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『FLASH』第18話「アトム参戦」(「All Star Team Up」)感想

まずは前回の変化を受けて、エディを交えてのFLASH大活躍から。
「こいつは?」
「ああ、公然猥褻。パウエル公園に居た」
「そんなもん人に見せちゃ駄目だろ」
今回この手のやり取りがいつにも増して軽妙で面白いのですが、エディのFLASHを見る目が、「変なスーツ着るとテンション高いなこいつ」になっているような(笑)
ジョー&エディと協力する事で立て続けに犯罪事件を解決していくFLASHだが、大量のハチに刺されたアナフィラキシーショックによるものと思われる遺体が発見される。相手はハチを操るメタヒューマンなのか? スターラボに協力を求めるバリーだが、そこへ突然訪れるフェリシティ。そして――
「あれは何? 鳥?」
「いや飛行機だ」
「私の恋人よ」
と、『スーパーマン』パロディを交え、空飛ぶパワードスーツを身につけたマッチョのナイスガイ、レイ・パーマー(役者さんが元スーパーマン役との事)がスターラボに着陸。
「君とだと、彼、背高すぎない?」
「バリーやだ、やきもち焼いてるの?」
「まさか、ちがう、やきもちじゃない」
僕は、世界中のマッチョなイケメンを憎んでいるだけだ!
アローの友達のフェリシティの友達のバリーの友達のスターラボの愉快な仲間達に、自ら開発したスーツを見てほしいとやってきたレイは、電流閃くものがあったのか、さっそくシスコと意気投合。どうやら基本は『アロー』のキャラのようですが、ウェルズ博士に憧れていたり、バリーに精神ダメージを与えつつも、世界観を噛み合わせてきます。
「忘れたの? ハチの大群を操って人を殺したメタヒューマンが居るって」
「面白い。ははっ…………いや、酷いな」
ダメな人が増えたーーーーーーー!
レイ/アトム(仮称)は、優秀だけど、若干、脳が迂闊仕様。
ウェルズ博士への懸念から非協力的な態度を取るバリーの妙な様子に気付くフェリシティは話を聞こうとするが、そこにFLASHの件を秘密にしている事でアイリスとぎくしゃくしているエディが相談に現れ、結局、5人で食事会をする事に。そんな折、再びハチによる殺人が起こり、ハチの軍団に囲まれて敗北するFLASH
…………某『ゼルダの伝説』シリーズで、ゲーム中で最初に死亡したのが、ハチに追われて海に逃げ込もうとしたのに間に合わなくて、だった事を思い出しました。
スーツに付いた除細動器で一命を取り留めたバリーは、復活するやいなや会食を強行するが、主にアイリスのせいで、雰囲気最悪。ウェルズ博士を敬愛するレイの言葉に挙動不審になったバリーは、別室でフェリシティに問い詰められる事に。
「私たちが来てからずっと様子が変よ。何があったか話して。タイミングが悪いっていうなら、今オリバーは暗殺者集団のボスになりそうだし」
……それは、凄く、タイミング悪いですね。
『アロー』の筋は全く知りませんが、フェリシティがレイを連れてかなり強引に押しかけてきた事や、セントラルシティまでなんかカリカリしてるの? という反応の理由がうっすらと判明。
「わからないよ。もう何もわからないんだ! 誰を信じていいのかも」
ウェルズ博士が超気持ち悪くて殴り飛ばしたいけどそうも行かない上に、自分をサポートする理由がわからない事、それにともなうシスコとケイトリンに対して秘密を抱えるストレス……。
今作ここまで、良き父性の象徴であり、正しい選択をする事が多かったジョーの、刑事としての慎重さと、父親としての娘可愛さが、一理ありながらもバリーとエディを精神的に追い詰めていく、という展開が実に巧妙。
フェリシティに気持ちを吐露するバリーは友達を信じるように励まされるが、一方、エディとアイリスの方はこじれにこじれていた。
「頼むから、楽しく食事できないか」
「楽しく食事できないのは、私のせいだっていうの」
そ の 通 り だ。
場の空気を無視して、なんでもかんでも、個人的な悪意から厭味に変換するって、人間としてかなり最低の部類に所属する行為だと思うのですが、アイリスはホント、どうしてこうなった。
FLASHスーツにくっついてラボに潜り込んだハチを確保した事で、それが昆虫ではなく小型のメカと判明し、犯人はメタヒューマンではなく工学者だったという変化球。……まあ実際の所、敵がメタヒューマンのエピソードって全体の半分ぐらいな気はしますが。
