「もう、戦うの平気になっちゃった?」 (EPISODE9「兄妹」)
◆EPISODE9「兄妹」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:荒川稔久)
- 五代雄介、誕生日を迎えて25歳。
- 警察犬の投入や、特殊ガス弾の配備など、警察側の対未確認の装備強化を細かく。
- 一方、未確認生命体の集合シーンを繰り返し挟み、ゲゲルに参加したいコウモリさんや、内部での揉め事など、じわじわと。……まあ、何を話しているのかわからないんですが!(笑)
- 次のステップへ繋がる2ローテ目という事で、榎田さんの子供が出てきたり、ジャンが長野へ飛んだり、決して今回のエピソードで解決するわけではない要素を、伏線というよりも“人の動き”として同時進行で次々と放り込んでくるのは、今作の長所。
- ニュース速報のように未確認生命体速報がテロップ表示されつつも、通常通りの進行を続けるTV番組、それを見つめる保母の「荒川区なら……この辺は一応平気かな」と、日常に組み込まれていく未確認生命体との戦い。怪人や怪獣との戦いがニュース報道される、の“その先”を民間人のリアクション込みで描写しているのが、今作の手抜かりの無い部分。
- 仲間を倒す謎の存在、として世間に認知されていくクウガ=未確認生命体第4号。その力が世間に与える影響と、それに不安を抱く妹の姿が織り込まれ、ヒーローの抱える暴力性をそれとなく問う展開。
- おやっさんの集める4号関連の記事のスクラップ、4号はいいヤツか悪いヤツかと話し合う園児達……の姿を描く事で、無自覚になっていた“大衆に支持される正義の味方”からの脱却、現代社会に立脚しうる正義のヒーローを再構築するという今作の大きなテーゼが明確に示されていくエピソード。
- 主人公、直接の関係者、世間、と“正義とは何か”を広げていく作業が、実に丁寧かつ確信犯的。
- 一方で作品としては思想性が強く出過ぎている部分はあって、特にこの辺りの流れは、良く言えば丹念だけど悪く言えば地味。今作における、この時代、このタイミングだったから、という部分の大きさを感じます。
◆EPISODE10「熾烈」◆ (監督:渡辺勝也 脚本:荒川稔久)
- 新登場のタイタンフォームは、イカスミ爆弾を受けた爆発の中でという、これまでで最もヒロイックな変身。
- クウガは無条件な正義のヒーローではない、という事を積み重ねてきた上で、いかにもな演出をする辺りは、映像面でのバランス取りか。タイタンフォーム自体も、真っ正面から敵をぶったぎる、と実にヒロイック。
- そのヒロイックな描写から、タイタンの戦闘と園児とお遊戯するみのりの姿を交互に重ね、クウガとしての戦いも、保母の仕事も、「誰かの笑顔の為にしている事」としては同じだ、というかなり狂ったクライマックスバトル。
- 無条件な正義の無い世界で、戦うとは何か、という事に対する今作の思想が一つ示されています。
- それにしても、休日に職場にやってくる→帰る→また職場にやってくる、のコンボを決めるみのり先生が、辛い。