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『ドリーム・パーク』感想

『ドリーム・パーク』(ラリー・ニーヴン&スティーヴン・バーンズ/1981年)、読了。


 物語の舞台は、2051年の最新技術の粋を集めて作られたテーマパーク――ドリーム・パーク。そこでは子供から大人までを楽しませる様々なアトラクションが日々華やかに運営されていた。
 そのアトラクションの一つ、巨大なドーム内部に地形や建造物が再現され、生身の役者やホログラムが入り交じって、架空の冒険をまるで現実のように自らの肉体で体験できる<ゲーム>は熱狂的なファンを多く持ち、折しも著名な<ゲーム・マスター>と<ロア・マスター>(プレイヤー集団の指導者的役割)の対決で注目を集める大規模な<ゲーム>がスタートしようとしていた。
 大がかりな準備が必要だが、ソフト化の権利などでパークにも大きな利益をもたらすこの<ゲーム>が始まった晩、警備員が殺害され、研究中の貴重な薬品が盗難されてしまう。侵入経路から犯人が<ゲーム>プレイヤーの中に居ると思われた事から、パークの保安部長グリフィンは、<ゲーム>を中断せずに事件を解決する為、自ら<ゲーム>に参加する事になる……。
物語の中心となる<ゲーム>は、体感型テーブルトークRPG(コンピューターRPGの元になった、一定のルールに則って会話とダイス判定を主に用いて進める物語ゲーム)とでもいうものですが、今ですと、物凄く大がかりなリアル脱出ゲーム、みたいなものと言えばわかりやすいでしょうか。
下敷きになっているのは明らかにTRPGで、事あるごとに《危険感知》の魔法を使ったり、意地の悪いゲームマスターへの愚痴をこぼすのが、経験者にはちょっとニヤニヤできます(笑)
物語は、「パークで起こった殺人と盗難事件の解決」という大枠の中で、主人公が参加した「<ゲーム>の物語」が進行していく、という二重構造。
この<ゲーム>の物語が、魔法などが存在する世界観ではあるものの、二次大戦後の時代設定で、メラネシア神話とカーゴ・カルト(貨物崇拝)を絡めた秘境アドベンチャー風味、というのが特徴的なところ。
元々アメリカの大衆小説において秘境冒険譚というのは1ジャンルであり、SFとも非常に近しい関係にあったので当然意識的と思われますが、これにより、剣と魔法のファンタジーとは違った面白さを本作にもたらしております。
言ってみれば、SFという器を用いて、秘境アドベンチャーとミステリと両方詰めてみた、という作品で、500P強の厚みの割には特に伏線では無かった事柄が多いので、ミステリとして期待しすぎるとガックリしますが、悪くは無い出来。
もう少し、SF要素が全部を繋いでくれれば良かったのですが、その辺りは舞台設定の補強の道具といった感じ。
問題点は……ヒロインの人格が酷い事。
恋人と一緒にゲームに参加していたのに、いきなり途中参加の主人公に色目使ってきて、「でも彼が好きなの、けれどあなたも愛してる」とか、ちょっとわけがわかりません(^^; 狙った悪女ならまだいいのですが、そういった描写でもなく、最後までずっとそんな調子なんどえ、どうして作者はこれがヒロインでいいと思ったのか、首をひねりたくなるレベル。
お陰で、そんなヒロインに見事にたぶらかされる主人公が凄くなんだかなーな感じで、なんだかなー。
そこがマシなら、もう少し良かった(笑)