマ或いはシチュエーション主体といった感じ。
例えば「鏡像」は1時間の刑事ドラマみたいな話でして、話は綺麗にまとまっているのですけど、そもそも燈馬くんが事件に関わる理由が非常に希薄。普段は必ずそこにワンギミック入れるというか、入れてこその『Q.E.D.』なんで、そこは気になりました。ページ計算でも間違えたのかなぁ……どう考えても、ゲストキャラの鑑識のおじさんと出会った後、水原さんが事件に関わる発言をして、燈馬くんを引きずり込むという部分が必要なんですけど。それこそドラマだったら尺の都合でカットされた、という感じで。……なんか、落丁が心配になってきました(笑)
「立証責任」は普通に、裁判員体験マンガとしてそつなく出来ていて、さすがの力量。というか、読んでいる内にどこから『Q.E.D.』になるのだろうと凄い不安になりました(笑) その辺の煽り方も、巧い(笑) 最後はしっかりと『Q.E.D.』的回転をした上で、前回と打って変わって燈馬くんが燈馬くんらしさを見せつけるラストが非常に秀逸。
現実の社会問題とリンクしているという面でも、シリーズ屈指の重い作品かも。その点においては、このシリーズにおいて貫かれてきたエンターテイメントとしてのミステリという一線を踏み越えているという部分があって、異色の名作、という感じ。
しかしやはり、推理マンガの同時連載には、無理があるんじゃないかなぁ……。もともと画力で勝負という人では全くないのでちょっと変な絵のカットとかは別に良いのですけど、背景無しの顔のアップとかが、以前に比べてかなり増えているような(^^; なんかこう、マンガから、“時間がありません”という空気が出ているような気がして、気になります。あと画風の変化は仕方ないのですけど、『C.M.B.』初めてから、キャラの顔がどんどん丸くなっていて、好みでいえば前の絵柄の方が好きで、これもちょっと気になる。
正直あまり『C.M.B.』評価してないので、こちらに悪影響出るのは嫌なんですが、とはいいつつ、次巻収録のコラボ企画がどんな仕上がりになっているかは、楽しみだったりはします。