被害者が共にマーキュリーラボに勤めていた事が判明し、炙り出される犯人の素性。その所在を追う傍ら、アトムスーツを夢中でいじり回すシスコとレイを、カメラで覗くケイトリンとフェリシティ。
「いい大人2人が玩具で遊んでるわ」
「羨ましいわ。レイは優しくて頭が良くて、しかもセクシー」
ハリウッド映画など見ていると毎度思うのですが、この「セクシー」という概念は、なかなか理解しにくい(笑) 勿論、日本にも「男の色気」という表現はありますが、ここで使われているアメリカ人女性の男性に対する「セクシー」とは意味が違う気がするわけで。
「彼中身はバリーに似てるかもね……体はオリバーに似てる。――お願い! 今の誰にも言わないで」
「わかった、内緒にする」
頭脳優秀な筈なのにどこか危なっかしい善人+イケメンマッチョの融合は、フェリシティの好みにパーフェクト(笑) 加えて金持ちだし、ちょっとネジが緩めな事を除けば、やたらなハイスペックです。このままだと、タイムトラベル能力を強化したバリーがいつか、地球上全てのイケメンマッチョのDNAを消し去る為に石器時代へ飛んでしまわないか心配になってきます。
そんな時、マーキュリーラボにハチメカが出現。確保したハチから犯人の居場所も突き止められ、FLASHが犯人確保に、アトムがマーキュリーラボへと向かう事になる。
「僕のスーツなら刺されない。――行くよ」
「おい待て、電力系統をテストしてないぞ」
「これがテストだ」
「俺もついてく」
「私が運転を」
「……私はキスを」
アトムに協力するシスコとケイトリン、FLASHに協力するフェリシティ、お互いのサポート役を入れ替えてのチームプレイというのが、ヒーロー共闘として非常に熱い展開で、実に鮮やかなコラボ。
アトムの活躍でマギー博士は救われ、FLASHも犯人を確保。だが生き残っていたハチメカがロイをかばったシスコを刺し、またも死にそうになるシスコ。
死んだ時間の出来事がフラッシュバックしている事を考えると、これは死亡イベント回避の揺り戻しではないのか(^^;
全て精算し終えるまで、あと3回ぐらい死にそうになるのではシスコ。
シスコは駆けつけたFLASHの高速心臓マッサージで生還し、バリーはシスコの友情と良心を、改めて信じる事にする。ヒーロー共闘のコラボ展開がそれだけで終わらず、来訪者としてのフェリシティの助言を含め悩めるバリーの霧を晴らすのに繋がるという構造が、実によく出来ています。
後日、マギー博士が警察署を訪れ、過去のウェルズ博士との関係を尋ねるバリー。
「悲しみで性格が変わる人も居るけど、彼の場合はそんなんじゃない。テスが死んでから、別の人間になってしまったかのようだったわ」
と、前回の回想シーンを裏打ちする、重要な示唆。
一方、エディの元にはアイリスが訪れ、バリーからフォローがあった事を語る、が……
「納得できる説明だったわ。もっともよ。……でも、そんなのどうでもいい。だって愛する人になら、なんでも話すもの。だから私を愛してるなら、何が起きてるのか話してほしい」
面倒くさい。
……いや、こういう面倒くさい女性キャラ自体を全否定する気は無いのですが、なんだろうこの、1人だけ別ジャンルのドラマから来たような面倒くささ。
加えてもう何度も書いていますが、アイリスに人間としての好感要素(例えばジョーのような)があったり、劇中での問題解決への貢献度(例えばシスコのような)があれば、面倒くさいけどまあアイリスの気持ちもわかる、となるのですが、ゼロむしろマイナスなので、物語としてただただ面倒くさい事に。
トドメは、そんなアイリスが物語の中で許されているのは、バリーがアイリスを好きだから、という理由だけなので、壮絶にイライラします(^^;
本当にどうしてアイリスだけこうなのか……。
特に今回、ゲストキャラのフェリシティが『FLASH』サイドに登場する度にいい女度が上がっていく為、対比がますます地獄絵図。これだけ物語構造の巧い作品なので、スタッフ故意にやっているとしか思えないのですが、この果てにいったいどんな仕掛けが待っているというのか?! それともアメリカの視聴者にはこの性格がウケるのか?!
エディが苦悩を深める一方、バリーはシスコとケイトリンに、ウェルズ=リバース説を明かし、なんだかますます可哀想な立場になっていくエディ。
そしてシスコは、最近見る夢の事を話す。
「博士がリバースフラッシュで…………それで、俺を殺すんだ」
いよいよ真実へ迫る包囲網が出来上がっていく中で、次回、「ウェルズ博士の正体」(「Who is Hrrison Wells?」)。