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『人形つかい』(ロバート・A・ハインライン)、読了

巨匠による、侵略SFの古典。


アイオワ州に降り立った、国籍不明の未確認飛行物体。調査に向かった捜査員が6人も行方不明になるという事態に、秘密捜査組織の局長、自ら調査に乗り出す。そこで判明したのは、アイオワ州の一部が、まるでナメクジのような姿をした宇宙生物に乗っ取られつつあるという事だった! 人間に寄生し、自由に操るこの生物を相手に、地球人類は打ち勝つ事が出来るのか……?
侵略の発見、その対策、しかし敵は上を行っていて……と、とにかく余計なまだるっこしさの無い矢継ぎ早な展開が特徴。敵が人間の体を乗っ取っているがゆえに、ただ全滅させればいいわけではなく、出来る限り寄生された人間の身柄を取り戻したいというのがネックになりつつ、侵略生物に対する見通しの甘さが被害を広げたりと、虚々実々の攻防が繰り広げられます。
面白いのは、侵略生物の存在を発見した諜報組織が大統領及び議会を動かすのに苦労する事。“社会”を描く事を好むハインラインですが、ここでは文明が発達してパラダイムシフトした社会よりもむしろ、文明が発達しても旧態を残す硬直した社会システムがもたらす被害、を描く事で物語の面白さとなっています。
衝撃的な名作、というわけではないですが、スピーディでわかりやすい展開で読みやすいのが特徴。
なかなか楽しめました。